もりつちの徒然なるままに

ウォーゲームの話や旅の話、山登り、B級グルメなどの記事を書いていきます。 自作のウォーゲームも取り扱っています。

4
写真15


「War and Peace」(邦訳:戦争と平和、以下本作)は、1980年に米国のThe Avalon Hill Game Co(TAHGC)から発表されたナポレオン戦争を扱ったシミュレーションゲームである。デザイナーは、Mark McLaughlinで、本作以外では30年戦争を扱った"Holy Roman Empire"や、太平洋戦争キャンペーン"East Wind Rain"等のデザインでも知られている。
今回、本作をVASSALでソロプレイしてみることにした。選んだシナリオは「解放戦争」。一般には諸国民戦争とも呼ばれる1813年の戦いである。

前回まで-->こちら

シナリオV.解放戦争(承前)

4Turn(1813年7月)

フランス軍の手番。損耗フェイズのダイス目は4。6戦力以上スタックしているヘクスが損耗対象となる。フランス軍は衛星諸国2戦力を含む計3戦力を失う。
同盟フェイズは例によってスキップ。
増援フェイズ。マインツ(Mainz)に計22戦力(約11万)の大量増援が登場する。しかもそのうち6戦力は親衛隊だ。
移動フェイズ。フランス軍は戦線南方のドレスデン方面に兵力を集めつつ、戦線北方のベルリン方面では機動戦を展開する。オーバーラン攻撃によってプロイセン軍3戦力を撃破したフランス軍は、オーデル川河畔に陣取るブリュッヒャー将軍麾下のプロイセン軍4戦力を攻撃する。戦闘比は1-1だが、士気差によりフランス軍が有利な筈であった。そして結果は予想通りフランス軍の勝利。ブリュッヒャー軍はオーデル川から東に向けて撤退した。、

連合軍の手番。損耗フェイズ。出目は1。連合軍にとっては最良の目だ。16戦力以上のスタック又は補給切れで11戦力以上のスタックなら損耗が発生するが、そのようなヘクスはない。
同盟フェイズは例によってスキップ。
移動、戦闘フェイズ。ロシア軍の騎兵を中心とする部隊が、バルクレイ将軍とコンスタンティン将軍に率いられてベルリンとマグデブルグを急襲する。それを迎え撃つのは、フランス軍スールト将軍とウジェーヌ将軍。ロシア軍にとっては勝機のある戦いであったが、またもや戦闘のダイス目が振るわずにロシア軍は敗退し、ベルリン、マグデブルグはフランス軍ががっちりと抑えている。

写真05


5Turn(1813年8月)

フランス軍の手番。損耗フェイズのダイス目は4。6戦力以上スタックしているヘクスが損耗対象となる。フランス軍は衛星諸国1戦力を含む計4戦力を失う。
同盟フェイズは例によってスキップ。
増援フェイズ。マインツ(Mainz)に計4戦力(約2万)の増援が登場する。
フランス軍は連合軍最後の要域ブレスラウ(Bresrau)に攻撃を加える。ネイ(Ney)将軍麾下の4戦力がプロイセン軍ヨルク将軍麾下の4戦力を攻撃。その後方からそれぞれナポレオン直率の10戦力とブリュッヒャー将軍麾下の5戦力が後詰として控える。
戦いはフランス軍優位に進んだが、増援に現れたナポレオン軍の士気が低かったのが裏目(同盟軍が大半であった)。彼らは一戦戦っただけで戦意を失った後退してしまう。かくしてフランス軍のブレスラウ攻略作戦は失敗に終わった。

写真06


連合軍の手番。損耗フェイズ。出目は5。連合軍にとっては宜しくない目だ。しかし連合軍は兵力が少なかったため、失ったのはプロイセン軍1戦力で済んだ。
連合軍はベルリン方面に総攻撃をかける。プロイセンとロシアの合わせて20戦力(約10万)以上の戦力がベルリンに向けて殺到。スールト、ダヴー両将率いる計12戦力(約6万)のフランス軍と交戦する。兵力に勝る連合軍と兵の士気と指揮官の能力に勝るフランス軍の戦い。決着は連合軍の勝利。クライスト将軍麾下のプロイセン軍がベルリンに入城し、ベルリンは約3ヶ月ぶりにプロイセン軍の手中に帰した。
写真07


6Turn(1813年9月)

フランス軍の手番。損耗フェイズのダイス目は1。フランス軍にとっては最良の出目である。フランス軍の損耗はなしだった。
同盟フェイズ。連合軍がベルリンを奪回したので、連合軍の都市点は2点になった(ベルリンとブレスラウ)。フランス軍は勝利点が3点あるが、シナリオ特別ルールでオーストリア参戦まではDRM+3がつくので、最終的なDRMは+2となる。修正後の出目が7以上ならオーストリアとスウェーデンが連合軍側に立って参戦することになる。
出目は6で修正後は8。これでオーストリアとスウェーデンの参戦が決まった。フランス軍としては一気に苦しくなる。
フランス軍はベルリンを奪回し、加えて同方面に集結しつつあるロシア軍に打撃を与えるため、主力部隊をベルリン方面に向かわせた。ナポレオン、ダヴー両将率いるフランス軍が総勢22戦力。さらに後詰としてスールト将軍率いる8戦力が待機。総兵力30戦力(約15万)でベルリン方面に攻勢を仕掛けた。連合軍はロシア軍のバルクレイ将軍、プロイセン軍ビューロー将軍らが率いる総戦力23戦力。兵力、士気、そして指揮官の能力のいずれの面でもフランス軍が有利。フランス軍の勝利は約束されていた筈であったが・・・。
写真08


親衛隊を率いたナポレオン直率の部隊が、ロシア軍のバルクレイ将軍に大苦戦(出目が悪かった)。慌てて後方からスールト将軍麾下の増援部隊が増援に向かったが、これまたスールト将軍の到着が何故か遅れてしまう(アンタはグルーシーかい・・・)。結局ナポレオン軍はバルクレイ軍に敗れて後退。ナポレオンに勝利した連合軍は貴重な勝利点3点を獲得した。フランス軍としては、ダヴー将軍麾下の部隊がベルリンを奪回したのが唯一の慰めである。なお、プロイセン軍のクライスト将軍がこの戦いで負傷。戦場を退くことになる。

フランス軍としては、これまで決戦での出目が良かった分をここで取り返された感がある。 

連合軍の手番。損耗フェイズのダイス目は2。オーストリア軍の大スタックが解消していない状況なので、損耗ダイスの目が小さいのは連合軍としては有難い。
オーストリアが参戦したため、南部戦線で連合軍が攻勢に出た。ドレスデンに向けてはシュヴァッツェンベルグ公(Schwarzenberg)率いるオーストリア軍がロシア軍、プロイセン軍と共にドレスデンに侵攻する。連合軍の兵力は32戦力。その半数以上がオーストリア軍だ。
ドレスデン周辺に展開するフランス軍は20戦力弱。戦力に劣るフランス軍はそれでも奮戦したもののドレスデンを守り切れずに後退する。 さらにその南方では、オーストリア軍がイタリアやバヴァリアに侵攻、ミュンヘン、トリエステ等の都市を次々と占領していった。

写真09


7Turn(1813年10月)

フランス軍の手番。損耗フェイズのダイス目は1。フランス軍にとっては(またもや)最良の出目である。フランス軍の損耗はなしだった。
同盟フェイズ。連合軍は都市点5、勝利点3。フランス軍は都市点1、勝利点3。その差はDRM+4で最大値だ。出目は5で修正後は8。フランス軍にとっては不幸な出目である。フランスの同盟国であったバヴァリア、ライン同盟、サクソニア、スイス、ヴュルテンブルクが離反し、連合軍側につく。幸か不幸か、これら同盟国の部隊はスイスを除いてこれまでの戦闘で概ね壊滅していたので、フランス軍の被った損害は最小限で済んだ。
なお、これによって以後同盟フェイズはなくなる。
フランス軍は3個軍を編成。それぞれナポレオン、ダヴー、スールトに指揮させる。ナポレオンはライプチヒの防衛、ダヴーはベルリン防衛、スールトは南方から来るオーストリア軍への対応だ。各部隊はそれぞれ正面の連合軍を撃破し、当面の任務は達成した。
写真10


連合軍の手番。損耗フェイズのダイス目は2。損耗した兵力はなかった。
同盟フェイズについては、シナリオ特別ルールにより2回連合軍に有利なイベントが発生すると以後同盟フェイズはスキップする、となっている。
反攻に出たい連合軍ではあったが、連合軍側も決して潤沢な兵力を有している訳ではない。そこで全面攻勢は仕掛けず、部分的な攻勢作戦を実施した。目標はベルリン。フランス軍のダヴー将軍麾下の9戦力が守りを固めている。そこへシュヴァッツェンベルグ公率いるオーストリア軍計14戦力とバルクレイ将軍率いるロシア軍5戦力が共同で攻撃を仕掛けた。兵の質で優るフランス軍であったが、悪い目を出して士気阻喪してしまい、士気での優位が失われた。こうなってしまえば後はただの消耗戦になるので、長居は無用とばかりにフランス軍は撤退する。しかし無事戦場を離脱した時には、その兵力は当初の9戦力から5戦力に打ち減らされていた。さらにフランス軍にとって痛かったのは、フランス軍の名将ダヴー将軍が、戦闘中に負傷し後送を余儀なくされたことである。

本作では、戦闘に参加した指揮官は全員負傷チェックを強要される。そして6ゾロで負傷し、さらに1d6Turnお休みとなる。この時、負傷期間を決めるダイスで6を出すと戦死となる。つまり戦闘に参加したら216分の1(0.5%弱)で戦死となる訳だ。これはたとえ皇帝ナポレオンであっても例外ではない。最大120Turnのグランドキャンペーンシナリオの場合、ナポレオンが途中で戦死・退場の可能性は結構高い。
 
写真11

(つづく)

3

福知山駅北口を出ると、目の前に派手な看板でつけめんの文字が目に入ってくる。以前から一度食べてみたいと思っていたのだが、なかなかタイミングが合わずに食べる機会がなかった。
先日、福知山方面へ出かける機会があり、丁度昼飯時だったので入ってみた。

中に入ると自動販売機があり、そこで切符を買う仕組み。内容がわからないまま「ぐうりんだいつけめん」とかいうものを注文。何が出てくるのかハラハラドキドキで、中身は野菜つけめんにチャーシューと煮卵をつけたものであった。

麺は極太でつけめんと良く絡み、つけ汁はこってり風。かなり濃い味だったが、野菜で味が薄まって丁度良い感じであった。値段的にも1000円弱で手ごろ。
駅前という好立地もあり、機会があれば再訪したい。

お奨め度★★★
写真48
写真49
写真50
写真51

3
写真37

福知山城は、かつて丹波平定に赴いた明智光秀が、この地方を治めるために築城したとされている。明智光秀が本能寺の変を起こし、山崎の合戦で敗れた後は、羽柴秀次、小野木重次、有馬豊氏らが城主をつとめ、1649年以降は朽木氏の居城として明治至るとのこと。
福知山駅から徒歩15分弱で福知山城正面につく。白い塀に沿って坂道を上がっていくと、天守閣の正面に出る。天守閣は三層四階の大天守と二層の小天守の組み合わせ。大天守の袖からひょっこり伸びた小天守が面白い系図を作っている。

写真38
写真39
写真40
写真41
写真42
写真43
写真44


天守の中は展示スペースとなっている。天守自体は昭和時代に再建されたものなので、内部は当時の面影はあまりない。どちらかといえば博物館的な趣きがあり、例によって各種の歴史的遺産、明智光秀に関する絵画類、江戸期における福知山の街並みを再現したジオラマ等がある、残念ながら館内は撮影禁止であった。
天守閣の最上階は展望スペースになっていて、福知山の街並みを見下ろすことができた。

写真45
写真46
写真47

お奨め度★★★

4
写真00


「War and Peace」(邦訳:戦争と平和、以下本作)は、1980年に米国のThe Avalon Hill Game Co(TAHGC)から発表されたナポレオン戦争を扱ったシミュレーションゲームである。デザイナーは、Mark McLaughlinで、本作以外では30年戦争を扱った"Holy Roman Empire"や、太平洋戦争キャンペーン"East Wind Rain"等のデザインでも知られている。
今回、本作をVASSALでソロプレイしてみることにした。選んだシナリオは「解放戦争」。一般には諸国民戦争とも呼ばれる1813年の戦いである。

前回まで-->こちら 

シナリオV.解放戦争(承前)

1Turn(1813年4月)

まずはフランス軍のプレイヤーターンである。
第1Turnは損耗フェイズと同盟フェイズはスキップする。従っていきなり移動フェイズから始まる。フランス軍は全戦線で総攻撃を仕掛ける。ここで決戦に勝利すれば、勝利点を獲得できるからだ。
まず北部ベルリン方面では、ヴィクトール(Vicror)将軍麾下のフランス軍4戦力(約2万)がベルリンを守るプロイセン軍1戦力(約0.5万)を強襲。これを陥落せしめていた。またその西方では、ダヴー(Davot)将軍麾下のフランス軍8戦力(約4万)が、ヨルク(York)将軍麾下のプロイセン軍7戦力(約3.5万)とウィトゲンシュタイン(Witgenstein)将軍麾下のロシア軍4戦力(約2万)と交戦。兵力に勝る連合軍をダヴー麾下のフランス軍が完膚なきまでに撃破した。
南部戦線ではナポレオン自ら率いる9戦力(約4.5万)が、ライプチヒを守るプロイセン軍ブリュヒャー(Blucher)将軍麾下の6戦力(約3万)と交戦。兵力、士気、そして指揮官の能力に勝るフランス軍がプロイセン軍を難なく撃破した。
またドレスデンでは、都市に籠るロシア軍5戦力(約2.5万)をフランス軍スールト(Soult)将軍麾下の8戦力(約4万)が強襲。激しい戦いの末、町からロシア軍をたたき出した。

一連の戦いでフランス軍の損害は衛星諸国も含めて僅か3戦力。それに対して連合軍は、プロイセン軍6戦力とロシア軍4戦力の計10戦力を失った。さらにフランス軍は勝利点3点をゲットした(3個所の戦いに勝利したため)。さらにベルリン占領で都市点もゲットした。それに対して連合軍は都市点の対象がブレスラウのみとなり、いきなり苦しい立場となったのである。

連合軍としては直ちに反撃したい所だが、十分な兵力が整わない状況でフランス軍と正面から戦うのは自殺行為を考える。そこで兵力を4戦力以下に分散させて決戦を避ける態勢とし、フランス軍の攻撃に対して柔軟な形とする。またステッテンを包囲中のクライスト(Kliist)将軍麾下プロイセン軍4戦力(約2万)が総攻撃を実施し、ステッテンを奪回した。

写真02


これまで見てきた通り「戦争と平和」は極めて素直なシステムを採用している。1Turn1ヶ月で基本的には損耗、移動、戦闘の繰り返し(損耗の移動の間に同盟と増援フェイズが挟まる)。戦闘も比率方式でラウンドを繰り返すというシンプルさだ。指揮官や親衛隊、騎兵や後備兵といった要素を含んでいながらもこのシンプルさは芸術的と思える程である。こういうシンプルなシステムで太平洋戦争キャンペーンを作ってみたい気がするが・・・。無理だろうなぁ・・・。

2Turn(1813年5月)

フランス軍の手番である。損耗フェイズのダイス目は2。フランス軍にとっては嬉しい出目だ。11戦力以上集まっていて、かつ友好国以外のスタックのみが損耗の対象となる。そんなスタックはない。
同盟フェイズ。出目は1。これもフランス軍にとっては有難い。DRMがフランス軍勝利点3点と都市点1点で-4。連合軍都市点1で+1。トータルでDRM-3だ。1-3=-2(0未満)なので、フランス軍によって有利なイベントが発生する。ババリア、ナポリ、サクソニア、スイスがフランス側に立って参戦する。
フランス軍は戦線後方ハノーヴァーに回り込んだビューロー(Bulow)将軍麾下プロイセン軍4戦力(約2万)をフランス軍ダヴー将軍麾下の8戦力(約4万)が反転追尾。兵力、士気、そして指揮官の能力に勝るフランス軍が圧勝し、プロイセン軍はハノーヴァーから後退していく。その頃、ナポレオンはドレスデンに本拠を構えて動かない。

連合軍の手番。損耗フェイズのダイス目は3。まあまあである。連合軍も失った兵力はない。
同盟フェイズ。ダイスを振っても何も起こらないのでスキップする。 連合軍はベルリン方面で限定的な反撃を実施した。連合軍随一の名将ブリュヒャー将軍麾下の4戦力(約2万)が、ベルリンを守るウジェーヌ(Eugene)将軍麾下のフランス軍4戦力(約2万)を強襲。ほぼ互角の戦いであったが、運を味方につけた連合軍がフランス軍を撃破。連合軍がベルリンを奪い返した。
写真03


3Turn(1813年6月)

フランス軍の手番。損耗フェイズのダイス目は5。フランス軍にとってはあまり良い目ではない。6ユニット以上がスタックしているヘクスでは騎兵を含む2戦力を失う。損耗によるフランス軍の損失は計8戦力。その中には騎兵3戦力も含まれている。
同目フェイズは例によってスキップ。
増援フェイズでフランス軍は新たに12戦力を得た。 移動、戦闘フェイズ。フランス軍はベルリン奪回作戦を発動。スールト、ダヴー両将が率いる計22戦力(約11万)をベルリン方面に向けさせた。同方面にはプロイセン軍計9戦力、ロシア軍計15戦力の合計24戦力(約12万)が展開していたが、広く散開していた彼らはフランス軍の重点攻撃に抗し得ず後退。ベルリンは再びフランス軍の手中に戻った。

連合軍の手番。損耗のダイス目は最悪の6が出てしまった。それでも広く散開していた連合軍は、自国内戦闘ということもあり、プロイセン軍には損耗なし。ロシア軍6戦力を失うに留まった。
大規模な増援部隊がロシア本国で編成されつつある。しかし彼らが前線に到着するまではまだ少し時間がかかりそう。その間連合軍は限定攻勢を仕掛けて状況の改善を画した。 ロシア軍バルクレイ(Barcray de Tolly)将軍率いるロシア、プロイセン連合軍計4戦力が、ベルリン北方に展開するウジェーヌ(Eugene)将軍麾下のフランス軍6戦力を急襲する。数の上での劣勢を指揮能力の差で補うといった戦いであったが、連合軍にとってはダイス目に恵まれなかった。また後方に展開していたスールト将軍麾下の7戦力も速やかに応援に駆け付けたこともあって、バルクレイは兵をまとめて後退していった。
写真04


(つづく)

4
190825高熱隧道


近代史における様々な事件を小説の形でまとまた吉村昭氏。彼の作品の1つが「高熱隧道」である。1936年から開始された黒部川第3発電所の建設は、難渋を極め、実に300名以上が犠牲になるという日本土木史上最悪レベルの難事業であった。特に仙谷谷と阿曽原の区間は、摂氏100度を超える高熱の岩盤を有する灼熱地帯で、そこを突破するトンネル工事は過酷そのものであったという。さらに泡雪崩と呼ばれる現象によって冬季宿舎が2度に渡って大損傷し(一度は雪崩対策を施した筈の鉄筋コンクリートの建物が約600m吹き飛ばされた)、それによって100名以上が命を落としている。
本書はそのような困難を極めた工事を小説の形を借りて表現したものである。本書の登場人物は架空の人物だが、そこで繰り広げられた出来事は史実に基づいたものであり、戦前期における土木工事の過酷な実態を我々に示してくれている。
読み物として読んでも勿論一級品だが、史実を考えるきっかけとしても良いだろう。

お奨め度★★★★

↑このページのトップヘ