母艦航空隊

高橋定ほか 光人社NF文庫

太平洋戦争を戦った日本海軍機動部隊。その搭乗員や整備員たちが記した戦史である。雑誌「丸」の記事を再編集したものと思われる。実戦体験者の手記は貴重であり、戦場の雰囲気や実相を伝えてくれる。無論、日時や数値等については怪しい部分もあるが、記憶を頼りに書いているのだから仕方がない。数値面は別の資料で補えば良いのだから。
本書には約30編の短編が収められているが、その大半が1941~42年の戦いに関するものである。日本空母部隊が活躍した時期がこの時期だけに当然と言えば当然だが、史上最大の空母決戦ともいうべきマリアナ沖海戦や、史上最大の海戦と言われているレイテ沖海戦に関する記述が少なく、特に搭乗員の視点からの記録が少ないのが寂しい。
いずれにしても本書は空母同士の戦いについて一端を知りえるという意味で貴重な著作である。

お奨め度★★★★

190713_母艦航空隊