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戦術と指揮-命令の与え方、集団の動かし方 松村つとむ PHP文庫

 本屋で何気なく見かけた本です。面白そうなので買ってしまいました。内容をかいつまんで紹介しましょう。
 第1章「戦いに勝つための9の原則」では、9の原則として「目標、統一、主導、集中、奇襲、機動、経済、簡明、警戒」の原則をあげています。うーん、これらの原則が重要であることは理解できるのですが、これらの所謂「抽象的」な原則を、「具体的」な事例に適用していくのが結構難事ですね。ゲームでも、実社会でも。だから「原則を理解し」「それを実戦に適用すること」が大事ということなんでしょうか?。ちなみにこの章では単なる原則の紹介だけではなく、部隊記号、背後連絡線、緊要地形、接近路、視界と射界、隠蔽・掩蔽、横陣・縦陣など、ゲーマー向きの事項について説明がなされています。
 第2章「基本演習」では、典型的な戦術状況とその状況下で選択可能な「指揮官の決心」がクイズ形式で出題されています。用意された戦術状況は計21ケース。私の場合12勝9敗でした。各問毎の選択肢数は2~3個なので、この正解率はかなり悪いですね。ゲーマー的思考や所謂軍師的な思考は宜しくない様です。むしろ素直に常識で考えた方が良いのかもしれません。ただ一部に「例題として不適切ではないの?」というものもありますが・・・(正解率が低かったことに対する言い訳)。
 第3章「集団における命令の下し方」では、軍隊における指揮・統制の手法について解説しています。指揮官の役割、参謀の役割について、説明されています。これらは実社会でも応用が効くものが多く、例えば以下のような内容はそのまま我々の業務に応用できそうです。

 「欧米では上官が部下に命令を下す場合、達成すべき任務内容と利用可能なリソース(戦力、時間)を提示した後、必ず「リソースに過不足はないか」と尋ねる。この時上官に対して何らかの要求をするのが優秀な部下であり、何の要求もしないイエスマンは絶対に信用されない」
 「戦場では自分が直接処理できることを部下に命じる必要はない。自分ができないことだから部下に命令するのである」

 第4章~6章は、第2章でのクイズ形式をやや拡張したもの。架空の地域における架空の戦闘状況を想定し、その場における指揮官の決心を選択肢方式で考えていくというものです。これも結構難しく、最初トライしたときにはなかなか正解を出せなかったです。戦場における決心って難しいなあ、と感じました。
 一通り読んでみて、ゲームをプレイする上で色々と参考になりました。まあ「読んで楽しい」類の書物ではないですけど。

評価★★★