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第5艦隊:シナリオ3「アデン湾の強襲」

 前回の第7艦隊に続き、第5艦隊も一本プレイしてみました。シナリオはNo.3です。長さ6ターン、マップ1枚の典型的な中級シナリオです。なおゲーム自体の紹介は、こちらをご覧下さい。

背景

 エチオピアでの内戦がエスカレートし、そこにソ連地上軍が介入したという想定。介入したソ連軍は、エチオピア政府軍と共に隣国ジブチ国境へ逃げ込んだ反乱軍を追う。反乱軍追討のため国境の通過を要求するソ連軍と、それを拒絶するジブチ政府。ジブチを支援するために旧宗主国フランスは外人部隊と空母機動部隊、そして航空兵力を派遣した。フランスを支持するアメリカも、スピークベイの空母機動部隊と強襲揚陸部隊(海兵1個大隊相当)をジブチへ向かわせた。紅海とアデン湾を「我らの海」だと目論むソ連海軍は、ソコトラ島へ大規模な輸送船団を派遣した。18隻の輸送船からなるその船団はソコトラ島のソ連軍航空基地拡張工事のために必要な資材を搭載していた。それらの物資がソコトラ島に到着すれば、航空基地は拡張され、Tu-22MやTu-16Gといった大型爆撃機がソコトラを基地とすることができるようになる。それは紅海やアデン湾の戦略バランスを一変させるであろう・・・。

兵力

 米仏軍は空母機動部隊2個と強襲揚陸部隊1個を持っています。空母機動部隊は、米空母「レンジャー」を中心とするグループと仏空母「クレマンソー」を中心とするグループ。当然ながら前者の方が強力です。潜水艦は米新鋭原潜「マイアミ」と仏原潜「カサビアンカ」が登場します。「マイアミ」は強力な艦ですが、「カサビアンカ」はちょっと弱いです。他にフランスの基地航空部隊がジブチに展開し、ソマリア空軍の旧式戦闘機「邀撃6型」1ユニットも米仏の味方として登場します。
 ソ連軍は輸送船団2個が登場します。最初の船団はソコトラ島へ飛行場建設資材を輸送する船団です。敵の制空/制海権下を突破する船団だけに護衛は強力で、軽空母「キエフ」、スラバ級巡洋艦2隻、クレスタ2型巡洋艦1隻がついています。もう1つの船団は紅海を抜けてアデンへ海軍補給物資を運ぶものです。こちらは比較的安全水域を航行するので、護衛は3隻の駆逐艦と1隻のフリゲート艦です。潜水艦は、オスカー型モンスター原潜1隻が登場します。たった1隻ですがすごぶる強力です。基地航空部隊は、南北イエメンがMig-21×4ユニット、エチオピアがMig-23×1、Mig-21×1、ソ連空軍がアデンにSu-24、Su-27、Tu-16D、Tu-16Eを各1枚、ソコトラ島にMig-23とIl-38を各1枚配置しています。イエメンとエチオピアはミサイル艇も保有しています。

勝利条件

 敵ユニット撃破に関するVPの他には以下のようなものがあります。
(1) 敵航空基地の破壊(アデン、ソコトラ等)--米仏軍のみ
(2) 輸送船団の安着
(3) 機動部隊又は潜水艦がゲーム終了時にバベルマンデブ海峡エリア(紅海の出口)にいる -- 米英軍のみ

方針

ソ連軍

 「キエフ」の艦隊は強力な艦がそろっているが、数が4隻と少ない。また対潜艦が事実上「キエフ」1隻なので対潜警戒が手薄である。しかも足手まといの輸送船を6ユニットも抱えている。潜水艦に追い回されたらお手上げだ。潜水艦の襲撃を避けつつ、遮二無二ソコトラ島を目指すしかない。
 もう1つの船団は駆逐艦主体の艦隊なので弱小である。フランスの機動部隊が相手になるが、改カシン型駆逐艦2隻の対艦ミサイルだけでは心もとない。幸いアデン基地には強力な基地航空部隊がいるので、それと共同でなんとかフランス艦隊を制圧する。
 原潜「バイカル」(オスカー型)はソ連海軍の希望の星である。たった1隻とはいえ防御力9はほぼ無敵の存在。しかも今回敵対する米機動部隊は、強力な対潜水上艦がスプルーアンス級の「オバノン」たった1隻なので、これを始末してしまえば、あとは恐れるものはない(原潜「マイアミ」も厄介といえば厄介)。上手く行けば「米正規空母撃沈」の大金星も狙えるかも知れない。

米仏軍

 米空母「レンジャー」機動部隊は対潜警戒に弱点を持っている。強力な対潜艦が「オバノン」1隻なので、オスカー型原潜相手には苦戦を強いられるであろう。原潜「マイアミ」を対潜戦に投入することになるが、そうなると敵機動部隊への圧力が弱まってしまう。
 「レンジャー」機動部隊の主攻撃目標は敵航空基地である。無論チャンスがあれば敵機動部隊を積極的に叩くべきだが、「索敵」マーカーを置かないと攻撃できない敵機動部隊に比べて、敵基地ならばいつでも攻撃できる。初日の目標はソコトラ島のラスカルマ空軍基地。2日目の目標はアデン基地になるだろう。駆逐艦「バリー」「オバノン」、原潜「マイアミ」が巡航ミサイルを使用できる。これらは適宜敵基地に対して使われることになるだろう。特に駆逐艦は生残性が低いため、早めに巡航ミサイルを「ぶっ放す」必要があるだろう。
 仏空母「クレマンソー」機動部隊は、アデン基地を叩きたい所。しかし力不足は否めない。巡航ミサイルがうまく命中し、一時的にせよ敵基地の機能を麻痺させることができれば、その時がチャンスである。旧式のシュペル・エタンダールやミラージュF1でもなんとかなる(かも知れない)。紅海を近づく敵船団に対する攻撃は、敵基地に対する攻撃が一段落した後になるだろう。
 2隻の原潜は「キエフ」機動部隊を狙う。特に「カサビアンカ」は対水上戦ぐらいにしか使えないので、積極的に使いたい。「マイアミ」は巡航ミサイル攻撃や敵潜攻撃などに忙しいので、対水上攻撃ばかりにかまってもいられない。

第1ターン:戦略航空作戦

方針

 本シナリオで舞台となるのは、「アデン湾」ゾーンと「ソコトラ」ゾーンの2つだけである。
 まず「アデン湾」ゾーンには、両軍とも2個艦隊づつ保有している。当然両軍とも制空権が欲しい。ソ連軍の投入可能な戦闘機は、アデンに展開するSu-27、Su-24、そしてエチオピア空軍のMig-23である。このうちSu-24は貴重な航空打撃兵力なのでできれば温存したい所。またエチオピアのMig-23は空戦力3と弱体なので制空権争奪戦には不安が残る。残りはSu-27だけであるが、こちらもホットポイントであるバベルマンデブ海峡(紅海の出入口)やアデン、ジブチといった戦略拠点を扼する要域にいるため、できれば外したくない所だ。戦略索敵戦を重視するのならSu-27は戦略任務に飛ぶし、そうでないのならエチオピアのMig-23あたりで茶を濁すことになるだろう。
 米仏軍が「アデン湾」に投入できるのは、ジブチのMirage F1戦闘機と「クレマンソー」のラファール戦闘機、シュペルエタンダール戦闘攻撃機である。普通に考えればMirage F1だろう(空母機は機動力があるので取っておきたい)。もちろん何も投入しないという選択肢もある(両軍共に)。
 「ソコトラ」には米空母機動部隊がいる。ソ連軍としては是非とも発見しておきたい目標だし、米仏軍にとっては発見されたくない。ソ連軍が投入可能な戦闘機は、ソコトラのMig-23とアデンのSu-24しかない。ソコトラのMig-23を投入するのが妥当な線だが、問題はこの戦闘機を戦略任務に投入してしまうとソコトラ基地が丸裸になってしまうことだろう。ソコトラ島の基地はVP上価値が高く、ソ連軍としてはできれば守りきりたい場所である。そうなるとこの海域での制空権獲得は諦めた方が良いのかも知れない。
 米仏軍はこの海域で空母「レンジャー」の艦載機が使える。F-14かF-18Cを1ユニット上げておけば十分だろう。敵の「カミカゼ」偵察機には十分対応できるし、仮に敵が戦闘機をここの制空任務に投入するようなことがあれば、それはそれで大成功だと言えるのだから。

結果

 ソ連軍はアデン湾上空にエチオピア空軍のMig-23とTu-16E、Tu-16D、Il-38を上げた。米仏軍はMirageF1とアトランティック偵察機、S-3バイキングを上げた。Mig-23とMirageF1の対決はMirageの勝利。Mig-23は1ステップを失って後退し、ソ連軍の偵察機2ユニットもそれぞれ1ステップを失った。米仏軍の偵察機は無事偵察任務を完了。2個のソ連艦隊にそれぞれ「戦略索敵」マーカーを乗せた。
 ソコトラには米空母のF-18Cが上がっただけ。ソ連軍はこの方面に戦闘機を投入しなかったので戦闘はなかった。

第1ターン

 紅海のソ連艦隊に米仏艦隊が襲いかかる。原潜「カサビアンカ」の雷撃はスカだったが、空母「レンジャー」から発進したA-6イントルーダーの編隊は、ハープーンミサイルを新鋭巡洋艦「マーシャル・ウスチノフ」(スラバ級)に命中させてこれを大破した。
 米軍の巡航ミサイルはソコトラ島の航空基地に集中。原潜「マイアミ」の一撃は外れたが、駆逐艦「バリー」「オバノン」の共同攻撃が命中。ソコトラ島は一時的に機能を失った。

第2ターン

 巡航ミサイルによって機能を失ったソコトラ島のソ連軍基地を米空母艦載機が襲った。A-6イントルーダーによる攻撃、F-18Cホーネットによる攻撃で基地は壊滅。在地のMig-23×1個戦隊も壊滅した。
 その米空母部隊に対してソ連水上艦が長距離ミサイルを発射。しかし根性なしで命中せず。大型潜水艦「バイカル」も魚雷攻撃を行ったが、こちらもスカに終わった。
 ソ連艦隊に対しては米軍も潜水艦やミサイルで攻撃を実施。米仏潜水艦の2度に渡る襲撃はいずれも失敗に終わったが、水上艦2隻によるトマホーク攻撃は、輸送船1ユニットをステップロスさせることに成功した。

第3ターン

 空母「レンジャー」を発進した攻撃隊(F-14,F-18C,A-6,EA-6)がソ連艦隊を襲った。攻撃隊は迎撃に舞い上がってきたYak-36の編隊を一撃の元に撃破し(2ステップロスで壊滅)、激しい対空砲火を冒して爆撃を敢行した。対空砲火によりA-6がステップロスしたが、爆撃によって新鋭巡洋艦「チェルボナ・ウクライナ」(スラバ級)を大破させた。
 エアーカバーを失ったソ連艦隊を今度はフランスの空母艦載機が襲う。シュペルエタンダールの放ったエクゾセミサイルにより、輸送船1ユニットが壊滅、もう1ユニットがステップロスした(さすがはタンカーキラーのエクゾセ)。
 ソ連水上艦はしつこく付きまとう敵潜「カサビアンカ」に対して反撃を行った。攻撃は成功。「カサビアンカ」は損傷した。

帰投フェイズ

 戦略任務中のIl-38は、基地としていたソコトラ島が破壊されたためにアラビア半島へと撤退した。本シナリオではもう復活することはない。

ここまでの損害

ソ連軍

完全損失  :輸送船×1、Mig-23×1、Yak-36×1
ステップロス:巡洋艦×2、Mig-23×1、Tu-16D×1、Il-38×1

米仏軍

完全損失  :なし
ステップロス:原潜×1、A-6×1

つづく