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「Air Power」シリーズを練習中

「Air Power」シリーズとは、かつてGDW社が出版していた「Air Superiority」シリーズの流れを汲む空戦ゲームシリーズです。
私の知る所、同シリーズでゲーム化されているのは今回紹介する「The Speed Of Heat」だけのように思うのですが、ルール的にはAir Superiorityシリーズと互換性があるので、同シリーズの戦闘機を飛ばして遊ぶことは十分可能です。

Air Powerシリーズの第1弾、The Speed of Heatは、Crash of Arms社が1992年に出版した空戦ボードゲームです。テーマは朝鮮戦争からヴェトナム戦争までの期間で、F-86、F-4、F-8、MiG-17、MiG-21、B-52等の機体が登場します。1ターンは12秒、1ヘクスは1/3マイルです。空対空戦闘のルールだけではなく、空対地戦闘や地対空戦闘のルールも充実しており、現在空戦の戦術場面はほぼすべてルール化されている感があります。またこのゲームの扱う時期にはまだ実用化されていないアクティブ誘導式空対空ミサイルやヘルメット取付型照準器等もルール化されています。汎用ゲームならではの特徴と言えるでしょう。

今回、久しぶりにこのゲームにチャレンジしてみることにしました。
英文ルールしか手元にはないのですが、基本的には「Air Superiority」シリーズと同じだし、それに昨年チャレンジした「Whitling Death」とも似通っています。むしろ「Whitling Death」よりもルールが簡略化されているので、読み易い、とも言えます。

途中までルールを読み、

You are now ready to play Training Scenario 1

という文章にまで辿り着いたので、早速「Training Scenario 1」にチャレンジすることにしました。

空中訓練 1950年春


貴方は若い空軍少尉である。貴方は今テキサス州ランドルフ空軍基地において、新しいジェット戦闘機への機種転換訓練課程にいる。今日、貴方はチェックを受けなければならない。貴方はT-33ジェット練習機を駆って2つの課題を実行する(中略)。良い結果を得られたら、貴方はF-86A「セイバー」のパイロットへ1歩近づくことになる。逆に結果が悪ければ、カンザス州でオンボロのC-47輸送機を飛ばすことになるだろう。

とまあ、こんな感じかな(かなり怪しい)。
という訳で私こと「もりつち少尉」は、T-33ジェット練習機のコクピットに潜り込みました。

このゲームにT-33のデータは用意されていません。本シナリオでは、F-80戦闘機のデータをT-33のそれとして代用しています

https://livedoor.blogimg.jp/mk2kpfb/imgs/d/7/d7121562.jpg
T-33ジェット練習機。今回「ボク」の乗機となりました。

セットアップ

このシナリオでは2つの課題が課せられています。1つは「8」字飛行。もう1つは空中ランデブーです。プレイヤーは最初に盤上に設置された2つのパイロンを使って「8」字飛行を実施し、その後周回飛行している2番機とのランデブーを行います。その間急激な旋回や危険な飛行を行うと減点され、逆に安全な飛行を行うと加点されます。またランデブーが予定よりも早く達成されると、さらに得点が加算されます。

https://livedoor.blogimg.jp/mk2kpfb/imgs/3/0/3042ae29.jpg
セットアップ

第1~4ターン

高度5000ft、速度400mphでいきなり左へ5G旋回。後席に座るWW2のベテラン教官は顔をしめる。続いて緩やかに右へ切り返したあと、2番目のパイロンを右手に見ながら今度は右へ5G旋回。それが終わった時には早くも「8」字旋回の半分が終わっていた。

https://livedoor.blogimg.jp/mk2kpfb/imgs/d/1/d12a3fca.jpg
第1~4ターンの機動

第5~7ターン

少し直進飛行して左にパイロンを見て、今度は3度目の5G旋回。左方向へ回りこむ。連続24秒の旋回によってパイロンの南側に出た。これで「8」字旋回はほぼ終了である。

https://livedoor.blogimg.jp/mk2kpfb/imgs/3/f/3f75a73b.jpg
第5~7ターンの機動

第8~10ターン

あとは僚機を追うだけだ。緩やかな左旋回で僚機の内側に回りこんだ後、最後は7Gの急旋回で僚機の真後ろにピタリとつけた。最後の緊急旋回は教官の眉をひそめさせたが、結果的にはスコア「8」点の高得点で、文句なく合格。もりつち少尉の戦闘機パイロットへの道は今大きく開かれた。

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第8~9ターンの機動。この直後「ボク」は左へ7G旋回を行い、僚機の後尾にピタリと食いついた。

感想

「Whitling Death」を一度マスターした後だったので、ルールは比較的容易に理解できました。「Whitling Death」との違いについては、まず旋回時の減速率が違います。「Whitling Death」の場合、旋回する毎に減速ポイントが加算される方式であるため、急激な旋回を行うと速度が一気に減ってしまいます。しかし「Air Power」の場合、旋回に伴う減速ポイントは、そのターンに行った最大Gの旋回に準拠するということになっているので、極端な急旋回を行った場合にも減速率はそれほど大きくはありません。今回の試験飛行でも、「ボク」が乗るT-33はかなり強引な旋回を行ったのですが、その速度は400mphを常時維持することができました。

とまあ、今回の練習シナリオはかなり「サクサク」と進んだのですが、実は「水平旋回」についてはこの他にも上級ルールという名目でいくつか細かいルールがあります。いくつか列挙してみましょう。
 ・連続旋回
 ・スナップターン
 ・バンク角
 ・最小旋回速度
 ・Gによる意識喪失
とまあこんな感じです。いずれも個々のルールはそれほど難しくはないのですが、これだけのルールを全て把握してプレイするのはかなりの記憶力と理解力が必要になってくるでしょう。このデザイナー氏のゲームは、こんな感じでエアロダイナミクス(空気力学)関連のルールがやたらと多いのが特徴のようにも思えます。エアロダイナミクスに忠実だというのは有難い話なのですが、本来「自然に」解決されるエアロダイナミクス関連の処理を人間が手作業で処理するという本ゲームシリーズのスタンスについては、少し(あるいはかなり)疑問を感じます。

次回は練習シナリオ「2」に挑戦します。

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