IT不良資産

森秀明 ダイヤモンド社

今や企業経営にITは欠かせない。否、ITなくしては経営革新はありえないとまで言える。しかしちょっと待ってほしい。本当にITへの投資は有効活用されているのだろうか。ITへの投資自体が目的化し、その投資が不良資産を生み出す土壌になってはいないか。本書では、IT投資の不良化について議論し、その原因や如何にしてIT投資の不良資産化を回避し、真に経営に貢献するIT投資を行うかについて記された著作である。ボリューム的には1時間ほどで読み終える内容だ。
本書が書かれたのは2003年だが、あれから15年以上経過してにも関わらず全く古さを感じない。未だに日本企業の経営責任者の多くはITをある種の「ブラックボックス」として捉え、その本質を見ようとしない。その結果ITガバナンスが有効に機能せず、日本企業は国際競争力を失っていく。このことは私自身も強く感じているし、ITの価値を知る識者の多くも感じているのではないだろうか。
今やAIが本格的に実用化し、企業活動におけるITの価値はますます向上している。そのような中、日本企業が国際競争の中で生き残るためには何が必要か。本書はそのためのヒントを与えてくれる。

お奨め度★★★★

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