220320_デスゾーン


デス・ゾーン-栗城史多のエベレスト劇場

河野啓 集英社

栗城史多という登山家の名前は知っていた。またその彼がヒマラヤ山中で遭難死したことも知っていた。しかし彼がどのように死んだのか、また彼の登山歴がどのようなものだったのかについては詳しく知らなかった。入院中、彼が4度目のエベレスト登山で凍傷によって右手親指を除く9本の指を失った事を知り。さらにその後も山の登り続けていたことをネット情報で知り、俄然興味が湧いてきた。
本書は、栗城史多という登山家が、どのような生い立ちで登山を志し、どのような登山を行ったのか。そして周囲はそれをどのように見ていたのか。さらに言えば、彼の標榜していた「無酸素単独登頂」の実態がどのようなものであったのか。多くの証言や映像情報等を通じて明らかにしていくノンフィクションである。ネット時代の寵児ともてはやされ、一時は時の人となっていた栗城史多。しかし彼の内面には深い闇があった。それが何であったかは本書を読めば明らかになるだろう。

お奨め度★★★