「Uncommon Valor」に見る南太平洋航空決戦

Unccomon Valorは、米国"Matrixgames"が出版している電脳ゲームです。
テーマは南太平洋決戦で、1942年5月から1943年12月までを1ターン1~7日のスケールで描きます。


このゲームについては、つい先日入手したばかりで「チュートリアル」も着手していない状態なのですが、別の意味でちょっと興味が湧きました。というのも、このゲームは基地航空部隊が飛行中隊規模で登場するのですが、各中隊毎に装備機種、機数、技量、パイロット数等が事細かにレーティングされているのです。ということは、このゲームのシナリオを調べていけば、我々にとっては馴染みの薄い南太平洋方面における連合軍航空兵力の実態についても、ある程度伺い知ることができる訳です。

という訳で早速いくつかのシナリオについて調査してみました。

(注)以下の記述には"Uncommon Valor"におけるネタバレを含んでいます。

1942年5月

珊瑚海海戦の時期です。各基地毎の装備状況です。

連合軍

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基地機約250機、母艦機約140機といった所ですね。主力はP-39DやP-40E、爆撃機はB-26Bというのが目に付きます。量的には日本軍を上回っていますが、質的な面ではまだまだといった感がありますね。

日本軍

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基地機約120機、母艦機約130機、水上機約30機といった所です。基地機の数的な劣勢は顕著です。特に零戦隊が稼働機約30機の台南空のみというのはお寒い限り。既に前線が広がりすぎてしまった弊害が出ています。


1942年10月

南太平洋海戦の時期です。

連合軍

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基地機約900機、母艦機約160機といった所です。数量的にはかなり充実してきました。機材面ではまだまだ旧式機が目に付きますが、その中でB-17E、B-24Dといった四発爆撃機が徐々にその数を増しているのが伺えます。

日本軍

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基地機約350機、母艦機約230機、水上機約80機といった所です。母艦航空兵力では連合軍を上回っていますが、基地機の数では負けています。ただ連合軍機が広範囲に分散して局所集中できていないのに対し、日本軍は基地航空兵力の約70%を前線に近いラバウル、ニューギニア、ソロモン諸島に配置しています。


1943年6月

ガダルカナル戦が終わり、日本軍の「い号作戦」も実質的に失敗に終わった後、いよいよ中部ソロモンで連合軍の反攻開始、といった時期です。

連合軍

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基地機約1300機、母艦機約200機の航空兵力は、最早日本軍とは比較になりません。中でもガダルカナルを周辺とした地区には400機を越える基地機が集結し、東部ニューギニア方面に進出してきた200機以上と並んで一大航空要塞の様相を呈しています。
機材面も従来の旧式機に代わってより高性能のP-38GやF4U-1といった新型機がその数を増やしています。重爆撃機も16個中隊約170機を数えるに至りました。
母艦機では目立った動きはありませんが、この時期、早くもインデペンデンス級の軽空母が第一線に姿を見せているということは、新鮮な驚きでした。

日本軍

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基地機約350機、母艦機約30機。最早連合軍とは比較にもなりません。機材も相変わらずの零戦や一式陸攻であり、一部で月光やキ61といった新型機が姿を見せているものの、高性能化の著しい連合軍機に対する劣勢は最早否めません。
動ける母艦も「瑞鳳」のみ。「龍鳳」はどうしたのでしょうか?。