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解説

Pacific Fleet(SSG/HJ)は、1983年にHobby Japan社が出版したシミュレーションゲームです。
当時の戦史研究においては、未だ

「戦争には負けても日本軍の強さは世界一ぃ」

的な見解が幅を効かせていたのですが、本作はそのような世評に一石を投じました。すなわち本作は、日本軍の「弱さ」に焦点をあて、日本軍が太平洋において米軍相手に惨敗する様を「これでもか、これでもか」とばかりに再現していました。そのせいもあってか、一部の熱狂的な日本軍ファンには受けが悪かった部分も確かにありました。しかし当時シミュレーションゲームを愛好していた年齢層が比較的低かった(10代が中心)せいもあり、「日本軍必敗」のこのゲームは当時概ね好意的に受け入れられたように思います。

それから四半世紀近い時が流れ、2002年になってサンセット・ゲームズ社がPacific Fleetを再販しました。再販にあたっては基本的にはオリジナルの精神を受け継ぎ、「バグ」と思われる場所のみ手当てする処置が施されています。その改良は概ね成功であったと評価してよいと思います。

今から思えばPacific Fleetの日本評価は、やや「辛口過ぎる」感があります。特に戦争後半の日本軍は全く打つ手がなく、米軍はその気になれば1944年中に「コロネット作戦」(関東平野上陸作戦)を敢行することすらできてしまいます。いくら米軍が強力でも、これはちょっと「強すぎる」ように思います。その点改良の余地がありますが、それでも太平洋戦争全域をプレイ可能なレベルで再現した本作は、20年以上の時を越えて生き残った傑作ゲームであると思います。

今回、このPacific Fleetのシナリオ4をソロプレイしてみました。シナリオ4は真珠湾攻撃からポツダム宣言受諾までの太平洋戦争全部を扱うグランドキャンペーンゲームです。盤上で繰り広げられる太平洋戦争をお楽しみ頂ければ幸いです。