第1次世界大戦をプレイした 後、引き続いてプレイしたのが、Sticks and Stonesに(以下、本作)です。
本作については、 以前に紹介 しました。「もし1987年に米ソ間で核戦争が起こり、その後西ヨーロッパを舞台とした地上戦が起こったら・・・」という設定に基づいた戦術級陸戦ゲームです。基本システムについては、 以前に紹介 で紹介した通りです。

今回、BAZAIまがじん第10号の付録ゲームとして本作が完全日本語版として発売されました。そこでこの機会に再戦してみました。

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シナリオ1.近すぎた橋

ソ連軍戦車連隊の先鋒大隊が米軍の混成大隊の守るGersbach(ゲルスバッハ)を攻撃せんとするもの。兵力はソ連側がT-72戦車10個小隊。対する米軍はエイブラムス戦車2個小隊、M901対戦車自走砲(TOWミサイル搭載)2個小隊、歩兵小隊、ドラゴンチーム、M113兵員輸送車1個小隊である。ユニット数は10対7とそれほど乖離はないが、戦車10ユニットのソ連軍に対して米軍は戦車2ユニットのみ。それを補うTOW対戦車ミサイルを搭載したM901が2ユニット、ドラゴン対戦車ミサイルを装備した1ユニットを合わせて5ユニットで、それを加味しても兵力比は2:1とソ連側が有利である。
一方で戦術的状況は待ち伏せしている米軍が有利で、地形を生かした待ち伏せ攻撃が可能になっている。また戦車性能では米側が大きく優越しており、火力や装甲の優越だけではなく、有効射程距離や士気の面でも優越しているので、戦車同士の撃ち合いなら米側が遅れをとることはない。
このシナリオではソ連軍の進攻方向が限定されているため、米軍は兵力を集中してこれを待ち受けることができる。稜線を超えてゲルスバッハを目指すソ連軍戦車大隊は、距離1200~1500m(8~10Hex)の中距離からエイブラムスやTOWミサイルによる的確な射撃を受けた。待ち伏せにより先制の利を持つ米軍に対し、ソ連軍戦車も反撃を試みるが、距離が遠く有効弾が得られない。
結局ソ連戦車はゲルスバッハに近づく前に兵力の大半を失い、戦闘力を失った。

後から考えると、ソ連戦車は米戦車と撃ち合いをするのではなく、行進間射撃を利用して距離を詰めてから撃った方が良かったように思う。距離が遠いと両者の性能差がモロに出てしまうので、「損害上等」で一気に間合いを詰めて近距離から撃ちあうのが良いのかな。さらに距離を詰めて近接戦闘に持ち込めれば、性能差が埋められる。米軍としては接近戦での不利を避けるために歩戦共同が欠かせないだろう。なお、装甲の弱いM901は最優先で無力化しなければならないと思う。

シナリオ4.俺たちの戦い

先ほどのシナリオは練習戦ということで、次に挑戦したのは本作で最も規模の大きなシナリオである。全10Turnに渡ってマップ全域に広がる市街地の支配を争うシナリオである。私は米軍を担当した。

両軍の兵力を見てみる。
まず攻撃側であるソ連軍。T-72戦車10個小隊、BMP歩兵戦闘車9個小隊、歩兵9個小隊、さらに親衛第1戦車連隊所属のT-80戦車3個小隊である。兵力的には1個連隊(あるいはタスクフォース)相当の兵力になる。ユニット数は合計31個。そのうち(近接戦闘以外で)対戦車戦闘可能なものは22個である。その中でアタッチされているT-80戦車は、エリート部隊扱いで士気値が他のユニットよりも優れている。
対する米軍部隊は、エイブラムス戦車6個小隊、M901対戦車自走砲2個小隊、ドラゴンチーム2個、歩兵4個小隊、M113兵員輸送車4個小隊。ユニット数は計18個。(近接戦闘以外で)対戦車戦闘可能なものは10個である。先ほどのシナリオ同様、兵力ではソ連軍が勝っているが、地の利や兵器の性能では米側が優位になっている。

前回のシナリオとは違い、今回のシナリオではソ連軍は2つの進撃方向を設定できる。1つは先ほどのシナリオでも利用したゲルスバッハを目指す南方ルート。このルートは兵力展開する十分な地積があり、かつ主攻撃目標のゲルスバッハを直撃できるので、ソ連側の主攻撃ルートになると思われる。
もう1つはマップ北部Seehof(ジーホフ)を通るルート。このルートはジーホフの近くに道路トンネルがあり、そこを抜けてくるルートがある。このルートは兵力展開の地積が少なく、さらにこの一帯を制圧してもソ連軍が勝利するにはVPが足らない。従って同方面はソ連軍の牽制攻撃が行われると想定できる。

それに対して我が米軍は主攻撃が予想されるゲルスバッハに主力部隊を配置し、別動隊をジーホフ・トンネル出口に位置するSalzwoog(サルツウーグ)に配置した。また両者の中間にある小高い丘(F7)にはM901対戦車ミサイル小隊2個を配置した。ここは制高点に位置して視界が広く取れる上、前面を川に守られているため歩兵や戦車の接近攻撃を受ける危険性が少ない。先ほどのシナリオでもここをもう少し有効活用すればよかったと少し後悔した。

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序盤、ソ連軍はT-72戦車大隊をゲルスバッハ正面に展開し、その後方からBMP歩兵戦闘車を続行させる。BMPは米側の視認外で歩兵を降ろし、自らは稜線を超えていく。
ゲルスバッハに集結していたが、戦車は前方の森とハーネンルーヘの市街地へ進出させてソ連軍と対峙させる。エイブラムスの主砲が火を噴き、近づくT-72戦車を次々と撃破。T-72も反撃を仕掛けるが、今の所はエイブラムス側に重大な被害は出ていない。

「これは行けそうだ」

とほくそ笑んだが、それも束の間、T-72戦車に引き続いて対戦車ミサイルを備えたBMP歩兵戦闘車が視界内に現れた。

「飛んで火にいる夏の虫」

という訳で装甲の弱いBMPを狙い撃ち。次々と炎上する歩兵戦闘車。しかしBMPにも強力な対戦車ミサイルを搭載している。ミサイルを浴びて撃破される米戦車が出てきた。なんせ敵は数が多い。

その間、北方のジーホフ付近ではトンネルを通って北から突破を図ってくるソ連軍親衛戦車大隊麾下のT-80戦車中隊に対して、トンネルの出口を扼するサルツウーグに布陣したエイブラムス小隊が撃ちまくる。エイブラムスの徹甲弾はトンネルを真っ直ぐ抜けてトンネル内のソ連戦車を撃つ。トンネルの反対側入り口付近では命中弾を受けたT-80戦車1個小隊がスクラップと化した。別の戦車小隊はトンネル内で被弾し、一部がトンネル内部で立ち往生する。しかし残ったT-80はトンネル内から行進間射撃を行い、エイブラムスを撃つ。命中弾を受けたエイブラムスが爆発。遂にトンネルを突破されてしまう。

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主戦場に目を戻すと、装甲車両同士の激しい撃ち合いの最中、稜線を超えて前進してきたソ連軍歩兵がエイブラムス戦車に対して近接突撃を敢行した。車両同士の撃ち合いなら無類の強さを発揮するエイブラムスだが、歩兵の接近戦に対しては脆い。しかも米側は悪いことに戦車を援護する歩兵を随伴させていなかった。今更ながら歩戦共同の重要性を思い知らされた米軍であったが、時すでに遅し。

一連の戦闘でエイブラムス戦車は6個小隊のうち実に5個小隊を失い、残り1個小隊は辛うじてゲルスバッハに逃げ込んで防衛ラインを構築する。しかしソ連側も戦闘車両の大半を失い、残りは歩兵戦力のみ。ゲルスバッハを制圧するのが先か、ゲームエンドが先か。ソ連軍歩兵が最後の突撃を敢行する。

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結局ソ連軍はゲルスバッハに入ることはおろか、近づくことすらできなかった。ゲルスバッハには米軍の歩兵と生き残りのエイブラムス戦車がガッチリ守りを固めており、近づくソ連軍歩兵は米歩兵、M113兵員輸送車の銃撃を受けて次々と打倒されていく。歩兵の強さは地形に頼った防御力にあるのであって、平地を漫然と歩く歩兵ほど脆いものはないのだ。

最終Turnを終了した時点で米軍はゲルスバッハの市街地10ヘクス全部を確保しており、そこから2ヘクス離れた所では銃撃を受けて動けなくなったソ連軍歩兵が蹲っていた。米軍の勝利である。

下図はこのシナリオにおける両軍の損害である。

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感想

射撃や近接戦闘がCRT1発解決ではなく、CRTで出た結果を再度ダイスを振って損害判定するというシステムなのでやや面倒に感じました。このあたり、ゲームテンポよりもダイスを振ることによるワクワク感を重視するのは最近の戦術級ゲームの流行なのでしょうか。
指揮系統や弾切れ等の面倒な部分を思い切ってオミットし、戦車・歩兵同士の撃ち合いに焦点を絞ったのは、1つの見識と言えるでしょう。その分複雑な現代戦をシンプルに再現できる点は評価したいです。
逆に言うと砲兵や航空支援、電子戦といった要素は本作では無視されているので、小隊規模のゲームとしてはやや物足りない感もありますが、現在戦をシンプルに楽しみたい向きには丁度良い作品と言えるでしょう。

なお本作は第3次世界大戦ではなく、第4次世界大戦を扱った作品です。何故第4次世界大戦なのかは、冒頭にも少し触れましたが、詳しくはルールブックを読んで下さい。上に挙げた砲兵等がオミットされている理由も、設定の特殊性に由来するものなのかもしれません。

つづく