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米機動部隊によるマーシャル諸島攻撃

最近は空母「エンタープライズ」の戦闘詳報にハマっています。そりゃ英文だし読むのは大変です(私の英語力はかなり乏しいです)。でも最近はインターネットのおかげで米軍側から見た太平洋戦史についても比較的容易に調べることができるようになってきました。紹介される機会こそ多くはないですが、だからこそ「新しい発見」があるかもしれない。付け加えるなら「自分にとっての英語の勉強」にもなるかも知れませんしね(笑)。

そんな訳で今回もまた空母「エンタープライズ」の戦闘詳報を中心に「知らざれる太平洋戦史」について紹介していきたいと思います。今回紹介するのは「エンタープライズ」によるマーシャル諸島空襲です。開戦当初劣勢に立たされた米太平洋艦隊が行った最初の反撃作戦です。

注:「エンタープライズ」の戦闘詳報は以下のページを参照しました。


前回までのあらすじ



攻撃隊発進

何事もなく夜は更けていく。
0220、見張士官は「砂粒が顔にかかった」と報告した。陸地が近い。ハルゼーは各艦艇の位置確認を指示した。
0300、全乗組員が起床。「Big-E」の艦上では、なおも攻撃隊の準備が続けられる。計画によると0700少し前に北部マーシャル一帯を航空攻撃。ほぼ同時刻にスプルーアンス少将率いる巡洋艦戦隊がウォッゼ、タロアに艦砲射撃を行う手筈になっていた。
0430、「エンタープライズ」は風上に艦首を向けた。13分後、6機のワイルドキャット戦闘機が戦闘空中哨戒を行うために夜空に向けて飛び立っていった。続いて36機のSBD艦爆が発進。さらに0500には9機のTBD艦攻とエンジン故障のために遅れていた1機のSBD艦爆が飛び立つ。合計46機の攻撃隊は編隊を組み、155nm彼方のクエゼリン環礁へ向けて飛び去った。SBD艦爆は各機500lb爆弾1発と200lb爆弾2発を搭載し、TBD艦攻は各機500lb爆弾3発を搭載していた。
0610、12機のワイルドキャット戦闘機が発進。1機は発進に失敗して海中に突っ込んだが、残りはウォッゼとタロアに向けて飛び去った。各機は計2発の100lb爆弾を搭載していた。

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「エンタープライズ」より発進し、マーシャル諸島攻撃に向かうSBDドーントレス艦爆

攻撃隊が夜明け前の空を目標に向けて飛行している間、スプルーアンス少将の巡洋艦戦隊はタロアとウォッゼをその射程距離内に収めようとしていた。「ノーザンプトン」「ソルトレークシティ」がウォッゼを担当し、「チェスター」と数隻の駆逐艦がタロアに近づく。

0700少し前、1機のTBD艦攻が編隊から離れてクエゼリン環礁の泊地へ向かった。続いてSBD艦爆も暗闇と朝霧の中、ようやくロイ島(クエゼリン環礁の主島、日本軍の飛行場がある。日本軍は「ルオット」と呼んだ)を見つけた。6機のSBD艦爆が飛行場目掛けて爆弾を投下した。そこでは攻撃中にも関わらず、緊急発進しようとする日本軍戦闘機がいた。

日本側の記録によれば、この時ルオット基地には18機の九六艦戦が配備されていたそうです。10機の艦戦が邀撃に発進し、撃墜5機を報じました。米側の記録によると、この攻撃で4機のSBDを失いましたが、戦闘機による戦果は不明です。

さらに第6偵察爆撃中隊(VS-6)のSBD艦爆が続く。アール・ガラハー(Earl Gallaher)とC. E.ディキンソン(C. E. Dickinson)が率いる12機のSBD艦爆が戦闘に介入。弾薬トラック、格納庫、通信施設を破壊し、さらに機銃掃射で地上の飛行機を猛射した。

米艦爆の最初の一撃は第6根拠地隊司令部を直撃。司令官戦死、先任参謀重傷の被害を与えました。この打撃が日本側に大きな混乱を引き起こしました。

地上が大混乱している間に7機のSBD艦爆がクエゼリン泊地へ向かった。そこには数隻の商船、潜水艦、そして巡洋艦「香取」が停泊していた。

「クエゼリン泊地に大型爆弾の美味しいカモがいるぜ」

SBD艦爆を率いるヤング中佐からの送信は「エンタープライズ」でも受信された。そこには雷装した9機のTBD艦攻が発進準備を整えて待機していた。

米艦攻隊と米艦爆隊は泊地に対する攻撃を開始した。「エンタープライズ」は日本空母に対する攻撃を命じたが、空母は発見できなかった。全般的に日本軍の対空砲火は微弱であり、米艦爆、艦攻隊は微弱な対空砲火を突破して次々と戦果を上げていった。彼ら自身の判定によると、2500トン級の潜水艦1隻を撃沈、大型商船2隻を大破、それに防空巡洋艦1隻に損傷を与えた。

この「防空巡洋艦」(A.A. cruiser)の正体は定かではありませんが、恐らく「香取」又は「常磐」(日露戦争時代の巡洋艦)を誤認したものと思われます。彼らの報告をそのまま鵜呑みにすると、「この防空巡洋艦なる艦は泊地の中央部に位置し、12門以上の大口径機関砲、多数の小口径対空砲、それに少なくとも1基の多連装ポムポム砲を装備している」とのことです。

米軍機による実際の戦果は、商船「ぼるどう丸」を撃沈。他に特設砲艦2隻、特設駆潜艇1隻を大中破、巡洋艦「香取」、敷設艦「常磐」その他の軽微な損害を与えました。攻撃規模から比べると、戦果の絶対量は「小さい」と評して良いように思います。


写真出典
http://www.cv6.org/