以前にプレイしたThe Battle for Germany を今度はVASSALで通信対戦することになった。
選択したシナリオは、前回同様シナリオ4「The Battle for CENTAG」である。参加者は3名。WP側1名、NATO側2名でプレイした。筆者はWP側を担当する。

前回までの展開は --> こちら

3Turn(1985年8月3日)

戦略フェイズ

さらにNATO側航空基地に対して核攻撃を仕掛けたいところだが、これまで大量破壊兵器を気前よく使い過ぎたので、VPの損失が多くなってきた。これ以上VPをNATO側に与えてしまうと、WP側衛星国がビビッて脱落する可能性がある。という訳でここは我慢して通常兵器による攻撃に切り替える。

しかも悪いことにこの日は天候が悪化してしまう。電子装備に劣るWP軍航空機は不利な戦闘を強いられることになる。しかもその一方で航空補充が余ってしまった。核攻撃なんかで調子乗っている場合ではなく、もっと積極的に対基地攻撃を行うべきではなかったか、と、少し後悔する。
案の定、制空戦闘では強化されたNATO軍に苦戦を強いられ、これまで優勢を保っていたMiG-29部隊の半数がミサイル発射前に撃破されてしまう。米軍のF-15が大量増援された結果が大きかったが、細かい所で西ドイツのファントムが厭らしい働きをしている。困ったものである。先に西ドイツの航空基地を一掃しなかったツケがこんな所に出ている。

WPプレイヤーターン

地上ではWP軍の先鋒がフランクフルトに向けて快進撃を続けている。ソ連軍第57親衛機械化師団と東ドイツ軍部隊はギーセン南方で米第3機甲師団「スピアヘッド」と遭遇。激しい交戦の末、これを撃破。遂にフランクフルトの一角に突入した。

Turn03a


一方のチェコ戦線は大きなチェコ軍がソ連軍の支援を受けて攻勢を開始する。しかしNATO側の戦線は固く、戦線を突破するには至らない。

NATOプレイヤーターン

MATO側からの積極的な反撃はなし。開戦3日目が暮れた頃、NATO軍の戦線は、フランクフルトを先端に大きな逆V字型となっていた。

Turn03b


4Turn

戦略フェイズ

天候は再び晴れ上がった。NATO側の戦闘機が強化され、制空戦闘では明らかにNATO側の優位が目立ってきた。強力なF-15戦闘機が飛び回り、MiG-29を叩き落とす。ソ連軍は殆ど反撃できず、僅かにF-15の1ユニットをステップロスさせただけに終わった。NATO側が完全制空権を取らなかっただけでも良かったと思う。

F15C


WPプレイヤーターン

フランクフルトに突入したWP軍がライン川に向けた突破侵攻を開始する。予備兵力に乏しいNATO軍だから前線を突破すれば後は無人の野を行くが如しだ。フランクフルト西半分にNATO軍の生き残りがいたが、その大半は先の戦闘で撃破されて壊滅状態になった部隊の成れの果て("Route"状態)で、戦闘可能なものは、米第3機甲師団の戦車連隊と西ドイツ郷土防衛部隊(VKK)だけだった。
フランクフルト市街地に突入したWP軍は、NATOの残存部隊を撃破しつつ市の西方へ突破。アウトバーンを西へ進む。目指すはライン川西岸のコブレンツ。VP目標ヘクスだ。さらにその向こうにはシュパングダーレム空軍基地がある。この基地を占領すれば、今度こそ欧州上空の制空権はWP側の手中に落ちるはずだ。しかも進路途上にはNATO軍の防衛部隊は存在しない。この時、勝利は目前にあった。

Turn04c


この時、コブレンツを守ったのは、西ドイツの民兵部隊(VKK)であった。確率40%の確率だったが、その40%をクリアして彼ら登場したことで、WP軍の大突破の夢は断たれた。コブレンツを守ったVKK達は、東ドイツ軍第7戦車師団の蹂躙攻撃を受けて撃退され、コブレンツは東ドイツ軍が支配し、WP軍は新たに3VPを取得した。しかし、シュパングダーレム空軍基地は蹂躙を免れたため、NATO軍の制空権は安泰だった。

Turn04b


結局時間の関係で第4Turnの途中でゲーム終了となった。WPは何とかライン川を渡河し、NATO軍の防衛ラインに楔を打ち込んだ。しかし制空権は失われつつあり、兵力不足も見えてきた。現状はまだま予断を許さない。

Turn04d


感想

プレイ時間は2日間で計15時間。4Turn途中まで終わったので、1Turnの所要時間は約4時間強ということになる。早回しをすればもう少し時間短縮は可能だとは思うが、じっくりプレイするとそれぐらい時間がかかるということだ。とにかく時間のかかるゲームだ。
VP的にはWP側が9VP、NATOが8VP。最後の段階で何とか逆転に持って行ったが、これがなければVPで負けていた。さらに言えば、まだ未開封のVPマーカーが2つあり、いずれか一方を取らないとWP側に勝ちはない。そう考えると、WP側はまだまだ厳しい。

今回のプレイでは、核弾頭を使用して制空権確保を図ったが、WP側が核弾頭を使って制空権を取りに行ったのは正解だと思う。ただし無制限に核弾頭を投入する必要はなかった。必要な弾頭数は1発で十分。SSMの弾頭に装填しておき、チャンスと見て使うのが正解だと思う。化学兵器に関してもしかりで、効果を過信して持続性化学兵器を使い続けるのはVPを無駄に失うだけで価値はない。

今回のプレイでWP側としてはそれなりに上手く攻めたと思う。それでもNATOの戦線を大突破できなかったのだから、NATO側にとって十分に勝機のあるゲームであることは確認できた。特に都市の防御は重要で、都市を軸にして守っていると、攻めるWP側も攻め辛い。特に都市攻撃では砲兵支援が失敗しやすくなるので、WP側の貴重な砲兵火力が失われるリスクが高い。砲兵火力はWP側にとっては進撃を続けるための要であり、都市攻撃で消耗すべきではなかった。逆に言えば、NATO側は大都市を軸として守りを固めるのが正解だと思う。(ただし、都市で戦闘すると避難民が発生するということもあるので、避難民発生を狙って市街戦を仕掛けるという手はある)

NATO側については、補給ポイントの扱いが難しそうだと感じた。NATO側は避難民とSAM修理に回す補給ポイントすら事欠く状態。避難民が残っているのでインフラが減少し、それによってさらに補給ポイントが減るという悪循環に陥っていた。WP側は補給ポイントが余る程の状態であったため、NATO側の補給ポイント不足が印象的であった。自身がNATOを担当する時には補給ポイントの扱いに注意したい。

あとこのゲーム、ルールが斬新なだけに、細かい点に不明点が多い。さらにルールの書き方自体にも不備があり、ルールブックを読むだけでは理解できない部分や勘違いする部分が多々ある。不明点は、可能な限り Board Game Geek で確認したが、その回答でも当初のルール解釈とは異なっていた過所がいくつもあった。できる限り正確なルールでプレイしたいのが人情だが、あまりそこに拘ってもゲームがプレイできなくなる恐れがある。不明点については、事前にプレイヤー間で調整し、プレイヤー同士で合理的と思えるルールで合意してプレイするのが一番良いと思う(もちろんデザイナーの意図が明確であればデザイナーの意図を尊重すべきだし、我流のルールを押し通すのは良くないと思う)。

いずれにしてもこのゲーム、ルールは複雑でかつプレイに時間がかかり、色々と面倒なことの多い作品である。そういった意味で純粋な対戦競技用ゲームとしては明らかに不向きな作品だ。しかし1985年の西ドイツ領内の戦いに興味のある向きには、プレイする価値のある作品だと思う。

あとはかつてSPIのNext WarやCentral Frontシリーズを楽しんだ人たちにもお勧めしたい作品だ。

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