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Next War Poland(GMT)は、GMT社から発売されているNext Warシリーズの第4作である。Next Warシリーズは、近未来に予想される正規軍同士の戦いを1Hex=12km、1Turn=0.5週間のスケールで描く作品群だ。Next War Polandは、ロシア軍によるポーランド及びバルト三国への侵攻と、それに対抗するNATO軍の戦いを描いた作品である。

今回、Next War Polandの上級シナリオをソロプレイで試してみた。シナリオは"Tactical Surprise"(戦術奇襲)。3段階の状況設定のうち、丁度中間の設定である。なお選択ルールは16.3避難民を採用する。また17.2.1「トランペット第5条のDRM」は固定値+1とした。季節は夏、第1Turnの天候は晴天とする。

セットアップ

写真31NATO側の状況はかなりランダム性がある。航空兵力はポーランド空軍の7ユニット以外にNATO諸国の10ユニット、米空母艦載機8ユニット、米空軍14ユニット(内6ユニットは無作為増援)が初期兵力として登場する。計39ユニットという兵力は、反NATO軍(ロシア+ベラルーシ)の34ユニットを上回る。この数値から見ると制空権はいずれ近いうちにNATO側が握ることになるだろう。

写真32地上兵力については、逆にNATO側にとってお寒い限りだ。ポーランド国内に展開するのは、ポーランド軍と米第82空中機動師団、米機甲旅団1個と攻撃ヘリコプター若干、米第173空挺旅団のみだ。ドイツ国内からポーランドに向かっている米第2機甲騎兵連隊がこれに加わる。それと北海にいる米海兵隊。

バルト三国にはそれぞれの諸国の固有部隊と、NATO軍が増援にかけつけた2個部隊のみ。兵力差は圧倒的ですらある。これでどうやってバルト三国とポーランドを守れというのか・・・。

ゲーム開始前に海上権支配を判定する。ダイスはNATO側有利な結果となり、NATO軍はバルト海北部まで支配下に置いた。

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そしてゲーム開始前のミサイル攻撃。10火力の弾道ミサイルと10火力の巡航ミサイルがポーランド領内に撃ち込まれる。航空基地4ヵ所が破壊され、その他3ヵ所が損害を被った。

注意:Next War Polandのオリジナルの米軍増援表には重大な誤記がある。改定後の増援表は、以下のサイトからダウンロード可能である。
GMT Next War Poland

1Turn

写真33まず制空戦闘を行う。しかし先のミサイル攻撃で大損害を被ったNATO軍は迎撃を行わなかった。WP軍は労せずして制空権を確保した。
続いてロシア軍はバルト三国とポーランドに侵攻する。1939年の再現だ。バルト三国は早くもロシア軍によって国土の半分が支配されていたが、ポーランド領内では避難民に巻き込まれたロシア軍の前進ははかどらない。 NATOの反撃は米本土を発進する戦略爆撃機によって行われた。ステルス爆撃機B-2がロシア本土の防空網を掻い潜ってロシア各地の空軍基地を爆撃する。ステルス性能を持たないB-52とB-1Bは、防空圏の外側から巡航ミサイルを発射する。
Turn終了時までにバルト三国は凡そ1/3がロシア軍の支配下になり、ポーランド東部の大都市Bialystok(4514)はロシア軍の軍門に下った。

そしてこのTurn終了時、早くもNATOは「トランペット第5条」を適用し、ポーランド及びバルト3国を救うため兵力の派遣を決意した。

写真02


写真03


2Turn

写真34早くもロシア軍の進撃に陰りが見え始めた。最初にその犠牲になったのは特殊部隊である。計8個の特殊部隊が襲撃や目標標定のために出撃していったが、実にその半数が帰投しなかった。
続いて制空戦闘である。今回はNATOも全力で反撃し、NATOは制空権を奪い返した。ただし航空機の損失はNATOの方が甚大で、損失がNATO側4ユニットに対してロシア側が2ユニット、ステップロスはNATOが8ユニット、ロシア側が3ユニットである。

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ロシア軍は海でも猛威を振るった。バルト海に進入したNATOの増援艦隊を巡航ミサイルが襲う。米軍のAMPHが巡航ミサイル攻撃を受けて沈没する。搭乗していた海兵隊も半数以上が海没した。

バルト三国の方もロシア軍は全領域のほぼ2/3を支配し、ポーランド国内でも東部の大都市3つがロシア軍の支配するところとなった。

写真05


3Turn

写真35このTurnから主導権判定が始まる。このTurnは前Turn同様ロシア軍が主導権を握った。ロシア軍は戦闘機兵力に大きな損害を被ったため、このTurnは制空戦闘機を上げなかった。その結果、NATOが自動的に制空権を握った。
両軍の激しいミサイル攻撃が飛び交う。NATOはベラルーシにある飛行場を2個所とロシア本土にある飛行場1個所を破壊。ロシア軍もドイツにあるNATO飛行場を1個所破壊した。またこのTurnからNATO軍によるロシア側防空制圧作戦も開始された。米空母からが発進したEA-18Gグローラーの編隊が対レーダーミサイルを叩き込む。ステルス爆撃機B-2Aが闇夜に紛れてSAMサイトを精密誘導兵器で爆撃する。米空軍のF-16CJに掩護されたB-52H重爆撃機も爆撃に参加する。一連の攻撃でSAMレベルは4段階低下したが、未だにロシア側防空網も脅威は侮れない。
写真06


地上ではロシア軍の進撃はなおも続いていたが、その進撃ペースに陰りが見えてきた。そしてこのTurn、遂にロシア軍は主導権を失った。次は競合Turnになる。
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4Turn

写真36ロシア軍は再びNATOの制空権に挑戦した。しかしNATOの制空権はもはや盤石で、ロシア空軍は奮戦したものの、2ユニットを失って敗退した。NATO空軍はロシア側防空網に襲いかかる。数にものを言わせた総攻撃でSAMサイト軍は大打撃を被り、そのレベルは2まで低下した。しかしNATOはこの攻撃で大量の航空兵力を投入したため、ロシア空軍に反撃の余地を残すことにもなってしまう。
ロシア軍は徐々にポーランド領内で領域を拡張し、その結果、次Turnは再びロシア軍が主導権を握った。

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5Turn

写真37ロシア軍は不利を承知で制空戦闘機を発進させた。NATOの空軍にフリーハンドを与えないためだ。Su-27、MiG-29等計8ユニット。それがロシア空軍にとって精一杯の戦力だった。それに対してNATOは3倍近い23ユニットもの戦闘機を発進させていく。主力はTyphoonだが、ステルス戦闘機F-35Aも少数ながら混じっていた。結局ロシア軍は制空戦闘によって1機残らず掃討されたため、NATO軍は続く打撃フェイズに敵機による迎撃を心配せずに攻撃を実施できることになった。
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写真38特殊部隊によるロシア本土に対する襲撃が奏功し、ロシア本土の基地はまたもや巡航ミサイルの集中攻撃を浴びた。さらにB-2ステルス爆撃機もロシア本土のレーダー網を掻い潜って大重量誘導爆弾を投下する。NATOが圧倒的な制空権を握ったことで、これまで温存されていたB-52爆撃機も発進し、ポーランド領内を進むロシア軍に対して絨毯爆撃を浴びせかけた。F-15Eストライクイーグル、トーネード等はベラルーシ国内の航空基地を叩く。
写真39地上では、NATO軍が初めて反撃に転じた。ポーランド第16機甲師団を主力とし、米第2機甲騎兵連隊、米第4師団重機甲旅団等がヴィスラ川東岸のクフィジン(Kwidzyn 2210)を攻略中のロシア軍2個旅団を包囲攻撃した。圧倒的な航空支援を受けたNATO軍はロシア軍の抵抗をモノともせず、2個旅団を撃破してクフィジンを奪回した。これを契機としてポーランド北部におけるNATO軍による大反撃が始まる。

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B-1BとB-52の大編隊が北部ポーランドの道路網に激しい爆撃を加えた。これはポーランド領内に侵入したロシア軍の補給線を遮断するための攻撃である。しかしこれらの攻撃でロシア軍の補給線を遮断するには至らなかった。

写真40ロシア軍は無秩序な急進撃にリスクを感じ始めた。各地で掃討戦を実施していた部隊は、急遽都市部を離れて戦線を敷く。

NATOは地上正面からの反撃に加えて海と空からも反撃を加える。まず地上正面からはクフィジンを奪回したNATO連合部隊がHawa(2511)に対して進撃を実施。例によって圧倒的な航空支援によって守備隊は文字通り粉砕された。
海からはバルト海を進攻してきた米海兵戦闘団がカリーニングラード(東プロイセン)の一角に上陸した。上陸した場所はバルチースク(Baltyisk 1522)。ロシア海軍バルト海艦隊の主要な艦隊基地である。海兵隊は直ちに周辺を制圧し、バルチースク港は海兵隊の補給源として機能を開始した。
さらに空からは米第101空中機動師団を主力とする部隊がロシア軍が一度占領済であるオルシュティン(Olsztyn 3109)を奪回し、ポーランド北西部に展開するロシア軍に楔を打ち込んだ。
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このTurn終了時、NATOのVPは59、ロシア軍のVPは129である。まだ両者の差は大きいが、NATO側の危機は去り、その差は急速に縮まろうとしていた。

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(つづく)