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Atlantic Chase(以下、本作)は、GMT社が2021年に発売を開始した海戦ゲームです。テーマは北大西洋周辺における海上戦闘で。1ユニットは軽巡以上の艦船1隻(駆逐艦、輸送船は戦隊単位)、1Hexの大きさは凡そ100海里ぐらいに相当します。

本作のシステムについては、 以前の記事 で解説しているので、そちらを参照してください。

前回のプレイで少しルールミスがあったので、今回は再戦してみることにしました。

OP1.Homecoming

最初に選択したのはシナリオOP1「Homecoming」です。これはドイツの客船「ブレーメン」が開戦前夜に北アメリカからドイツ本国を目指すシナリオです。私は英海軍を担当。英海軍は「ブレーメン」を大西洋上で捕捉し、臨検すれば勝利します。結果はアイスランド南西沖で英艦隊が見事に「ブレーメン」を捕捉し、これを臨検して勝利しました。

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OP2.First Test

ドイツのポケット戦艦「グラフ・シュペー」が南大西洋での任務を終えて本国への帰路についていた。本シナリオは「グラフ・シュペー」の本国帰還とそれを援護するドイツ艦隊、そしてそれを阻止する英艦隊の戦いを描いたシナリオです。私はドイツ軍を担当しました。

「グラフ・シュペー」が高速を利して大西洋を北上。英海軍の哨戒線を突破して北大西洋に抜けていきます。GIUKギャップで英海軍が待ち受ける中、「シュペー」は意表を突いてスカパフロー前面を突破。ヴィルヘルムスハーフェンまで迫ります。英軍は巡洋艦で追撃。ヴィルヘルムスハーフェン前面で「シュペー」を捕捉。砲撃戦の末、これを中破に追い込みますが、最後は「シュペー」が逃亡に成功。このシナリオはドイツ軍の勝利に終わりました。

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OP4.Berlin

ベルリン作戦。1941年1~3月に行われたドイツ海軍の新鋭巡洋戦艦2隻による北大西洋での通商破壊戦です。英軍を担当する私はフランス沖に阻止線を形成。ドイツ艦隊を待ち受けます。しかしドイツ軍は航空攻撃でブレスト沖の英艦隊を攻撃。航空攻撃を嫌った英艦隊が阻止線を崩した隙にドイツ艦隊は次々とブレスト入港を果たし、ドイツ軍の勝利になりました。

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OP5.Rheinubung

「ライン演習」として有名なビスマルク追撃戦を扱ったシナリオです。このシナリオは立場を変えて1度ずつ(計2回)プレイしました。結果はいずれもドイツ軍の勝利。いずれの場合も戦艦「ビスマルク」と重巡「プリンツオイゲン」が揃ってブレストに入港しました。

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OP6.New Friends

「ビスマルク」が沈没した直後にドイツ軍がソヴィエト連邦に侵攻。独ソ戦が始まりました。英軍は新たな友邦ソ連邦を支援すべく、ソ連ムルマンスクに向けて輸送船団を進発させます。それを迎撃するドイツ艦隊。本シナリオはバルバロッサ作戦が開始されてから数か月後の1941年秋の状況を再現します。下名はドイツ軍を担当。

ドイツ軍は新鋭戦艦「ティルピッツ」をバレンツ海に出撃させ援ソ船団を攻撃します。船団を護衛していた英重巡は奮戦し、「ティルピッツ」と同行していたポケット戦艦「シェアー」を撃破しますが、その重巡も「ティルピッツ」の砲火の前に遂に力尽きます。残った船団は「ティルピッツ」によってなぶり殺しになり、このシナリオはドイツ軍が勝利しました。

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OP7.Non Compos Mentis

今回最後にプレイした最後のシナリオは、アメリカが参戦した後の1942年2月における大西洋の戦いを描いたシナリオです。連合軍は3つの船団を持ち、それぞれ米本土から英本土を目指すもの、英本土からジブラルタルを目指すもの、そしてアイスランドからソ連ムルマンスクを目指すものになっています。私は連合軍を担当しました。

最初にムルマンスク船団がドイツ戦艦「ティルピッツ」の襲撃を切り抜けて無事ムルマンスクに入港。まず連合軍3点をゲットします。
さらにブレストを出撃した「シャルンホルスト」「グナイゼナウ」のドイツ艦隊を英本土沿岸航空隊のボーフォート雷撃機が強襲。「シャルンホルスト」に魚雷を命中させてこれを撃破しました。
さらに大西洋に出撃してきた戦艦「ティルピッツ」に対してスカパフローを出撃した英本国艦隊が追撃。アイスランド南方海域でこれを捕捉し、空母「ヴィクトリアス」の艦載機で攻撃を仕掛けるも、これが外れ。「ティルピッツ」は虎口を脱します。
そうこうしている間にハリファックス船団は英本土に到達。北アフリカを目指すジブラルタル船団も無事ジブラルタルに到達し、英軍がシナリオの勝利条件を満足しました。

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感想

今回はプレイ時間約8時間(途中休憩やお喋り、食事の時間を含む)でしたが、計7回の対戦を堪能できました。プレイ時間はシナリオの種類やプレイの流れ等によってバラつきがあるものの、概ね1時間弱から長くても2時間以内に終わります。作戦級の海戦ゲームとしては、破格と言って良いプレイの「軽さ」です。

前回も触れましたが、本作は独特のシステムを採用しているため、ルールを読んだだけではプレイの進め方が理解し辛いです。しかし誰か詳しい人が1人いれば、インストでプレイすることも可能です。一度仕組みを理解できれば、システム自体は綺麗に整理されており、また各種修正値等もチャートに記載されているので、プレイ自体は楽です。

今回、試しに上級水上戦ルールを入れてみました。これは従来の水上戦をやや複雑にしたもので、基本ルールでは単なるヒットポイントだった各艦の損傷状況が、砲塔損傷や弾薬庫爆発等、細かい損傷状況で再現されています。
上級ルールをプレイしての感想としては、本作の良さ(シンプルさ)がやや損なわれているかな、と、感じました。元々は細かいディテールを追求するタイプのゲームではないので、細かい戦闘ルールは「手間だけ増やすだけ」のように思えます。そういった意味で、個人的には上級戦闘ルールなしでプレイすることをお奨めしたいと思います。

KMS_Tirpitz