BoS03


「欧州海域戦」( 「ソロモン夜襲戦」 の欧州戦線版)で地中海の戦いを再現してみる。
今回挑戦するのは「スパルティヴェント岬沖海戦」。イタリア側では「テウラダ岬沖海戦」と呼ばれる戦いだ。タラント港空襲の約2週間後に英伊の戦艦を含む部隊同士が戦った戦いだ。

前回まで --> こちら

Turn06a


7Turn

IT_BB6a英伊艦隊が並行砲戦である。「レナウン」と「ヴィットリオ・ヴェネト」の一騎打ち。「レナウン」が15インチ砲弾2発を「ヴェネト」に命中させた。1発は「ヴェネト」の装甲が跳ね返したが、1発は艦首部に命中して破孔を穿つ。
しかし「ヴィットリオ・ヴェネト」の主砲もようやく目標を捉えた。主砲弾である15インチ砲弾3発が立て続けに英巡洋戦艦「レナウン」に命中した。「ヴィットリオ・ヴェネト」の主砲は、15インチ砲とはいっても砲身の長い新型砲で、その威力は英戦艦の搭載する15インチ砲を大きく上回る。しかも「レナウン」は巡洋戦艦で、本格的な戦艦に比べると装甲は脆弱だ。3発の15インチ砲弾は「レナウン」の装甲を貫き、1発は司令部で炸裂して幕僚たちに大きな被害を与えた。「レナウン」の最大速度は25ktまで低下したが、なんとか戦列を維持している。

Turn07a


8Turn

被弾した「レナウン」は右へ回頭、戦列を離れていく。英駆逐艦が煙幕を展張して「レナウン」の姿を隠す。しかし「ヴィットリオ・ヴェネト」は逃がさない。煙幕の隙間から僅かに捉えた「レナウン」に対して的確な射撃を行った。強力な15インチ砲弾1発が「レナウン」に命中。「レナウン」の最大速度は20ktにまで低下してしまう。

Turn08a


9Turn

CW_CL53a「レナウン」はさらに煙幕を展開しながら蛇行しつつ砲弾を回避する。長射程を誇る「ヴィットリオ・ヴェネト」の主砲は距離17Hex(約25km)であっても十分に有効射程距離内であったが、さすがに煙幕に阻まれて今度は命中弾なし。また、もう1隻の戦艦「ジュリオ・チェーザレ」も英軽巡「シェフィールド」を距離14hex(約21km)で狙ったが、こちらも命中はなかった。
英戦艦「ラミリーズ」は単艦でイタリア2戦艦に立ち向かっていく。距離14Hex(約21km)で手負いの「ジュリオ・チェーザレ」を狙ったが、惜しくも外れた。

英巡洋艦隊が見事な腕前を見せた。距離14hex(約21km)でイタリア重巡戦隊と砲戦を続ける5隻の英巡洋艦。2番艦「ニューキャッスル」は伊重巡「トレント」に6インチ砲弾1発を命中させたが、惜しくも不発弾であった。また3番艦「マンチェスター」は伊重巡「ボルツァーノ」に4発の6インチ砲弾を命中させた。不発弾2発が惜しかったが、それでも「ボルツァーノ」の傷を深めていく。

Turn09a


10Turn

IT_CA4a損害を受けたイタリア重巡第3戦隊は、左へ旋回して英巡洋艦との距離を離隔する。一方、新たに前面に現れてきたのは、イタリア第1戦隊であった。こちらも重巡3隻からなる戦隊であったが、こちらは防御力に優れたザラ級重巡3隻からなる部隊である。それに対して相変わらず優れた砲撃技量を示す英巡洋艦部隊は、早くも「ニューキャッスル」が3発の6インチ砲弾を旗艦である重巡「フィウメ」に命中させた。しかし、さすがは重装甲艦。6インチ砲弾を全て跳ね返し、格の違いを見せつけたのである。

イタリア戦艦2隻は逃げる「レナウン」への追撃を諦めて唯一残った英戦艦「ラミリーズ」を狙う。「ヴィットリオ・ヴェネト」の主砲は距離14Hex(約21km)で並行航行中の「ラミリーズ」を狙うが、目標変更した直後の射撃はさすがに外れた。
しかしもう1隻「ジュリオ・チェーザレ」は遂に命中弾を得た。かねてから砲撃中の軽巡「シェフィールド」に遂に13インチ砲弾1発を命中させたのである。「シェフィールド」は中破し、その速度は20ktまで低下した。

11Turn

「ヴィットリオ・ヴェネト」の主砲が「ラミリーズ」を捉えた。距離15Hex(約23km)で15インチ砲弾1発が「ラミリーズ」の中央部に命中したのである。「ラミリーズ」の主装甲を貫いた徹甲弾は、「ラミリーズ」の艦内に小さな誘爆を引き起こし、数十名の死傷者を生じせしめた。

12Turn

CW_BB5b被弾した「ラミリーズ」は、敵の照準を外すべく右へ60度変針する。変針しながらも主砲を敵戦艦「ジュリオ・チェーザレ」に向けていた。そして遂に命中弾を得たのである。15インチ砲弾の直撃を受けた「チェーザレ」は大きく速度を減じていく。
しかし時すでに遅し。「ラミリーズ」を照準していた「ヴィットリオ・ヴェネト」は、その主砲で着実に「ラミリーズ」を狙っていたのである。15インチ砲弾2発が次々と「ラミリーズ」に命中する。「ラミリーズ」小破。この時点で英艦隊は士気を喪失し、戦場離脱を決意。
スパルティヴェント岬沖海戦は史実と異なりイタリア艦隊の勝利に終わった。

Turn12a


両軍の損害

イタリア艦隊

中破:戦艦「ジュリオ・チェーザレ」
小破:重巡「トリエステ」「ボルツァーノ」「ザラ」


英連邦艦隊

中破:巡洋戦艦「レナウン」、軽巡「シェフィールド」
小破:戦艦「ラミリーズ」

その他、両軍とも小破に至らない軽傷の艦が数隻。

感想

史実に比べてかなり派手な展開となってしまった。イタリア軍の士気を史実よりもやや高くしたからだが、仮に士気をもっと下げてゲーム終了ラインを下げたとしても、今回の結果は変わらなかった。その場合、恐らく「レナウン」が撃破された時点で決着が着いていた可能性が高い。そういった意味では、今回のような展開の方が面白いと思う。

それにしても戦艦の違いは大きい。前回のカラブリア沖海戦ではイタリア側が「コンテ・ディ・カブール」級戦艦2隻だったため、英戦艦(それも最新鋭のKGVやビックセブンのネルソン級ではない、どちらかといえば旧式艦)相手に苦戦を強いられたが、今回は新鋭の「ヴィットリオ・ヴェネト」だったので、性能で英戦艦を圧倒できた。さらに8インチ砲重巡についても、英大型軽巡を確実にアウトレンジできる強みは大きい。今回のシナリオで7発もの6インチ砲弾を喫した「ボルツァーノ」が、もしさらなる打撃を受けて中破していれば、ゲーム上の勝敗は逆転していた(「ボルツァーノ」中破、「チェーザレ」中破で英側は勝利条件を満足する)。そういった意味で、6インチ砲搭載大型軽巡の限界を垣間見た気がする。

このシナリオはややイタリア側が有利なシナリオかもしれない。ただ戦艦、重巡による長距離砲撃戦を堪能できるという点では、戦前に日本海軍が思い描いた艦隊決戦に近いイメージのシナリオでもある。本来の実力を発揮できずに歴史の彼方に姿を消したイタリア戦艦の活躍を堪能できるという意味でも、本シナリオは興味深いものになると思う。

BoS04