211225_国産護衛艦

国産護衛艦建造の歩み

香田洋二 海人社

「世界の艦船」誌の増刊127集。戦後初の国産護衛艦である「はるかぜ」型から、八八艦隊の中核となった「はつゆき」型、「あさぎり」型、そして最後の非イージス型DDGとなった「はたかぜ」型や最後のDEクラスとなった「あぶくま」型まで、約30年間に渡って建造された国産護衛艦の建造について記載した著作である。筆者は海上自衛隊で自衛艦隊司令官を務めた船乗りで、本書で扱っている様々な護衛艦に乗り込み、実務に携わっている。そういった意味で本書には、船乗りだからこそ書ける現場感覚にあふれている。
筆者はこれまで海上自衛隊が建造してきた様々な護衛艦について、単にカタログスペックを並べるだけではなく、その背後にある運用方針や戦術思想、さらには現場での苦悩や問題点等、情報保全に留意しながらも可能な範囲で赤裸々に述べている。特に海上自衛隊が目指していた対潜戦の戦術や、「はつゆき」型護衛艦の予想外の欠陥といった記述については、これまで知らなかったことだけに興味深かった。
本書は雑誌形式にも関わらず写真類が殆どなく、大半が文章である。その分読み応えがあり、資料的価値は高い。海上自衛隊の艦艇に興味のある向きには是非お勧めしたい1作である。

お奨め度★★★★