220117_大垣夜行

旅と鉄道2021年5月増刊号

「ありがとう大垣夜行」というタイトルが示すように、2020年3月の運行を最後に廃止となった東京~大垣間の夜行寝台列車について特集したものである。大垣夜行と呼ばれていたのは、1968年~1996年までで、普通列車として運行されていた。その後は「快速ムーンライトながら」となり、車両のグレードアップ(特急型車両)、指定席化、そして定時運行から臨時運行へと変化し、2020年の終焉を迎えている。
本書は「大垣夜行/ムーンライトながら」の43年間に渡る歴史を紐解くと共に、20世紀後半から21世紀初頭にかけて活躍した普通/快速型夜行列車、例えば「ムーンライト九州」「ながさき」等についても解説している。
私自身「大垣夜行/ムーンライトながら」との思い出は深い。学生時代に生まれて初めて東京方面へ旅行した際、利用したのが大垣発の340M列車だった。その時には復路にも大垣行きの夜行を利用したので、2時間以上も前から東京駅に並んだこと、ようやくボックス席の一角に座れても、周りがオッサン達でひしめいていて圧倒されたこと。それでもウトウトしながら大阪までたどり着いたこと、等が思い出される。
「ムーンライトながら」になってからもしばしばお世話になり、特に本格的に旅行を趣味とした2000年以降は、ほぼ毎シーズンに1度ぐらいは乗っていたように思う。深夜の小田原駅で「ムーンライトながら」の入線を待つときの客の高揚した雰囲気は今でも忘れられない。
本書は私のように「大垣夜行/ムーンライトながら」で青春を過ごした者にとって貴重な一冊となろう。

お奨め度★★★★