Salerno43表紙


Salerno'43(以下、本作)は、GMT社が2022年に発表したシミュレーションゲームである。テーマは1943年9月に実施されたアヴァランチ作戦で、1Hex=3.8km、1Turn=1日、1ユニットは大隊~旅団を表す。シナリオは、上陸から1週間を扱ったショートシナリオと3週間を扱ったキャンペーンシナリオの2種類がある。

デザイナーは、敏腕デザイナーとして名高いマーク・シモニッチ。基本システムは氏の過去の作品から「良い所取り」をしている。基本的には「移動、戦闘」の繰り返し。ZOCボンド、戦術移動、拡張移動、最大戦力18、装甲効果、突破戦闘、断固たる防御、といったあたりはシモニッチゲームではお馴染み。上陸侵攻や空挺降下、海上輸送といったルールもあるので、ルールの量は決して少なくはないが、シモニッチゲームに慣れたプレイヤーであれば、口頭説明だけでもプレイ可能な難易度ともいえる。

今回、VASSALでお試しプレイをしてみた。今回は3人プレイで、連合軍が2名(米英)、枢軸軍が1名で担当した。

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1Turn

まず連合軍各部隊は上陸手順に従って上陸作戦を実施する。これは、"Invasion CRT"と呼ばれる専用のCRTを用いて解決する。サレルノ湾岸のドイツ軍は弱体であり、"Invasion CRT"は基本的に上陸後の前進Hex数を判定するのに使用する。

InvasionCRT


我が英軍戦区では、コマンド部隊がサレルノ市西部に上陸する。そのままサレルノ市街に突入したコマンド2個大隊は、枢軸軍守備隊を撃破して同市を占領した。

その南、サレルノ湾奥地では、英第46師団と第56師団が戦車部隊を伴って上陸した。そのまま前進してモンテコルヴィーノ飛行場を占領。さらにその奥地のバッティパーリア(Battipaglia 3012)を狙う位置まで進出した。

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2Turn

サレルノ周辺の枢軸軍を撃破すべく英軍部隊が攻勢に出る。峠道を守るドイツ軍部隊を撃破し、サレルノ港の安全を確保した。

サレルノ港の安全確保は連合軍にとって重要である。サレルノから2Hex以内のドイツ軍を排除すると、サレルノ港の安全が確保されたことになり、獲得できる補給ポイントが増大する。

その南のサレルノ湾正面の平地では、英第56師団がバッティパーリアに対して攻撃を開始。その一部が市街地に突入した。

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3Turn

ドイツ軍の第15装甲擲弾兵師団が反撃のために南下してきた。サレルノを目指す峠道でイギリス軍と交戦に入る。
先に英第56師団が攻略に着手したバッティパーリアについては、ドイツ軍が激しく抵抗したため、攻略するには至らない。

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4Turn

ドイツ空軍が激しく出撃してきた。海上では連合軍の艦船がドイツ軍の新兵器=誘導ミサイルによって次々と撃破されていく。そのためにサレルノ一帯で戦っている連合軍への補給が滞ってしまう。このTurn、英軍は積極攻勢には出ず、ドイツ軍の攻撃から前線を守ることに専念する。

ここで本作の天候ルールについて説明する。本作の天候ルールはダイスにて天候決定するタイプだ。しかし「1-3:晴天、4-5:曇天、6:雨天」といったルールではなく、天候記録欄と呼ばれるボックスを天候マーカーが「移動」する。移動量の大小はダイスで決まるが、このルールによって天候が周期的に変化することが再現されている。前作「Normandy'44」では、天候ダイスの良否が勝敗に重大な影響を与えていたが、本作ではどのように解消されているのか、もう少し検証してみたい。

天候表


5Turn

米軍戦線では第82空挺師団の一部が降下する。しかし英軍戦線ではこのTurnも攻勢には出ず、現戦線を支えるのに専念する。

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6Turn

ドイツ軍による反撃はさらに強化されている。英軍戦線は耐えるのみ。

7Turn

ドイツ軍の第1降下猟兵師団が攻撃を強化してきた。遂に英軍は海岸線付近まで後退を余儀なくされる。増援はまだか。

8Turn

ドイツ軍の攻撃をギリギリで跳ねのけた英軍は反撃に転じる。バッティパーリアに対して英第56師団が最後の攻撃を加えた。バッティパーリアを奪取できる可能性は決して高くはなかった(1/18)だったが、見事に作戦は成功。英第56師団は最後の最後にバッティパーリアを占領した。

バッティバーリアの占領によって連合軍の獲得VPは8点に達し、ギリギリで勝利条件をクリアした。

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Turn08_02

感想

ゲーム感覚は軽い。規模は「Normandy'44」と同等だが、ノルマンディ戦に比べると登場部隊数が少ないため、サクサク進む。全8Turnのショートシナリオなら半日でプレイできるだろう。全22Turnのキャンペーンシナリオでも、慣れれば1日で完遂できそうだ。
ゲーム展開自体も比較的安定しており、トリッキーな部分は少ない。そういった意味では、誰でも安心してプレイを楽しめる作品と言える。

次回は、機会をみつけてキャンペーンシナリオにチャレンジしてみたい。

OperationAvalanche_1943