DoomsDayProject1

The Battle for Germany(以下、本作)は、2021年に米国Compass Gamesが発表したシミュレーションゲームだ。テーマは1985年8月を想定した西ドイツにおけるワルシャワ条約機構(WP)軍とNATO軍の対決。1Turnは実際の1日、1Hexは12kmに相当し、1ユニットは連隊~師団規模になる。 本作の基本システムは、 以前の記事 で紹介したので、そちらを参照されたい。

今回は、その中からシナリオ5「The Battle for Germany」をソロプレイしてみた。このシナリオはマップ全域を使ういわば「グランドキャンペーン」というべきシナリオである。

前回までの展開は --> こちら

Turn02z3


3Turn(1985/8/3)

戦略フェイズ

US_F15_36TFW天候が悪化した。両軍ともAWACS優勢は取れず。NATOは大量の航空機増援を受けて制空権を掌握すべく全力出撃。先ほどの攻撃で一時は全飛行場が使用不能となっていた英本土のNATO航空基地も、米英工兵隊による献身的な修理により半数がその使用可能となっていた。WPも航空戦力で劣るものの、可能な限りNATOの航空脅威を弱めるべく全力出撃する。

Turn03a


制空戦闘はNATOの圧勝であった。NATO側は1機も損せずWP側制空戦闘機を一掃。さらに英本土に向かっていた長距離侵攻部隊も半数以上を洋上で撃破した。生き残ったWP側長距離侵攻部隊は英本土のNATO飛行場を爆撃したものの、悪天候下で正確な攻撃ができずに攻撃は失敗に終わる。
NATO側のSAM制圧部隊も積極的にWP側SAM部隊を狙ったが、こちらも悪天候に災いされ、SAMを4個制圧したに留まった。

なお先のTurnに大量の避難民が発生したため、NATOとしては避難民をケアするために一定量の補給ポイント消費を余儀なくされてしまう。そのため燃料切れや弾薬切れの部隊に補給を与える余裕は未だになかった。

WPプレイヤーターン

SO_79GTDWPの先頭を進むのはフルダ渓谷を西へ突進する第1親衛戦車軍(1GTA)と第8親衛軍(8GA)である。既にフランクフルトを目前にしていた彼らだが、フランクフルトは守りが固いと見たので、目標をヴェツラー(WETZLAR H17.34)に変更。ここを西へ抜いてライン川を目指す。第8親衛軍所属の第79親衛戦車師団(79GTD))と第39親衛機械師団(39GMRD)が攻勢の主力を務める。NATOも西ドイツ第5装甲師団が全力展開する。
戦闘自体はWP側の勝利に終わり、西ドイツ第5装甲師団はヴェツラーの町から叩き出されてしまったが、損害自体は軽微であり、西ドイツ軍は整然と退却していく。ただし砲兵戦の失敗で西ドイツ第3軍団の砲兵レベルが低下したことが痛かった。

Turn03b



WG_10PzD_28Pz北部戦線では、ハンブルグの南で橋頭保を固めたWP側は橋頭保の南に3個師団を浸透させて橋頭保の拡張を図る。しかしハンブルグ南に展開した西ドイツ民兵(VKK)や増援にかけつけた西ドイツ第7装甲師団第21装甲連隊の活躍でWP側の浸透を阻止。さらにソ連第6親衛機械師団を壊滅に追い込んだ。

Turn03c


UK_1AD_7ARフルダとハンブルグの間では、ソ連第3諸兵科連合軍(3CAA)が英ライン軍団(BAOR)麾下の第4機甲師団、第1機甲師団等に攻勢を加えていた。ハンブルグとフルダを分断することで、フルダ方面に啓開した突破口を維持しようとするものである。
しかし既にNATO側は防衛体制を整え、制空権も確保して余裕を持ってWPを迎え撃てるようになっていた。WPの攻撃は各地で頓挫し、第10新鋭戦車師団(10GTA)などは英第4機甲師団第20機甲連隊チーフテン戦車の待ち伏せ攻撃を受けて壊滅してしまう。

Turn03d


なお西ベルリンのNATO軍は、この日の終わりまでに一掃された。

NATOプレイヤーターン

NATOは積極的な反撃はあまり実施せず、部隊を広く展開して防御戦闘でWP側の進撃を阻止する構えである。
US_3ID_2特徴的な部分は、フルダ渓谷からフランクフルトにかけての地域。WP側が最も快調に進撃している地域だ。既にソ連軍の機械化師団数個がフルダ渓谷を抜けてフランクフルトに接敵しつつあった。それに対してNATOはフランクフルトの守りを固めつつ、フルダ渓谷の後方線を遮断する作戦に出た。米第3歩兵師団がフルダ~フランクフルト間の街道上に進出したのだ。
OMG(作戦機動群)を構成するソ連軍機械化部隊が如何に精鋭であっても、後方からの増援が遮断されればその進撃はストップせざるを得ない。所詮は時間稼ぎに過ぎないが、WP側の進撃が1日でも2日でも停滞すれば、それだけ全般戦局はNATOに有利な方に傾く。時間を味方にしているのはNATOなのだ。

Turn03e


北部戦線では、ハンブルグ南方に突出してきたWP軍2個師団に対し、イギリス、西ドイツ、ベルギーの連合軍が反撃を仕掛けた。後方を遮断して連絡線を断ち切った状態で攻撃開始。NATOが圧倒的に有利な状況であったが、WPの2個師団も奮戦し、損害を被ったものの現時点を死守した。

Turn03f


終端フェイズ

WP軍は前Turn同様デンマークの離脱判定を実施できる。今回もNATOはデンマークの運命を天に委ねた。1d6を振った結果、出目は"4"。デンマークはギリギリで戦線に留まる。

一方、WP側も離脱チェックが発生する。ポーランドとチェコスロバキアだ。それぞれ67~83%という高い確率で両国が離脱してしまう。これもWPはVPを支払って離脱確率を低減することができる。WPはポーランドのために2VPを払って離脱確率を33%にした。これでd6で2以下が出ない限りポーランドは戦線に留まり続ける。出目は"4"でポーランドは戦線に留まった。
さらにチェコスロバキアも離脱チェック。こちらも67%で離脱してしまう。WPは2VP支払ってチェコの戦線離脱を阻止せんとした。出目は"5"でこちらも戦線に留まる。


最後にフランスの参戦チェックだ。d10で出目がTurn+1数以下ならフランスは参戦する。DRMは両軍のVPで、現在はNATOが4点リードしているのでDRM-4となる。先ほどポーランドとチェコでVPを支払ったのが痛い所。出目は"8"でWPにとっては悪くない出目であったが、フランスは参戦することとなった。

Turn03z


つづく