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しばらく紹介しない間に一気に3冊読破しました。今回は3冊分まとめて紹介します。

翔ぶが如く(4) 司馬遼太郎 文春文庫

本巻では薩摩に帰った西郷の日常、佐賀の乱とそれに対する大久保の苛烈な処置。征台論の台頭と台湾出兵等を描きます。今回は川路利良も宮崎八郎も少し休み。新キャラとして薩摩の村田新八が登場します。肝心の台湾出兵については、マラリア対策の不備により戦場で多数の戦病死を出すは、強引な外交政策が列強から散々に叩かれるは、と、殆ど見るべき成果はありません。

翔ぶが如く(5) 司馬遼太郎 文春文庫

台湾出兵により悪化した日清関係を修復すべく大久保利通は北京へ渡った。国内における強硬派の突き上げと清国側の強硬な態度に苦悩する大久保。このままでは日清間で戦争という事態に発展してしまう。清国に対しては強硬な姿勢を崩さない大久保も、国内の実情を知る彼にとって対外戦は絶対に不可であった。八方塞の状況の中で大久保は、50日も及ぶ熾烈な外交戦の末、遂に平和的解決の糸口を掴んだ。・・・

本書では征台論を巡る日清の対立と大久保利通の苦悩する対外交渉を描きます。いわば「火事場泥棒」的に台湾へ攻め込んだ日本軍に対して清国は強硬な姿勢を崩しません。諸外国も日本に同情的な視線を向けながらも、理は清国にあることを認めています。そのような状況の中、大久保がいかにして外交戦に勝利し、平和的な解決を実現したかが本巻の最大の見所です。

翔ぶが如く(6) 司馬遼太郎 文春文庫

本巻では薩摩を巡る太政官政府の動き、長州で不穏な動きを見せる前原一誠に対する川路利良の密偵政治、そして熊本神風連の乱とその鎮圧を描きます。

本巻の最後を飾る神風連の乱。熊本における急進的保守勢力であった神風連は、明治9年に発令された廃刀令に反対し、独自の勢力で成否を顧みず遂に決起に踏み切りました。反乱軍は白兵戦法によって熊本鎮台その他を襲撃。当時「百姓兵」と士族達から嘲られた鎮台兵達はなす術もなく逃げ回るだけでした。ここで登場するのが児玉源太郎。当時24歳の児玉源太郎少佐は、生き残った鎮台兵を率いて射撃戦を敢行。火力の優越を生かして神風連を鎮圧することに成功しました。わずか1日にして壊滅した神風連。しかしその時垣間見せた鎮台兵の「弱さ」は、後の西南戦争における西郷軍の戦略に微妙な影を落とすことになったのです。