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(写真1)セットアップ時の状況
(写真2)第3ターン、両艦隊が至近距離ですれ違う
(写真3)第5ターン、高速で日本艦隊を追う米艦隊。しかしその直後酸素魚雷の恐怖が彼らを襲う。

テスト3:サボ島沖海戦

第3回目のテストはサボ島沖海戦である。
「やる、やる」と宣言して1週間が経過してしまった。ルールの見直しやデータの見直しが色々と入ってしまった。細かいディテールを追求しようとするとどうしてもルールは複雑になる。その複雑さをできるだけ少なくし、シンプルなルールを維持したいと思うのだが、なかなか思うようにはいかない。特に水上戦闘については個人的にも思い入れが多いテーマなので、色々と細かいルールを入れたくなってしまう。テーマに対する過剰な思い入れは、良いゲームをデザインする際には弊害が多いのかも知れない。
とまあ前置きはこれぐらいにして、早速はじめましょ。

基本戦術

このシナリオは米軍が主役である。日本軍は奇襲効果によって最初の数ターン等速直進運動を強いられるからだ。
米軍はまずどのような運動を行うか決断することを求められる。ここでは史実同様日本艦隊にT字戦法を取ることにしよう。日本艦隊の頭を抑えることができれば、まず有利に立てる。その後はどの時点で砲火を開くか。中距離での照明弾射撃を行うか、それとも接近戦で無照射射撃で一気にケリをつけるか、それは戦況次第だ。
日本軍は米軍の出方に対応するしかない。ただ兵力的には少なくともその魚雷力は優れているので、それを生かす戦い方をしたい。

ゲーム展開

第1ターン

軽巡「ヘレナ」が北西約20キロから近づく日本艦隊をレーダーで捉えた。米艦隊は前衛駆逐艦を分離し、巡洋艦隊は敵前一斉回頭で日本艦隊の前面の展開する。前衛の駆逐艦3隻は速度7(28kt)まで加速し、日本艦隊の左翼をつく。

第2ターン

日本艦隊右舷を警戒中の駆逐艦"初雪"が迫りくる米巡洋艦隊を発見した。距離7500m。米艦隊はまだ敵を視認していない。しかし日本艦隊の反応は鈍かった(緊急指揮ポイント0)。
「味方じゃないのか?」
旗艦"青葉"の艦上ではそんな会話が交わされていたのだろう。
距離7500m。米艦隊は照明弾を打ち上げて猛烈な射撃を開始した。ボイスの放った照明弾が"青葉"の頭上を明るく照らした。サンフランシスコ、ソルトレーク、ボイスが"青葉"に集中砲火を浴びせる。しかしなんたることか。3艦の射撃は"青葉"から少し離れた海域に空しく水柱を立てるだけだ。
ヘレナは"初雪"を狙って電探射撃を試みた。4発の6インチ砲弾が命中した。損害2。"初雪"は中破した。

第3ターン

突然の奇襲。しかし日本艦隊の立ち直りは早かった(主導権は日本側が取った)
日本艦隊は左60度回頭。米艦隊と反航体勢に入る。米前衛駆逐艦3隻は日本艦隊の目前で左回頭。距離1500mという至近距離で日本艦隊の鼻先を走りぬける。
日本艦隊発砲。"青葉","古鷹"の2艦がソルトレークを狙う。しかし惜しくもはずれ。
米艦隊はサンフランシスコ、ソルトレーク、ボイスが"青葉"を持続照準する。今度は3艦すべてが夾叉を得た。8インチ2発、6インチ2発が青葉に命中。損害4。"青葉"小破。でもまだ"青葉"は戦える。
「ヘレナ」と駆逐艦2隻は距離1500mに迫った「吹雪」を狙う。全艦夾又。6インチ2発、5インチ3発が命中した。損害3。"吹雪"中破。日本側にとっては雷撃能力を失ったのが痛い。
"青葉","古鷹"が93式魚雷8本を放った。
米艦隊も前衛駆逐艦3隻が計15本の魚雷を発射した。

第4ターン

主導権は米側。米駆逐艦の放った魚雷15本が日本巡洋艦に殺到する。至近距離。しかも射角最高。雷撃士官が夢見たような好条件だが、果たして彼らの戦果は?。
1本が"古鷹"の右舷に命中した。巨大な水柱が上がるはず・・・。ところが無常にもダイスは「1」。不発。敵巡洋艦は何事もなかったかのように通り過ぎて行く。自らの魚雷の戦果を見届けるまもなく米駆逐艦は敵側に60度の一斉回頭を行う。殺到する酸素魚雷に対して少しでも被弾面積を減らすための処置だ。それでも1発が米駆逐艦に命中した。しかしなんとこれも不発。お互いの渾身の一撃は互いに不発に終わった。
その間米艦隊は右120度逐次回頭を行い日本艦隊の後尾を追う。日本艦隊は左へ回頭して米艦隊との離隔を図る。
米艦隊の砲撃は駆逐艦2隻が損傷した"初雪"を仕留めるべく行ったのみ。しかしすべてはずれ。
日本艦隊は「衣笠」「古鷹」が米駆逐艦1隻を狙った。両鑑とも夾叉を得たが命中は1発のみ。6門艦はどうも投射弾数が不足している。しかしその8インチ砲弾1発は米駆逐艦ラフェイの痛い所に命中したらしい。損害2。ラフェイは中破した。

第5ターン

米艦隊は主力戦隊(巡4、駆逐2)を移動力7に加速した。損傷した艦を抱える日本艦隊は移動力6が精一杯なので必ず追いつく。それにしても加速のために消費した3CPは痛い。
日本艦隊は左60度回頭。米艦隊の前面に立ちふさがる。乙字戦法だ。距離7500mで重巡3隻がサンフランシスコに砲火を集中する。"青葉"の1発が命中。損害1。さらに主砲電路切断でサンフランシスコは射撃不能になってしまった。
米艦隊の反撃。ソルトレークが照明弾を発射し、その照明下の米巡3隻が"衣笠"を狙う。しかし全部はずれ。6インチ砲にとってこの距離は少し遠すぎた。
"青葉","古鷹","衣笠"が左舷発射菅から魚雷を発射する。本数は今は決めない。(米軍プレイヤーの立場に立つと彼らが何本発射したかは不明なのだ)

第6ターン

日本艦隊が放った本数不明の魚雷が迫る。しかし回避する余裕はない。そのまま直進。艦首を敵に向ける。囮であることを願うだけだ。魚雷が迫る。米艦隊と接触。ここでダイスを振って「実際に何本撃ったか」を決める(これはソロプレイ用の独自ルール)。ダイスの結果、"古鷹"の魚雷だけがダミーで、あとは全部全弾発射だった。距離4500~6000m。救いは艦首を敵に向けているので被弾面積が小さいことか?。
ヘレナに1本が命中した。損害7。さらに衝撃によって方位盤がやられた。肝心のレーダーも使えなくなる。しかしヘレナはまだ戦える。
米艦隊の射撃はボイス1艦のみ。他の艦は損傷や味方艦の頭越し射撃なので打てない。そしてボイスの射弾は見事に外れた。
日本巡洋艦3隻は目標変更。全艦が魚雷を食らったヘレナを狙った。損傷した同艦をまず脱落させようという魂胆だ。射撃精度は良好で、5発の8インチ砲弾がヘレナに命中した。損害6。累積損害13。特殊損傷の「衝撃」も出たが、その結果に関係なくヘレナは大破した。米海軍期待の大型巡洋艦1隻はここに完全に脱落した。ヘレナの脱落によって米艦隊は指揮ポイントを1点失った。
(と、ここでルールを1つ失念していた。大型または中型艦1隻、あるいは小型艦2隻が中破以上の損害を被った時点で指揮ポイント1点を失うルールを。日本側は駆逐艦2隻を中破させられた時点で指揮能力を1点失ったいたのだ。いまさらもう遅いので、次のターンの持ち点を3点減らそう。)
"古鷹"が魚雷4本を発射。もう隠す必要はないだろう。しかも"衣笠"が左舷発射菅の次発装填完了。またもや酸素魚雷の恐怖が米艦隊に迫る。

第7ターン

米巡サンフランシスコの横腹から"古鷹"の放った酸素魚雷4本が迫る。回避の余裕はない。1本がサンフランシスコの舷側を食い破った。損害6。幸い急所は外れていたのでサンフランシスコはまだ戦える。
日本艦隊の砲撃。"衣笠"は大破したヘレナにトドメをさすべく射撃を行う。1発が命中しヘレナに1損害を与えたが、惜しいかな撃沈には至らなかった。
残った2隻は魚雷を食らって傷ついたサンフランシスコを狙った。2発命中。うまい具合に追加打撃が出て損害4。サンフランシスコは累積損害10で中破した
米艦隊は残ったソルトレーク、ボイスの2艦で"衣笠"を狙う。ソルトレークの射弾が夾又したが、残念ながら命中はなかった。

第8ターン

両軍とも指揮ポイントが少なくなってきた。激しい運動はできない。
距離3kmという至近距離で両者の並行砲撃戦が続く。米艦4隻の砲火はすべて"衣笠"に向けられた。8インチ2発、6インチ3発が命中した。損害5。特殊損傷の"強い衝撃"が出て"衣笠"は戦闘力を失った。
日本艦隊は2隻が脱落しつつあるサンフランシスコを狙う。2発命中。累積損害12。サンフランシスコ大破。この段階で日本側は勝利条件を満たした。
でもあと2ターンだから最後まで続けよう。
米駆逐艦2隻が魚雷10本を放つ。最後の反撃だ。
大破したヘレナにこれも中破した"吹雪"が迫る。"吹雪"の5インチ砲が火を噴いた。しかし至近距離にもかかわらず結果は「外れ」。
「日本に帰ったら鍛え直さないといかんな」

第9ターン

主導権は米軍。魚雷10本が"衣笠"に迫った。米駆逐艦乗りの執念が乗り移ったのか、3本が"衣笠"に命中した。1本不発。しかし残った2本が損害12を与えた。さすがはTorpex弾頭である。特殊損傷も出たが、これについて結果を判定する必要はない。"衣笠"撃沈。
"衣笠"の沈没を目の当たりにした日本艦隊は怒りに震えた。あと1ターン。ここは必ず敵の旗艦サンフランシスコを仕留めて"衣笠"の仇をとりたい。左60度回頭。迫りくる米艦隊にその艦首を向けた。
砲撃。CPの少ない米艦隊はソルトレークと2隻の駆逐艦で"青葉"を狙う。8インチ1発、5インチ2発が命中した。損害3。累積損害7。「青葉」中破。日本艦隊の指揮能力は遂に1にまで落ち込んだ。
日本艦隊は2隻の巡洋艦でサンフランシスコを狙う。"古鷹"の放った4発の8インチ砲弾が立て続けに命中した。損害4。累積損害16。サンフランシスコ沈没。ここに日本艦隊は"衣笠"の仇を取った。

第10ターン

最終ターンである。使用可能なCPは日本側1、米側2にまで落ち込んだ。日本艦隊は隊列を立て直す余裕すらない。両軍とも散発的な射撃を応酬しただけで戦果はなし。ここにサボ島沖海戦は終了した。

両軍の損害

日本軍
 沈没:重巡1(衣笠)
 中破:重巡1(青葉)、駆逐艦2(初雪、吹雪)
米軍
 沈没:重巡1(サンフランシスコ)
 大破:軽巡1(ヘレナ)
 中破:駆逐艦1(ラフェイ)

プレイ時間:2時間半(記録時間含む)

つづく