イメージ 1

イメージ 2

(写真1)戦艦「Scharnhorst」。本級の搭載する28cm砲は長大な射程距離を誇った。
(写真2)戦艦「Bismarck」。本級の搭載する38cm砲は、日米の新戦艦に比べるとやや小ぶりだが、発射速度と射程距離に優れた優秀な火砲であった。

ブログのネタ作りと座興も兼ねて「ソロモン夜襲戦-欧州海戦編」をデザインしています(あくまで座興ですので本気で期待しないで下さいね・・・)。最初にドイツ海軍艦艇をデータ化しようと思って調べ始めました。まあ簡単に調べられるだろう、とタカをくっていたのですが、火砲の性能を調べていくうちに「ハマって」きました。

これは面白い・・・

そこで今回はドイツ艦の搭載火砲について調べていく過程について適当に書き連ねて行きたいと思います。


 (注)「ソロモン夜襲戦」とは、自作の水上戦ボードゲームです。詳しくはこちらをご覧下さい

28cm/52 SK C/28

装甲艦「Lutzow」級の主砲です。本砲は比較的長い射程距離を持っています。最大仰角は40度でその時の射程距離が36.5[km]。これは並みの40cm級砲を凌駕します。砲弾重量は661ポンドで、これは「米30.5cm/50(Mk.8)」の1140ポンドに比べるとかなり軽量です。まあ米は伝統的に大重量砲弾を好んで使用する傾向があるので、単純に比較はできませんが。貫通力についてはデータがないので詳しくはわからないのですが、常識的に考えて「米30.5cm」砲の1ランク下ぐらいでしょう。

28cm/55 SK C/34

こちらは戦艦「Scharnhorst」級の主砲です。先に紹介した28cm/52に比べると、全般的な性能はかなり良くなっています。
まず本砲の性能で目を引くのはその長大な射程距離です。「28cm/52」も射程距離は長かったですが、本砲の場合その射程距離はさらにその上を行きます。実際、仰角40度での射程距離40.9[km]は、日本の「46cm/45」をも上回っています。最大射程距離では日本の「46cm/45」に僅かに及びませんが、それは「46cm/45」の最大仰角が45度に達するからで、仰角40度までなら全般的に本砲の方が優れています。
もう1点、本砲の特徴はその発射速度です。毎分3.5発というのはこのクラスの火砲としては相当高いレベルだといえます。「ソロモン夜襲戦」の場合、発射速度を火砲の性能に反映させるのは少し悩ましい所もあるのですが、「Scharnhorst」級の火力に少し「色」をつけることで再現しましょうか・・・?。

38cm/52 SK C/34

戦艦「Bismarck」の主砲です。38cmという口径は、欧州各国の戦艦が好んで用いた主砲口径ですが、各国それぞれが特色が出ていて面白いです。このドイツ製「38cm/52」については、まずその発射速度の大きさが目を引きます。訓練された兵員の場合で毎分3発というその発射速度は、同クラスの火砲の中ではトップレベルです。発射速度を「ソロモン夜襲戦」の火砲データに反映するのは少し悩ましい所ですが、例えば「Bismarck」の主砲火力を「5-10-5」ぐらいに評価してみましょうか(これならちょっと「色」を付けすぎかな?)。
本砲のもう1つの特徴はその射程距離にあります。先に紹介した「28cm/55」にこそ僅かに及びませんが、仰角30度における射程距離36.5[km]という数値は、米「Iowa」級「40.6cm/50(Mark7)」を遥かに凌駕し、「大和」級の「46cm/45」砲すら上回る値です。本砲は最大仰角が30度に押えられているので最大射程こそ「大和」級には及びませんが、有効射程距離では「大和」級に匹敵すると考えて宜しいかと思います。
砲弾重量は1764ポンドで、これは英海軍の38cm砲と比べて僅かに軽量級です。ドイツ海軍の場合、比較的軽めの砲弾を遠くに飛ばすのが好みのようですね。威力の面では傑出したものではありません。貫通力はデータを見る限り40cmに匹敵するように見えなくもないのですが、まあ常識的に考えれば40cm砲よりも1ランク下と考えて良いでしょう。

40.6cm/52 SK C/34

未成の新戦艦「H」級用に開発された大口径砲です。実際に何門かが製造され、ノルウェーやフランスの海岸防衛用に用いられたそうです。
本砲の特徴は52口径という砲身の長さです。これは米「Iowa」級「40.6cm/50(Mark7)」を上回る砲身長を誇ります。米砲がその長砲身を大重量砲弾の発射用として利用していたのに対し、この砲は比較的軽量の砲弾を高初速で発射することに主眼を置いているようです。砲弾重量2271ポンドは諸外国の40cm級火砲に比べて際立って大重量ではありませんが(米40.6cm/50砲は2700ポンド級砲弾を使用)、砲口速度810m/sは諸外国の同級砲をやや上回ります。
仰角30度での射程距離36.4[km]は、先に紹介した「38cm/52」と並んで世界最長級。ただし本砲の場合も最大仰角が33度に制限されているので、最大射程距離は若干制約を受けそうです。
砲弾1発あたりの威力は軽量砲弾なので当然ながらIowa級には及ばず、平均的な40cm砲と同等と考えて良さそうです。貫通力についても傑出した所はなく、カタログスペックでは普通の40cm級砲をやや上回りますが、ゲームデータのレベルでは同程度になってしまいそうです。
結局の所、この砲は射程距離の面でやや見るべきものがあるものの、全般的には従来の45口径級40cm砲と何ら変わり映えのしない平凡な火砲と言えるのではないでしょうか。

次回はイタリア製火砲と、ひょっとしたらドイツ製20cm砲も取り上げるかも知れません。