RedStorm


Red Storm(以下、本作)は、2019年に米国GMT社から発売されたシミュレーションゲームだ。テーマは1987年における東西ドイツ上空における航空戦闘である。実際に起こらなかった戦争を再現する本作は、一種の「仮想戦」ゲームといえる。ゲームシステムについては、 以前の記事 を参照されたい。

今回は、その中からシナリオRS9:NightHawkをプレイしてみた。プレイスタイルは、VASSALを使ったソロプレイである。

開戦から3日目、NATO軍は厳重に防御されたWP軍の防空ネットワークの拠点を破壊すべく、当時の最高機密機であったF-117A "NightHawk"ステルス攻撃機の投入を決意した。4450戦術航空団に所属するF-117A計12機は、少数の戦闘機に掩護され、世界で最も厳重に防護されたWP軍防空組織へ飛び込むことになる。

前回までの展開は --> こちら

Turn04c


5Turn

F-15の編隊がMiG-29に一矢報いんとして正面からスパローミサイルを発射するも、またも外れである。NATO側攻撃本隊がWP側の防空圏に入ってきた。F-4G "WildWeasel V"がハーム対レーダーミサイルを発射して早期警戒レーダーを狙うも、レーダーは速やかにシャットダウンしたので被害なし。

F-4G_Phantom_II_wild_weasel


6Turn

US_F15_CobraイベントでWP側の指揮混乱が発生。このTurn、WP側は空中戦を仕掛けることができない。一方で先にMiG-23を撃破したF-15C "Cobra"小隊が前方に別の敵機を発見した。東ドイツ軍のMiG-21である。Cobra小隊はアフターバーナーに点火。高高度を飛行したままMiG-21の前方に回り込むと、2発のスパローミサイルを発射した。ミサイルは見事に目標を捉えて1機のMiG-21を四散させ、さらに別の1機は至近弾により損傷した。両軍通じて初の撃墜戦果である。撃墜されたMiG-21のパイロットは脱出することができず、機と運命を共にした。さらにSAM部隊もF-15の編隊をロックオンしたまま追いかけるが、近くにWP側戦闘機が位置しているため、味方撃ちを恐れたWP側のSAMは射撃できない。

Turn06a


NATO側の攻撃本隊が続々と最前線を飛び越えてくる。主力のF-117Aはステルス攻撃であり、WP側のレーダー網はなかなかこれを捕捉できない。

7Turn

RU_MiG29_StepanovイベントでWP側に戦闘機が登場した。MiG-21MF "Fishbed"。東ドイツ空軍の旧式機だが、護衛が潤沢とは言えないNATO側攻撃隊を攪乱する意味はある。
先にF-15 1機を撃破したMiG-29の2機編隊が再び戦果を挙げた。SEAD任務のF-4G"WildWeasel" 2機編隊に対して10マイルの距離からミサイル攻撃を実施。1発がファントムの至近距離で炸裂して大破せしめた。この攻撃によってSEAD編隊は爆装を投棄する。貴重なSEAD戦力の1/3を無力化したMiG-29の大殊勲であった。

Turn07a


ZZ_RadarShutdownこのMiG-29に対してF-4E "Phantom"2個編隊4機が次々とミサイル攻撃を仕掛ける。中距離ミサイル計16発を撃ち尽くす攻撃でもMiG-29の1機を小破させたのが精一杯。しかもこのMiG-29は未だに戦闘能力を維持している。
NATO側の残ったF-4G"WildWeasel" 2個編隊は、WP側のSAM発射を掻い潜って"HARM"対レーダーミサイル攻撃を仕掛ける。も、ミサイル攻撃を受けたWP側レーダーサイトは巧みにレーダーシャットダウンを実施し、"HARM"の攻撃を躱していく。

Turn07b


8Turn

US_F117_HailF-15C "Cobra"小隊が漸く厄介なMiG-29を制圧した。最後のスパローミサイル2発の攻撃で1機を大破、もう1機を小破させ、MiG-29の小隊を無力化したのである。
F-117A "NightHawk"の1個小隊が攻撃目標上空に到達した。早期警戒レーダーサイトである。2発のレーダー誘導爆弾がレーダーサイトを正確に貫き、これを完全に撃破した。

Turn08a

9Turn

ZZ_SAMLaunchWP側迎撃戦闘機が後退していったため、今度はSAMが激しくNATO機を迎え撃つ。このTurnだけで10発以上のSAMが発射され、そのうちの何発かはNATO側戦闘機、攻撃機に危険なほど接近してきたが、被弾した機はなし。NATO側攻撃機の強力な欺瞞式電子妨害装置とスタンドオフジャミングによってSAMが目標に近づいても、悉く欺瞞されてしまうのだ。一部のWP側SAM部隊は、ステルス攻撃機であるF-117Aに対してLOAL(Lock On After Launch -- 発射後ロックオン)方式で射撃を試みたが、ミサイルは明後日の方向に飛んで行った。

Turn09a


10Turn

US_F4_Dodge最後に残っていた東ドイツ軍のMiG-21MFに対して、米空軍のF-4E"Phantom"小隊が空戦を挑んだ。夜間における格闘戦は視界が効かないので実施が難しい。しかしこの"Dodge"小隊は、運良くこれを捕捉した。既にAIM-7Fスパローミサイルは撃ち尽くしていたので、頼りになるのはAIM-9L"SideWinder"と20mmVulcan砲だけである。さらにMiG-21の機動性は、この高度ではF-4Eに匹敵する。技量だけが頼りの米空軍パイロット達だが、鍛えられた彼らはMiGを圧倒した。1機のMiG-21にはサイドワインダーが直撃。空中に四散した。パイロットは機と運命を共にした。もう1機のMiGは20mm機関砲の斉射を浴びて煙の尾を引きながら撤退していく。米軍側の損害は皆無であった。

Turn10a


F-117Aの攻撃編隊のうち2個目の小隊が目標上空に到達した。彼らはLOAL方式で発射されたSAMや散発的な対空射撃を無視してレーザー誘導爆弾を投下。目標のレーダーサイトを完全に破壊した。

Turn10b


11Turn

RU_SA4_E1両軍とも戦闘機同士の戦いが終わったので、それぞれ引き上げに入っている。未だに戦っているのは、WP側のSAM部隊とNATO側のSEAD機やF-117Aステルス攻撃機だ。NATO側のSEAD機がそれほど大戦力ではなかったことや、MiG-29の攻撃でNATO側SEAD機の1/3が無力化されたため、WP側のSAM部隊はその大半が未だに健在であった。
F-117Aの攻撃部隊が次々と目標上空に進入する。主攻撃目標の1つである防空司令部はレーザー誘導爆弾の直撃を受けて完全撃破。また別の目標であるSA-2SAM大隊は、やはりレーダー誘導爆弾の攻撃により機能停止した。
NATO側攻撃編隊のうち、非ステルス機はこのTurnも激しいSAM攻撃を受けた。ミサイルの何発かは目標の近距離に近づくのだが、米軍機の欺瞞式妨害装置とスタンドオフジャマーに阻まれて有効弾はない。米軍機の電子装備の優秀さが際立った感があるが、もし狙われたのが他のNATO諸国の戦闘機なら、無事では済まなかった可能性が高い。ベルギーやオランダのF-16なんて、外見は米軍のF-16と同じだけど、電子装備はダウングレードされた「モンキーモデル」なのだから・・・。

Turn11a


12Turn

ZZ_DestroyedF-117Aが最後の攻撃を実施した。防空司令部は重損害、SA-2 SAM大隊は完全撃破。これによってF-117Aによる攻撃は終了。攻撃目標6個のうち、完全撃破4個、重損害2個である。攻撃に参加したF-117Aは計12機。この時点でF-117Aの中で撃墜されたものはおろか、被弾損傷した機体も1機もなかった。さあ、後は引き挙げるだけだ。

Turn12a


つづく

F-117_Nighthawk