210904_特攻とは何か

特攻とは何か

森史郎 文藝春秋

以前に同じ著者による特攻を扱った 「敷島隊の五人」を紹介したが 本書はその続編にあたる著作である。前作では特攻を「命じられた側」から特攻について論じているが、本書は「特攻を命じた側」から見た特攻について論じている。
本書の主役は「特攻の親」と言われる大西瀧治郎で、大西が第1航空艦隊司令長官に任じられてフィリピンに赴任する所から、玉音放送を聞いて割腹自決する所までを描いている。
本書の特徴としては大西の行動を弁護や批判することよりも彼の言動を忠実に追いかけてそこから彼の心情を推測している。しかし本書を読めば、大西をはじめとする特攻推進の当時の海軍高官たち(大西、玉井、猪口、中島ら)の行動に対して怒りを禁じ得ない。
米軍を初めとする諸外国から「愚劣」と評される特攻作戦。その実像について理解を深めるには良い著作と言える。

お奨め度★★★★