211031_戦争はいかに

戦争はいかに終結したか 2度の大戦からベトナム、イラクまで

千々和泰明 中公新書

本書は戦争の終結に際してどのような力学が働くかについて、第1次大戦以降の戦史から紐解いて分析している著作である。筆者によれば、戦争を終結させる際に働く論理は勝者の論理であり、敗者(すなわち劣勢側)の能力や行動は勝者の論理に影響を与える要因の1つに過ぎない。勝者(優勢側)が取り得る論理は、「現在の犠牲の縮小」と「将来の危険の排除」という2つの側面があるという。前者を優先すれば劣勢側と妥協的な講和を取らざるを得なくなり、逆の場合は敵国の現政権を打倒する所まで攻め続けることなるだろう。前者の典型がWW2における欧州戦線やアフガン・イラク戦争であり、後者の典型が湾岸戦争や朝鮮・ベトナム戦争となる。WW2における対日戦は、後者にかなり寄った終結パターンだが、「ポツダム宣言」と称する条件提示降伏であったことから、無条件降伏という敵政府打倒から一歩後退した終わり方だとしている。
本書で示されているのは「言われてみれば当然」ということばかりだが、それを整理して示したという点で本書の価値は大きい。さらに言えば、将来起こるであろう戦争に対してどのような青写真を描くかを考察する際にも有益だろう。詰まるところ「戦争は勝って終わらなければ意味がない」のだが、本当に勝った場合に考慮すべき事項、あるいは不幸にして敗れた時にどのような状況が予想されるかについて、本書で学べることは大きい。

お奨め度★★★★