2022年1月9日(日)。僕は人生初の「骨折」を体験した。米子駅の跨線橋からホームに降りていく途中、階段の踊り場から足を踏み外し、ホーム上へ転落。その際に転倒したのだ。
診断の結果は「右膝粉砕骨折」。3ヶ月程度の入院が必要という。入院先は米子医療センター。そこから僕の入院&リハビリ生活が始まる。

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入院58日目(3/7月)

2日ぶりにリハビリがあった。直立姿勢にチャレンジする。なかなか左右均等に荷重配分できない。逆に言えば、少し右にかけ気味で、ようやく均等配分ということだろう。これも練習で慣れていくしかない。いずれにしてもゴールが見えてくると、そろそろ残り時間のなさが気になってくる。

今日、歩行距離が6000歩を超えた。これまでで最高記録である。

入院59日目(3/8火)

向かいの爺さんがまたギャーギャー言っている。退屈だとか、看護師の対応が悪いとか。それだけでなくリハビリにも全然積極的ではなく、リハビリ担当の理学療法士も手を焼いていた。この爺さん、恐らく家ではワガママ放題で、奥さんがハイハイと言うことを聴いているのだろう。病院では愚痴を聞く相手もいないので、鬱憤が溜っているようだ。
いずれにしてもそう遠くない未来に自身がこのような爺さんの年齢になる。今は仕事や趣味で世間と接しているからある程度情報感度が高いと思っているが、仕事をリタイアし、趣味が減ってくると、だんだん世間との接点を失っていく。そうならないように、世間との設定を持ち、さらに広げていく努力が必要と感じたい次第。

自身のことについては、この日から立った姿勢で歯磨きができるようになった。

入院60日目(3/9水)

今日、同室の方が1名退院された。80代の方で上村さん(仮名)としておこう。これまで色々と困った人を紹介してきたが、この方は非常に理性的な方で, 我々同室の患者とも丁寧に対応されていた。
サンプルが少ないのであくまで感想だが、困った高齢者とそうでない高齢者の差は、やりたい事があるかどうかの差が大きいと思う。上村さんは新聞に投稿するのが趣味で、さらに地元の小中学生に対する交通安全指導をされているとのことであった。このように自身がやりたいことを持ち、かつ社会と接点を持ち続けている人は概して「困った爺さん」にはなっていない。
その逆が昨日紹介した我儘爺さん。新聞や雑誌を読むぐらいしか暇つぶしができないので、新聞・雑誌が自由に読めないとすぐに不機嫌になって回りに当たり散らす。自身の今後を考える際に考えさせられることしきりである。
新聞と言えば、今回の入院で感じたことは、新聞を読めないと不機嫌になる高齢者が実に多いことか。新聞あるいは地上波TVといった旧来のメディアが、特に地方高齢者に多くを依存していることが痛感できた。デジタルデバイドの成せる業かもしれないが、近い将来にデジタルデバイドが解消ないしは縮小していくと、これら旧来のメディアも命脈を失うかもしれない。

個人的には今日はリハビリが中止になったので、自主トレの回数を増やす。また鋭意作成中であったYouTube動画2本が完成したので、自身のチャンネルで予約設定しておく。



入院62日目(3/11金)

煩い爺さんが転院のため出て行った。良かった、これで少しは室内の雰囲気が良くなる。
新しく来た人は、打って変わって社交的な人。人当たりは良いのだが、話好きで困ってしまう。30分ほど昔話に付き合った後、「仕事があるので」と早々に退散した。その後はできるだけ話のきっかけを作らないように注意する。

今日から2/3荷重の許可が出た。歩き方がかなり楽になり、普通に歩くスタイルに近い状態になった。歩くスピードは今までが普通の人の1/3ぐらいだったのが、今日からは1/2ぐらいになったと思う。

入院63日目(3/12土)

今日、シャワーに松葉杖で行ってみた。できなくはないが、ちょっとおっかないので、やはり車椅子にした方にしようと思う。

今日は1日の歩行距離が遂に7000歩を超えた。ただし、2度目のスリップ事故が発生。幸い、荷重制限が前回よりも緩和されていたので、足を付いても慌てることはなかった。しかし荷重できない状態でスリップしていたら、と思うと、ゾッとする。また原因も掃除婦の過失以外に何かあるのでは、と、思ってしまう。

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入院64日目(3/13日)

眼下に見える畑では、耕作準備が始まっている。つい先日まで雪景色だったのが、今や春の風景だ。この米子で一冬越したことを嫌でも実感させられる。

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今日は日曜日でリハビリは休み。その分自主トレの回数を増やす。

入院65日目(3/14月)

2日ぶりにリハビリがあった。今日から片松葉になる。松葉杖が2本から1本に減る訳だ。その分、怪我をした右足に負荷がかかる。かなり勇気がいるが、何とか片松葉で歩けるようになった。それでも歩き始めは結構おっかなびっくり。足が痛いのであまり無理はできない。他に階段の上り下りや、寝ている状態からの起き上がり練習をする。

入院66日目(3/15火)

片松葉での歩行は、今までの2本松葉に比べるとやはり右足に負荷がかかる。重心の取り方も難しく、ややもすれば右足に過負荷がかかったかと思ってヒヤッとすることもある。歩行距離も今までよりは少し抑え気味にする。それでも1000~2000歩ぐらい歩いても特に右足の痛みが増えることはないので、まあ問題ないのだろう

入院68日目(3/17木)

1日の歩行距離が9000歩を突破した。入院以来最高記録である。片松葉での歩き方もかなり安定してきており、片松葉での自由度も増えてきた。病棟で一番狭い普通サイズのトイレにも入れるようになった。

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入院69日目(3/18金)

今日も歩行距離が9000歩を超えた。奇しくも昨日と同じ歩数である。ただ、さすがに歩き過ぎなのか、夜寝る時に右膝に痛みを覚えたので、看護師さんに頼んで氷を用意してもらった。

入院70日目(3/19土)

気のせいかも知れないが、歩くのがどんどん楽になっている。もちろん未だに右膝に違和感はあるし、荷重制限もあるのだが・・・。

入院73日目(3/22火)

3連休中にはかなり歩いたが、やはり右足の痛みが出てきた。夜寝るのが少し辛くなる。まだまだ無理は効かないと納得。

午前中に主治医の大林先生(仮名)と話をし、その時初めて退院の話が出た。こちらの希望として月末頃を希望しておいた。その後、自分の中で具体的なスケジューリングをし、29日頃退院しようと思った。そうなると、帰りの切符や予定の作成、さらには帰宅後のケアなど、色々と気になる事が出てくる。退院自体は嬉しいが、片松葉の状態で果たして通常に生活できるのか。外出は可能なのか。仕事はできるのか等、気になることが山積。まさに「夜も眠れない」状態になる。

入院74日目(3/23水)

ここ数日体温が37度前後まで上がっていたが、今日36.6度の平熱に戻った。取り合えず良かった良かった。
退院日が正式に3月29日に決定した。29日は米子のワシントンプラザホテルに1泊し、翌日にJRで帰路につくことにした。切符の手配は完了。JR介助サービスの申し込みも完了した。これで自宅までの移動は一安心だ。

入院75日目(3/24木)

退院が近づいて来たので手続きを進める。昨日は診断書を病院の文書課に申し込む。診断書の作成に約2週間かかるというのが田舎の病院と言った所か。しかし診断書の費用が安価だったのは助かった。
今日は今日で自宅へ戻った後の転院手続きを行う。退院後は入院は不要になるが、通院は継続する必要があるということ。まあずっと片松葉のままという訳にもいかないし、リハビリも続ける必要がある。大病院は避けて、駅近くのクリニックにした。これなら仕事帰りに立ち寄ることもできそう。これ以上休暇を使う訳にはいかない。

少しずつ退院後に向けた生活基盤が整いつつある。まだまだ気になることはいくつもあるが、中でもやはり松葉杖歩行の安全性が一番気になる。病院で自主トレ中にも時々杖が引っ掛かって「おっと」という場面が何度もある。転倒しそうになる所までは行かないが、ハインリッヒの法則というものもあるので、気になる所だ。明日、リハビリ担当に聞いてみようと思う。

つづく