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(写真)大門沢下降点から見る富士山

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行動経路(章前)


9/11(日)

農鳥小屋0535-->農鳥岳0700/0715-->広河内岳0803/0830-->大門沢小屋1050/1110-->奈良田1426/1530-(車)->自宅2200

 起床0400。0500朝食。今日は下山日。大門沢の長い下山路を歩いて奈良田まで降りて予定である。途中、広河内岳(2895m)に寄り道sするかどうか迷うところ。0530出発。周囲は濃いガスに包まれていた。風も強い。それでも雨が降っていないだけマシだろう。
 ガスの中を西農鳥岳山頂を目指して歩く。昨日は疲労でフラフラだったが、一晩寝たら足が随分と楽になった。西農鳥へ向かう足取りも心なしか軽い。ただ天気は悪い。
 0610に西農鳥岳に着く。相変わらず周囲はガスに包まれているが、途中から急激に晴れてきた。稜線のガスが一気に吹き飛ばされ、間ノ岳、北岳、鳳凰三山、塩見岳、そして富士山がはっきりと見えてきた。「すごーい」。思わず声が出る。
 西農鳥から農鳥岳までは稜線沿いの狭い登山路を歩いていく。途中、私よりも先に小屋を出発した中高年2パーティを追い抜いた。農鳥山頂に着いたのが0700。写真を何枚か撮る。0715に出発。大門沢下降点に向けて降りていく。この下山路は歩きやすい道である。半分ほどの行程を過ぎたあたりから大門沢下降点の標識が見えてきた。その向こうには広河内岳への登山路も見える。広河内への登山路は歩き易そうに見える。天候も悪くない。ここは広河内岳へ寄り道することにしようと思う。
 0740に大門沢下降点を過ぎ、そのまま広河内岳へと向かう。コルを4つほど登った所が広河内岳の山頂だ。広河内岳の山頂からは巨大な塩見岳が指呼の元に見える。15分ほど滞在して山を降りる。大門沢下降点に着いたのは0840。およそ1時間の寄り道だった。
 大門沢下降点から急下降が始まる。少し歩いてすぐに樹林帯に入る。かなり急激な下り。最初は調子よく降りて行ったが、途中から辛くなる。1時間ほど下ったところで水場に出る。左手を広河内の清流が気持ちよく流れている。写真を撮り、水を補給する。とはいえ、沢の水もそのまま飲むには危険である。水は少し余裕を持っていった方が良いのかも知れない。あるいは火器持参?。
 標高1800mの大門沢小屋に着いたのは1050。ここでパンを食べる。トイレも済ませておく。安全な水を補充する。
 20分ほどの休憩の後に出発。ここからの下山路もかなり急である。川沿いの道。林の中の道。急な下降などを降りていく。途中で少し道を間違えて余分な経路を歩いてしまった。しかも奈良田に行くはずが大門沢に戻っていたりしたのは恥ずかしい限りである。そのころから足の痛みが少し出てきた。特に右足が辛い。
 2ヶ所の渡河点を越えるとようやく奈良田が近づいてきた。吊橋を3つ渡ってしばらく歩くと1310頃自動車道に出る。そこからは自動車道を歩いて広河内橋、さらには奈良田に向けて歩く。雨が降ってきた。傘をさして歩く。山の中で雨に会わなかったのは幸いであった。
 奈良田に着いたのは1426。荷物を整理して少し上にある「奈良田の里温泉」へ行く。風呂に入る前に食事をする。山菜ソバを注文する。これが意外と旨かった。それから風呂に行って汗を流す。風呂上りに飲むジュースが旨い!。本当はビールを飲みたいが、車なのでそれは我慢する。
 1530頃出発。帰りは大雨が降っていたので時間がかかってしまった。カーラジオで野球を聞きながらノンビリと走る。帰宅は2200。さすがに疲れた。

感想

 2泊3日、歩行距離約40km、累積標高差+2500/-3300m。今回の山旅は私にとって今までで最も過酷な旅でした。登山道そのものに特別な危険箇所はなかったですが、登山路を示す標識等が少なく、道迷いしやすいと思います。本文中にも書いた通り私も2度道に迷い、1度は危うく遭難しかけました。
 天候には概ね良かったです。良い写真が沢山撮れました。北アルプスに比べて南アルプスの山容はやや平凡かと思いますが、それでも北岳や間ノ岳、農鳥岳などはさすがに名山に相応しい貫禄を覚えました。雲海に浮かぶ富士山を何度も見ましたが、これもなかなか絵になる光景でした。
 途中山小屋が少なく、トイレ設備も少ないので、その点は注意が必要です。今回も稜線で冷たい風に下半身を冷やされて少し「危険な」状態になりました。とにかく下半身は保温効果の高い登山用パンツが必需品かと思います(まあお腹に自信がある場合は問題ないですが)。
 今回食料はパンを持参しました。火器は持参しませんでした。おかげで荷物を軽量化でき(合計11kg)たのは良かったのですが、水場での水分補給に少し苦労しました。南アルプスに限りませんが、山小屋の水も必ずしも安全なものとは言えず、その点煮沸するための火器は必要だったのかも知れません。ただ重量増加を考えると難しい所です。
 今回の目標は、(1)北岳を制覇する、(2)間ノ岳を制覇する、(3)農鳥岳を制覇する、(4)可能ならば三峰岳、広河内岳を制覇する、という4点でした。結果的にはすべての目標を達成し、おかげで日本百名山2座、二百名山1座、さらには標高50位以内の山塊を約5座制覇することができました。天候にも恵まれ、良い写真も沢山撮れました。遭難しそうになったことは反省点ですが、ある意味で良い経験になったと思います。

満足度90%