Next War Poland(GMT)は、GMT社から発売されているNext Warシリーズの第4作である。Next Warシリーズは、近未来に予想される正規軍同士の戦いを1Hex=12km、1Turn=0.5週間のスケールで描く作品群だ。Next War Polandは、ロシア軍によるポーランド及びバルト三国への侵攻と、それに対抗するNATO軍の戦いを描いた作品である。

今回、Next War Polandの上級シナリオをソロプレイで試してみた。シナリオは"Tactical Surprise"(戦術奇襲)。3段階の状況設定のうち、丁度中間の設定である。なお選択ルールは16.3避難民を採用する。また17.2.1「トランペット第5条のDRM」は固定値+1とした。季節は夏、第1Turnの天候は晴天とする。

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6Turn

写真41NATO軍が遂に主導権を握った。ロシア軍は航空戦力の消耗を避けるため、制空戦闘を行わなかった。NATOが一方的に制空権を確保する。
NATO軍は北ポーランド平原で無慈悲な反撃を実施した。バルチースクから進撃を開始する米海兵隊は、カリーニングラード(Kaliningrad 3101)南でロシア・カリーニングラード軍所属の自動車化旅団を攻撃する。またこれに呼応してオルシュティンを基点として進撃を開始した米第101空中機動師団も北上し、海兵隊と共同で攻撃を支援する。この攻撃でロシア軍2個旅団が壊滅し、北ポーランド平原に展開するロシア軍の後方を遮断した。

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写真42西方からはヴィスラ川を渡河したNATO軍は、ロシア第41機械化師団、第106空挺師団等を攻撃する。米軍とポーランド軍を主力とし、ドイツ軍、オランダ軍、デンマーク軍、スペイン軍が参加する。地上兵力ではロシア軍がやや優越していたが、航空兵力の違いが圧倒的であった。NATO軍は各地で勝利を収めてロシア軍を撃破していく。
カリーニングラード方面から西に向かう米軍部隊とヴィスラ川から東へ向かうNATO軍がその間のロシア軍を挟み撃ちにする。逃げ場を失ったロシア軍は激しく抵抗し、東へ向けた突破口を開かんとする。ロシア軍決死の反撃によって米軍部隊にかなりの損害を与えた。一方包囲の輪の中に閉じ込められたロシア軍部隊に対しては、B-52、B-1等の重爆撃機が絨毯爆撃を浴びせかける。
生き残ったロシア軍は二分され、その一方はオストロダ(Ostroda 2710)付近にて包囲された。NATO軍の猛攻によりオストロダ付近のロシア軍は一掃され北部ポーランドの大半はNATO軍の支配下に戻った。もう一方はロシア軍第41機械化師団の生き残りが、バルト海に面したエルブロンク(Elblag 2406)で包囲されていた。

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ロシア軍の増援部隊である第58機械化軍団と第4親衛戦車軍団がポーランドに到着した。

Turn終了時におけるNATOのVPは104、ロシア軍のVPは138である。かなり差は詰まってきた。しかもNATO軍の主導権は動いていない。

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7Turn

写真43戦場に嵐が吹き荒れた。初めての悪天候である。航空攻撃力は半減し、攻撃ヘリコプターは支援任務を実施できない。空中兵力に頼るNATOにとっては厳しい状況である。悪天候を利用してNATOの特殊部隊が戦線後方に対する大規模な襲撃作戦を実施した。輸送補給部隊(MSU)と攻撃ヘリコプター各1ユニットが壊滅。攻撃ヘリコプター1ユニットが損傷を被った。NATOの特殊部隊は全て離脱に成功している。ロシア軍も生き残った特殊部隊全部をNATOの航空基地襲撃に投入した。航空基地1ヵ所に2打撃を与えたものの、投入された特殊部隊5ユニット中、3ユニットが遂に帰還しなかった。

制空戦闘。ロシア軍はなおも制空戦闘機を上げずに制空権はNATO側の手中のままだ。ただし悪天候のためNATO軍による航空攻撃は自ずからその効果は小さくなる。HQ 1個を吹き飛ばした。

天候が悪いのでNATO得意の航空攻撃が威力を発揮できない。そんな中、NATOの攻勢はポーランド北東部、オルシュティン北方地域に対して実施された。攻撃の主力は米第4歩兵師団所属の機甲旅団と米第101空中機動師団。それにポーランド軍やドイツ軍を加えた部隊である。ロシア軍第4親衛戦車軍団等の部隊を撃破したNATO軍は、戦線を直線化した。

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Turn終了時におけるNATOのVPは121、ロシア軍のVPは147である。かなり差は詰まってきた。しかし、このTurn、NATO側の獲得VPが主導権値に届かず、次Turnは再び競合Turnとなった。

8Turn

またもや戦場に嵐が吹き荒れた。NATO軍は限定的攻撃を実施し、北部ポーランドで戦線を少しだけ前進させた。これで次TurnはNATOの主導権Turnとなる。

9Turn

写真44戦場は晴れ渡った。NATO軍は戦略的な勝利を獲得すべく、攻撃目標をロシア国内の核施設に向けた。まずは特殊部隊が進入してマーカー設置を行いつつ、コマンド襲撃を行う。さらに巡航ミサイルとB-2ステルス爆撃機がそれに続く。3つの核施設のうち1個が完全に破壊され、残り2つも重大な損害を被った。

写真45NATOの反撃はポーランド北東部、カリーニングラード州との国境地帯に向けられた。地上兵力でもロシア軍よりも優越しているNATO軍であったが、その優位を決定づけているのが圧倒的な航空兵力であった。ロシア軍の航空兵力は空中戦による損害を恐れて出撃してこない。NATOの対地攻撃機や地上支援機はポーランド上空を思うがままに飛び回った。最前線に姿を現した米第4師団の重装甲旅団をはじめ、米第101空中機動師団、ドイツ軍第10装甲擲弾兵師団、ポーランド軍などが前線を守るロシア軍に襲いかかる。強力なロシア軍機甲旅団が成す術もなく撃破されていく。軽く前線を突破したNATO軍は、後方のロシア軍司令部や砲兵部隊を襲う。これらの部隊を守る機動兵力を持たないロシア軍はNATO軍の蹂躙に成すがままであった。
ロシア軍はポーランドからの全面撤退を決意。NATOの追撃を阻止するため薄い戦線を引いた。しかしNATOはその戦線をも軽々と突破し、シニャルドビ湖付近でロシア軍戦車旅団2個を撃破。さらに2個旅団と司令部を包囲した。
ロシア軍は遂にポーランド保持を諦めて全面後退を決意。さらに本来はロシア領であるカリーニングラードの一部も放棄した。ロシア軍の主力はバルト三国に展開し、同方面を最終防衛ラインとした。

Turn終了時におけるNATOのVPは180、ロシア軍のVPは152である。NATO軍は遂に逆転に成功した。

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10Turn

写真46晴天である。ポーランドからロシア軍は撤退したが、NATOにとっての戦いは終わらない。バルト三国が未だにロシアの支配下にある。それも奪回しなければならない。
NATOの特殊部隊がロシア国内の核施設を襲撃する。2ヵ所のうち1ヵ所を完全に破壊。もう1ヵ所にも打撃を与えた。損害はベルギー軍の特殊部隊1ユニットである。そして最後に残った核施設は、B-2ステルス爆撃機による攻撃によって壊滅した。
空中戦。ロシア軍は最後の期待を込めて生き残った全戦闘機を出撃させてきた。しかし2倍以上のNATO戦闘機による迎撃を受け、2ユニットを失い、5ユニットがステップロス。制空戦闘を生き延びて任務継続できたのは、僅かにMiG-29 1ユニットのみであった。NATOの損害は英空軍のタイフーン戦闘機1ユニットのみである。

NATO軍はカリーニングラードに侵攻し、さらにバルト三国最南端のリトアニアに侵攻する。Suduva地区に侵攻したNATO軍は、米第101空中機動師団と第82空挺師団を主力とする部隊である。航空機による支援を受けたNATO軍はSuduvaを守るロシア軍を追い詰めるが、これを殲滅するには至らなかった。

Turn終了時におけるNATOのVPは236、ロシア軍のVPは152である。

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(つづく)