OpD



オペレーション・ドーントレスは、1944年6月のノルマンディ上陸作戦に伴うカーン西方の戦いを戦術レベルで再現したシミュレーションゲームだ。1ユニット=小隊~中隊、1Hex=425ヤード、1Turn=90分(夜間は330分)というスケールから分かる通り、やや大きめの戦術級ゲーム(戦術作戦級)と言って良い。

今回、VASSALを使ったソロプレイで本作のキャンペーンシナリオに挑戦してみた。これまで何度か本作をプレイしたのだが、キャンペーンの結末を見る所までは行かなかった。そこで今回はキャンペーンの最終決着はどうなるのかを見てみたいと思う。

ちなみに選択ルールは、19.1「射撃統制」と19.7「イギリス軍の装弾筒弾」を採用した。

注:本作の解説動画を以下の通り作成したので、併せて見て頂きたい。



前回までの展開 --> こちら

1944年6月26日

1730

GE12SS_Pz5_4_Pz12英軍は戦列を整理し、次の総攻撃に備えて部隊を再配置する。後方に取り残されたドイツ軍拠点は掃討され、主力は泥をかき分けて前進する。ドイツ軍はパンター中隊がまたもや機動戦を展開。英軍突撃戦力の主力というべきチャーチルAVRE1個小隊をスクラップに変えた。

Turn23


1900

UK49D_CP_Lincこの時点で一旦VPを計算してみよう。英軍は敵の撃破で131VP、フォントネ村、テセルの森、ローレ村の支配で130VP、その他で2VPの計263VP。一方のドイツ軍は敵の撃破で107VP、その他で48VPで計155VP。差は108でVPラインは「ドイツ軍の辛勝」である。盤面では英軍が圧倒しているようにも見えるが、VP的にはまだまだ苦しい英軍であった。

ドイツ軍パンター中隊の跳梁に手を焼いた英軍は、一旦前線部隊を後退させ、対戦車砲や駆逐戦車、ファイアフライ戦車を前線に配置し、パンターの逆襲に備えた布陣を敷く。英軍の攻勢はボウデル川西岸地区の戦車教導師団戦区で実施。重要拠点である124高地に戦車部隊による突撃を繰り返す。ドイツ歩兵部隊の近接火器(パンツァーファウスト)によって戦車1個小隊がステップロスしたが、遂に124高地は英軍の手に落ちた。

ドイツ軍は部隊をさらに後退させ、半円周上の陣形で英軍の攻撃に備える。そして戦車教導師団最後の工兵中隊を登場させ、防御ラインの守りを固める。

Turn24


2030

GE12SS_Inf_4_Auf夕日が沈み、夜の帳が戦場を覆った。英軍は明らかに攻撃の軸をボウデル川西岸地区のドイツ戦車教導師団戦区に向けている。新たに歩兵1個大隊を投入し、ドイツ戦車教導師団戦区に投入する。戦車を主力とする機甲戦でドイツ軍歩兵を圧迫。遂にマップ南端の補給源に隣接する所まで進出してきた。
ドイツ軍は歩兵部隊を中心とした反撃を実施。強力な88mm砲による援護射撃に加え、温存していた虎の子ロケット砲ネーベルヴェルファーも投入した。戦車と対戦車砲中心の編成であった英軍は不意を突かれた。アキリーズ駆逐戦車1ステップ、水陸両用戦車1ステップが近接戦闘により撃破され、6ポンド対戦車砲も1小隊が撃破された。しかしドイツ軍が最も重視したマップ南端付近のボウデル渡河点では、英軍側は大損害を被ったものの、英軍がなおも支配下していた。

Turn25


夜間

UK49D_AC_Rec夜間Turnである。英軍は増援ポイントを利用して偵察部隊を投入。ドイツ戦車教導師団に止めを刺すべく戦場に投入した。夜間Turnは移動力が2倍になる。そのため英軍部隊は盤の南北を一気に横断し、ボウデル川西岸のドイツ戦車教導師団との最前線に進出した。
戦車教導師団は今や全ての戦車、駆逐戦車、対戦車砲を失い、残るは中口径対戦車砲を搭載した装甲車が数両と、あとは歩兵が装備する近接用対戦車火器しかない。そのような火力でシャーマン戦車に対抗できるはずもなく、ドイツ装甲車や自走砲はシャーマン戦車の砲火によって撃破され、残った歩兵部隊は歩戦連合で攻撃してくる英軍部隊によって撃破されていく。既に後背地がなくなったドイツ歩兵は、後退することもできずに壊滅するしかなかった。

英軍Turn終了時点で英軍はマップ南端の戦車教導師団補給源1ヶ所を占領。残り1ヶ所も最早風前の灯である。戦車教導師団の補給源が全て英軍によって支配された時点で英軍のサドンデス勝利となる。この時点でドイツ側の勝利はないと判断し、残り1日という状況だったがゲーム終了とした。

ちなみにこの時点で一応VPを計算してみた。
まず英軍。敵の撃破で146VP、フォントネ村、テセルの森、ローレ村、110高地、124高地のの支配で150VP、盤南端の補給源を1ヘクス占領で10VP、その他で2VPの計308VPである。一方のドイツ軍は、敵の撃破で103VP、その他で48VPで計151VP。差は159である。VPラインはギリギリ「引き分け」であった。ただ、この後さらに戦い続ければVP差はさらに広がる筈なので、英軍の勝利は動かないだろう。なお、ドイツ軍のVPが前回と比べて少し減少しているのは、夜間の補充ルールによって英軍部隊がいくつか回復したことの影響である。

Turn26
Turn26b

感想

UK79AD_Churchill_141RACこれまで本作のプレイ例は何度か紹介したが、殆どの場合、ドイツ軍の圧勝であった。これまでの展開では平地(このゲームでは「畑」と呼称している)から通常攻撃を仕掛けた英軍歩兵がドイツ軍の突撃破砕射撃をまともに受けて壊滅的な打撃を受けて攻撃力損失、という展開だった。そこで今回、英軍は、対歩兵戦闘で通常攻撃ではなく近接戦闘(移動中に行う戦闘)を多用。近接戦闘の場合、攻撃可能なのが1スタックのみになるという欠点があるが、突撃破砕射撃を受けないこと。さらに黄色の攻撃力が参加すると、1ユニット毎に1コラムシフトが得られるというメリットもある。後者については、英軍のチャーチルAVREやクロコダイル火炎放射戦車が黄色攻撃力なので、例えば英軍の機械化歩兵1ユニットとこれら歩兵支援戦車3ユニットで突撃部隊を編制すれば、ドイツ軍の防御拠点を比較的容易に奪取できる。
この戦法で問題となるのはドイツ側の装甲兵力である。特にパンターやティーガーが陣取っている場合、重装甲のチャーチルやクロコダイルであっても、不用意に接近するのは危険だ。その場合はファイアフライ4ユニットで作った「戦車キラースタック」をぶつけて「虎狩り、豹狩り」を行おう。

UK49D_6pdr_AT_7DWRさらに戦車キラーとして今回のプレイで有効だったのは、英軍の6ポンド対戦車砲。今回、選択ルール19.1「射撃統制」を導入したことに対するカウンターパートとして、19.7「イギリス軍の装弾筒弾」を採用。これによって隣接ヘクスの6ポンド対戦車砲は恐るべき対戦車火器となった。しかも本作での対戦車砲は非常に手強い。仮に輸送中に輸送車両を撃破したとしても、確率2/3で対戦車砲は生き残ってしまう。しかも英軍の6ポンド対戦車砲は数が多いので、まとめて投入してきたらドイツ軍にとっては対抗が困難だ。今回の中盤以降、ドイツ軍の装甲部隊が成す術もなく後退を繰り返したのは、英軍6ポンド対戦車砲の威力に依る所が大きい。

余談だが、ドイツ軍に有利な選択ルールを採用させる代償として、19.7「イギリス軍の装弾筒弾」を採用することは、英軍にとって大きな利益を得ることになるだろう。

さて、今回のプレイで英軍の戦い方はある程度見えてきたが、ドイツ軍はどのように対抗すべきか?。今回は主に英軍視点でプレイしていたので、ドイツ軍は無策に近かった。しかし自身がドイツ軍を担当する場合、どのような戦い方があるか、考えてみたい。
まずドイツ軍は英軍のスタック構成を見て、それに対抗できるように機動的な運用を心掛けるべきだと思う 。例えば英軍が歩兵+突撃戦車による近接戦闘用のスタックを作ってきたら、それに対して対戦車火力に優れた装甲部隊で対抗する。また対戦車砲をどっさり積んできたら、それに対して例えば歩兵部隊で近接突撃や通常戦闘を仕掛けて対戦車砲の排除を図る等。
またドイツ軍が今回失敗したのは、不利な状況で安易に後退を繰り返したこと。戦術級ゲームでは後背地が重要になるので、損害を度外視しても前線を守る必要がある。特にテセルの森からフォントネ村南部のラインは可能な限り保持したい。いかなる損害を出しても・・・。

うーん、オペドンは奥が深いなぁ。プレイに時間がかかる、という欠点はあるものの、機甲戦闘を再現する小隊・中隊規模の戦術級ゲームとしては最高傑作だと思う。GTSもCSSも装甲擲弾兵も本作の敵ではない(と、思う)。
また対人戦をプレイしたいなぁ。

Sherman_Firefly