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「量子論」を楽しむ本 佐藤勝彦監修 PHP文庫

以前にワニミさまからご紹介頂いた量子論に関する本を読む前に、量子論についておさらいをしておこうと思って読みました。前回紹介した「大宇宙・7つの不思議」もそうでしたが、この人の監修した本は大変読みやすく、また難解な先端物理学をわかりやすく、かつ興味深く解説してくれるので、私はファンです。

この本では、20世紀が生んだ2大理論の1つとされる「量子論」の歴史とその内容ついてわかりやすく書かれています。量子論の歴史では、光の正体を巡る研究から、量子論の誕生とボーアの前期量子論、シュレーディンガーの波動関数、ハイゼンベルグの不確定性原理、コペンハーゲン解釈、シュレーディンガーの猫、エベレットの多世界解釈などが登場します。また量子論の実世界での応用として、半導体技術や今後実用化が期待されている量子コンピュータ等が紹介されています。この本を読めば、量子論の基本的な考え方が概ね理解できます。

それにしても量子論とは不思議な学問です。電子や素粒子といった極めて小さな物体の運動を記述するための学問なのですが、その解釈が我々の「常識」と大きくかけ離れています。例えばコペンハーゲン解釈では

「光や電子といったミクロの物質は、粒子としての性質と波としての性質を併せ持つ。すなわち観測していない所の電子は波として振る舞い、観測者が介在することによって粒子としての性質を示す。」

のだそうです。でも、これって信じられます?。どうして人間が見ていたら「波」が突然「粒子」になり、見ていなかったら「波」のままでいられるのでしょう?。ミクロな粒子はすごく「恥ずかしがり屋」なのでしょうか?・・・。観測者が見ているから粒子、見ていないから波、というのも無責任な理屈と思えるは私だけでしょうか・・・。

この不思議な量子論が現在の我々の生活を支えているというのも奇妙な話です。そして今後も量子論が我々の生活をより豊かにしていくでしょう。なにか「騙されている」ような気がしないでもないのですが、世の中ってこういうものなのかもしれません。相対性理論だの量子論だのとはいってみても、結局これらの学問は「世の中の真実を明らかにする」という訳ではなく、「世の中の事象を都合よく説明するための方便」に過ぎないのかも知れません。

評価★★★★