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「欧州海域戦」( 「ソロモン夜襲戦」 の欧州戦線版)で地中海の戦いを再現してみる。
[CW_BB7a.png] 今回挑戦するのは「スパルティヴェント岬沖海戦」。イタリア側では「テウラダ岬沖海戦」と呼ばれる戦いだ。シナリオの序文からこの戦いの背景を見てみよう。

1940年11月11日の夜間に実施された英空母「イラストリアス」によるタラント港空襲によりイタリア海軍は保有する戦艦6隻のうち一挙に3隻を大破せしめられた。このままではイタリア戦艦は全く活躍しないままに撃滅されてしまう。そう考えたイタリア海軍は、タラント港空襲の約1週間後に新鋭戦艦「ヴィットリオ・ヴェネト」を含む水上部隊をマルタ島へ向かう英輸送船団攻撃のために出撃させた。
11月26日に再び出撃したイタリア艦隊は、翌27日にジブラルタルを出撃してきた英艦隊と遭遇した。その時の英艦隊は、戦艦「ラミリーズ」、巡洋戦艦「レナウン」、空母「アークロイヤル」等からなる有力な部隊。それに対してイタリア艦隊は、新鋭戦艦「ヴィットリオ・ヴェネト」と戦前の改造によって強化された戦艦「ジュリオ・チェザーレ」、さらには重巡6隻を含む強力な部隊である。地中海では2度目となる英伊戦艦同士の海戦が始まろうとしていた。


とまあこんな感じの戦いである。戦闘序列(直接水上交戦したもののみ)については、例によってVincent O'Hara氏の 「Struggle For the Middle Sea」 によると、英艦隊が戦艦1、巡戦1、重巡1、軽巡4、駆逐艦10の計17隻。対するイタリア艦隊は戦艦2、重巡6、駆逐艦14の計22隻である。しかもイタリア側には最新鋭の「ヴィットリオ・ヴェネト」が加わっている。前回紹介した。 カラブリア沖海戦 に比べると、イタリア側が随分と有利になっている。果たしてイタリア艦隊が一矢を報いることができるか。

Turn00a


1Turn

IT_CA7a最初に接触したのは両軍の巡洋艦戦隊であった。英軍の合同巡洋艦戦隊が巡洋艦5隻。対するイタリア軍は第3戦隊に所属する重巡3隻だ。
距離15Hex(約22km)の遠距離で相対した英独の巡洋艦は、お互いに砲火を浴びせかけた。英軍の巡洋艦は早くも腕の冴えを見せて、先頭を進む重巡「ベルウィック」が伊重巡「トレント」を夾叉して8インチ砲の直撃弾1を与えた。その後方を進む軽巡「マンチェスター」も伊重巡「トリエステ」に6インチ砲の命中1を与えた。
一方のイタリア軍は重巡「ボルツァーノ」が英軽巡「ニューキャッスル」に直撃弾1を与えた。

Turn01a


2Turn

早くもイタリアの戦艦が戦闘に介入してきた。距離18Hex(27km)という視認距離限界から「ヴィットリオ・ヴェネト」が主砲を発砲したのである。軽巡「サザンプトン」を狙ったその一撃は、辛くも目標を逸れた。

Turn02a


3Turn

「イタリア戦艦現る」

CW_CL50b この報告を受けた英巡洋艦部隊は右へ一斉に変針し、一旦敵の照準を躱す。しかし伊戦艦の主砲が遂に英艦隊を捉えた。距離20Hex(約30km)の大遠距離から放たれた戦艦「ジュリオ・ジェーザレ」の放った13インチ砲弾1発が英軽巡「シェフィールド」に命中したのである。艦内で誘爆を起こした「シェフィールド」であったが、何とか戦闘継続は可能な状態であった。

Turn03a


4Turn

CW_BC1a再び「チェーザレ」の主砲が「シェフィールド」を捉えた。13インチ砲弾1発が「シェフィールド」に命中する。「シェフィールド」は傷つきつつも、何とか戦列内に留まった。さらに重巡「トリエステ」が8インチ砲弾1発を英軽巡「マンチェスター」に命中させる。
このTurnから英戦艦部隊も戦闘に加入してきた。巡洋戦艦「レナウン」の放った15インチ砲弾が、伊戦艦「ジュリオ・チェーザレ」に命中し、死傷者十数名が出た。

Turn04a


5Turn

先のTurnに直撃弾を受けた「チェーザレ」は左へ60度回頭して射弾を回避する。そのためこのTurn、両軍の砲火はそのほとんどが空振りに終わった。

Turn05a


6Turn

CW_CL53a回頭中のイタリア艦隊は英艦隊との距離を詰める。その距離は14Hex(21km)。戦艦にとっては手ごろな決戦距離 だ。「レナウン」と「ヴィットリオ・ヴェネト」が互いに相手を狙うが、両方とも外れである。しかし後方から近づいて来た戦艦「ラミリーズ」が遠距離射撃で伊戦艦「ジュリオ・チェーザレ」に15インチ砲弾1発を命中させた。「チェーザレ」の最大速度は20ktにまで低下してしまう。
さらに英軽巡「マンチェスター」は伊重巡「ボルツァーノ」に連続して3発の6インチ砲弾を命中させたが、砲弾の威力が小さかったため、「ボルツァーノ」は依然として戦列に留まっている。

Turn06a


つづく

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