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 「ソロモン夜襲戦」のシナリオをテストプレイしました。
 シナリオはバジャー戦隊追撃。レイテ沖の戦場から撤退を図る栗田艦隊に対して、アイオワ級戦艦2隻を主力とする米バジャー戦隊が追撃戦をかけた状況を再現した仮想戦シナリオです。「アイオワ」と「大和」という共に世界最強を自認する戦艦同士が戦ったその結末は?。詳しくは以下のリプレイをご覧下さい。
 

 (注)「ソロモン夜襲戦」とは、自作の水上戦ボードゲームです。詳しくはこちらをご覧下さい

セットアップ

 日本艦隊は予めシナリオで指定されています。中央列に主力戦隊。前から「羽黒」&「利根」「大和」「長門」「金剛」&「榛名」の順番で並びます。その左翼には軽巡「能代」と駆逐艦4からなる第2水雷戦隊、右翼には軽巡「矢矧」と駆逐艦3隻からなる第10戦隊が併走します。
 米艦隊は、アイオワ級戦艦からなる第7戦艦戦隊、大型軽巡3隻からなる第14巡洋艦戦隊、そして駆逐艦4隻の第42駆逐隊が単縦陣を組み、その左翼に第104駆逐隊の4隻が併走します。米軍の意図は明白です。すなわち第104駆逐隊が煙幕を展張して主隊を隠している間に主隊がその背後から電探射撃で日本艦隊を撃ちまくるというものです。

展開

第1~2ターン

 米艦隊、全艦最大戦速(30kt)に加速。
 日本艦隊、重巡、軽巡、駆逐艦が最大戦速(30kt)。「大和」、速度25ktに加速。
 戦艦「アイオワ」「ニュージャージ」が射撃を開始。距離35kmの遠距離から「金剛」「榛名」を目標に電探射撃開始。2ターン連続で射撃を行うも夾又弾、命中弾共に得られず。

第3~4ターン

 重巡「羽黒」、軽巡「能代」が距離18kmで米駆逐艦4隻を電探で探知。両艦は直ちに照明弾を発射。その照明弾が米第104駆逐隊の4隻を照らし出した。「大和」「羽黒」「利根」の3艦が米駆逐艦群に対して射撃を開始。距離22kmから放った「大和」の主砲弾が米駆逐艦「ヒコックス」を捉えた。1発命中。しかし「ヒコックス」の損害はわずか2ポイント。大口径砲弾は必ずしも駆逐艦狩りには適当な兵器ではなかった。
 一方、米艦隊の射撃もようやく日本艦隊を捉えた。「アイオワ」が距離30kmから放った3発の16in砲弾が「金剛」の頭上に降り注いだ。重量1.2トンの巨大な16inSHSは、しかし「金剛」に致命傷を負わせることはできなかった。損害13。「金剛」小破。「金剛」の最大速力は25ktに低下したが、まだ戦隊に続行することは可能であった。

第5~6ターン

 日本艦隊左60度旋回。距離20km弱で米艦隊と平行砲撃戦に入る。
 戦艦「大和」の主砲が再び米駆逐艦「ヒコックス」を捉えた。18in砲弾3発による損害はわずか5。巨大な18in砲弾にしてはその損害は些か小さいものだったが、それでも1隻のちっぽけな駆逐艦を抹殺するには十分だった。「ヒコックス」撃沈。これが戦艦「大和」にとって最初の、そして最後となる敵艦撃沈の瞬間だった。
 重巡「羽黒」の砲撃もようやく目標を捉えた。距離18kmから放った8in砲弾が立て続けに米駆逐艦「ハント」に命中した。損害3。「ハント」は中破した。
 米艦隊は相変わらず電探射撃を継続する。距離20km弱から射撃に加わった大型軽巡3隻が数発の命中弾を敵艦に与えたが、重量の小さい6in砲弾は中距離以上では急激に威力が低下する。命中弾の数は少なくなかったが、日本巡洋艦隊の損害は軽微であった。戦艦群の射撃は命中弾を得られない。

第7~8ターン

 米艦隊は焦燥を感じていた。前衛の味方駆逐艦隊が次々と撃破され、一方で敵に与えた損害は軽微である。このままでは日本艦隊はサンベルナルディノ海峡を抜けてフィリピン諸島の向こう側へ去ってしまう。日本艦隊を壊滅させる千載一遇の好機を逃がすわけにはいかない。
 米艦隊は左60度旋回。日本艦隊の頭を押さえてT字戦法の体勢に入る。この状況は両艦隊の距離が急速に接近する。電探による遠距離射撃を得意とする米艦隊にとって接近戦は不利だが、このままでは日本艦隊を逃がしてしまう。危険を覚悟で日本艦隊に接近する米艦隊。
 距離12kmに近づいたとき、軽巡「能代」が接近する米新鋭戦艦を目視確認した。「能代」の探照灯が海面を舐める。探照灯に照らし出された「アイオワ」がそのシルエットを浮かび上がらせた。戦艦「大和」が「アイオワ」に向けて距離18kmから主砲を発射した。初弾から見事に目標を夾又。しかし残念ながら命中弾はたったの1発。「アイオワ」の損害はわずかに3で、同艦の戦闘力には何らの影響もなかった。
 米駆逐艦を撃破した「羽黒」は目標を敵大型軽巡に変更した。「羽黒」に狙われたのは新鋭軽巡「ヴィンセンス」。2発の8in砲弾が「ヴィンセンス」を貫いた。損害4。さらにその1発は「ヴィンセンス」の主砲電路を破壊した。「ヴィンセンス」射撃不能。
 接近中の米艦隊に対して「能代」「島風」の2艦が魚雷計16本を発射した。
 米艦隊も魚雷20本を後方から接近中の日本艦隊に向けて発射した。

第9~10ターン

 接近戦を嫌った米艦隊が右120度一斉回頭して距離の離隔を図った。煙幕を展開しつつ離脱を図る米艦隊。その回頭途上で日本艦隊の放った魚雷群が米艦隊を捕捉した。駆逐艦「マーシャル」に1本が命中。艦体を真っ二つにされた「マーシャル」は轟沈。続いてやってきた16本の魚雷(「岸波」「浜波」が発射)の1本が今度は駆逐艦「オーウェン」に命中。誘爆を起こした「オーウェン」はその場に停止し大きく傾斜していた。
 煙幕越しに日本艦隊の砲火が米艦隊を追う。「羽黒」の射弾が再び「ヴィンセンス」を捉えた。6発の8in砲弾が次々と「ヴィンセンス」を貫いた。「ヴィンセンス」大破。最大速度10ktにまで低下した「ヴィンセンス」は艦隊から次第に脱落し始めた。
 米艦隊はようやく目標を接近中の日本巡洋艦群に目標を変更した。距離10km強から放たれた「アイオワ」「ニュージャージ」の射弾が「羽黒」「利根」に降り注ぐ。「羽黒」には「アイオワ」が放った16in砲弾6発が次々と命中した。戦艦ですら耐えられない16inSHSは、しかし重巡相手には些か威力が大きすぎた。「羽黒」の損害は15に達したが、「羽黒」はギリギリで耐えた。重巡「羽黒」大破。
 「利根」には「ニュージャージ」の16in砲弾2発が命中。損害8。「利根」の損害は小破に留まった。
 米艦隊の発射した魚雷は2本が軽巡「矢矧」に命中。そのうち1本は不発であったが、もう1本が爆発。誘爆を引き起こした「矢矧」は沈没した。

第11~12ターン

 米艦隊は再び左120度回頭。距離14~20kmで日本艦隊と平行砲撃戦に入る。「大和」が16km先の「アイオワ」を電探で捉えた。数発の照明弾が「アイオワ」の頭上で炸裂した。「大和」の主砲が火を噴く。数回の射撃の後に遂に「大和」の主砲弾が「アイオワ」を夾叉した。100mを越える巨大な水柱に包まれる「アイオワ」。しかし奇跡的にも命中弾はなし。
 米艦隊は左60度逐次回頭。「ニュージャージ」「アイオワ」「マイアミ」「ビロキシ」の順番で南下を開始。再び日本艦隊への接近戦を図った。

第13~14ターン

 距離約10kmの近距離から「アイオワ」「ニュージャージ」の主砲が「大和」を捉えた。「アイオワ」からの砲弾が4発、「ニュージャージ」からは3発の16in砲弾が「大和」に命中した。この距離ではいかな重防御を誇る「大和」の主装甲も16in砲弾を止めることはできない。主装甲部を撃ち抜いた主砲弾が「大和」の艦体で炸裂した。損害32。「大和」中破。命中弾の1発は「大和」の主砲電路を破壊し、さらに他の1発は「大和」の司令塔を破壊した。大混乱に陥る栗田艦隊司令部。
 「大和」の大損害を知った他艦からは次々と反撃の砲火が米艦隊に降り注いだ。「長門」が距離10kmから放った主砲弾は、「ニュージャージ」を夾又。1発の命中弾を与えたが「ニュージャージ」の損害は軽微であった。「金剛」「榛名」も砲撃を行うが、命中弾を得られない。「利根」が魚雷6本を右舷から発射。その1本は「ニュージャージ」の舷側をかすめるが、惜しくも命中は得られなかった。

第15~18ターン

 サンベルナルディノ海峡エリア手前で米艦隊はUターン。日本側の仕掛けた機雷源を恐れたためである。距離約12kmで米艦隊と日本艦隊は反攻体勢に入った。「ニュージャージ」の主砲弾が「金剛」に命中。命中弾1発、損害4に過ぎなかったが、その1発は「金剛」の機関部を貫いた。「金剛」中破。最大速度も10ktに低下した。その後さらに3発の16in砲弾が「金剛」に命中。「金剛」は大破した。
 「アイオワ」から放った3発の16in砲弾が「大和」に命中した。「大和」は11損害を被った。「大和」大破。
 日本艦隊は度重なる損害によって著しく指揮に混乱を来たしていた。「長門」が米艦隊に対して数回の反撃を試みるが、不正確な電探射撃ではもとより命中弾を得られるはずもなかった。
 一方、北方の戦場では、殿として戦場に取り残されつつあった日本第10戦隊の駆逐艦3隻と米第42駆逐隊の生き残りが死闘を繰り広げていた。日本艦隊が大破して戦場離脱中の米巡洋艦「ヴィンセンス」に魚雷2本を命中させてこれを撃沈した。米駆逐艦隊も魚雷攻撃で駆逐艦「磯風」を撃沈した。

結果

日本軍
沈没:軽巡1(矢矧)、駆逐艦1(磯風)
大破:戦艦2(大和、金剛)、重巡1(羽黒)
(小破以下省略)
突破成功:戦艦2、重巡1、軽巡1、駆逐艦4
米軍
沈没:軽巡1(ヴィンセンス)、駆逐艦3(オーウェン、ヒコックス、マーシャル)
大破:駆逐艦2(ミラー、ハント)
中破:駆逐艦1(ルイス・ハンコック)
(小破以下省略)

 「サンベルナルディノ海峡沖の戦いは激烈を極めた。海峡を突破して無事生還できたのは戦艦2隻を含むわずか8隻に過ぎなかった。他に損傷しながらも生還した艦船が何隻かあったが、それでもブルネイ出撃時に32隻を数えた栗田艦隊は、その半数以上がフィリピンの海に失われたのである。その中にはサンベルナルディノ海峡沖海戦で大破した後米軍機の攻撃を受けて沈没した戦艦「大和」と「金剛」、そしてこの2艦を最期まで守った駆逐艦「浦風」「雪風」も含まれていた」

勝利得点:日本軍396、連合軍523

プレイ時間約4時間(記録時間含む)

感想

 なかなかスリリングな展開で面白かったです。結果的には米軍の勝利に終わりましたが、日本軍にも十分チャンスはありました。特にゲーム中盤に「大和」の主砲が2度に渡って「アイオワ」を夾叉した際、命中弾がたった1発だったことが日本側にとってはアンラッキーでした(期待値上は5~6発命中)。ここで期待値通りの命中弾を得られれば、「アイオワ」は少なくとも中破以上、下手をすると轟沈していたかも知れません。そしてその後の戦局は全く異なったものになっていたでしょう。
 日本艦隊の失策は「長門」以下3戦艦を後方に逃がしたことかもしれません。前回、これらの旧式艦が狙われて大損害を被ったことに懲りて「大和」を前面に出して「長門」以下を守る戦術を採用してみましたが、この方法は「大和」が撃破された場合に総崩れになる危険性を孕んでいます(まさに今回のように)。まあ「大和」と心中というのも日本艦隊らしくて良いかも知れません。