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先日ちらっと紹介した、ソロモン夜襲戦のバリクパパン海戦シナリオですが、一応テストプレイも概ね完了したので、ここに紹介したく思います。

 (注)「ソロモン夜襲戦」とは、自作の水上戦ボードゲームです。詳しくはこちら

17.1 シナリオの背景

1942年1月24日、蘭印進攻作戦を進める日本軍は、ボルネオ南東部の油田地帯、バリクパパンに対して上陸作戦を敢行した。陸軍部隊を満載した輸送船10隻以上がバリクパパン沖に投錨し、その周囲を軽巡1、駆逐艦以下10以上からなる第1護衛隊が警戒していた。
一方、バリクパパンに対する日本軍の進攻を予期した伴った連合軍司令部は、チモール島クーパンで補給中の米第5機動部隊に出撃を命じていた。米グラスフォード少将指揮する軽巡2、駆逐艦4からなる第5機動部隊は、航行中の事故や故障により主力をなす2隻の軽巡洋艦を戦列外に失う悲運に見舞われた。その結果、バリクパパンに突入し得たのは旧式駆逐艦4隻からなる第59駆逐隊だけであった。タルボット中佐に率いられた旧式駆逐艦4隻は、燃えるバリクパパンの町を背景に影絵のように浮かび上がる日本軍輸送船団目がけて突入を開始した。

17.2 シナリオ開始日時

1942年1月24日(未明)

(中略)

17.4 両軍兵力

日本軍

軽巡「那珂」

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日本艦隊の旗艦。当日は西村祥治少将が将旗を掲げた。本シナリオに登場する両軍艦艇の中では最強艦であるが、実質的には使いにくい存在である。他の艦船とグループを組むことができないため、CP消費の効率が悪い。また自慢の装甲や砲力(駆逐艦の12.7cm砲よりもリーチが長い14cm砲を搭載)も、このシナリオのように視界が制限された状況では優位を発揮しにくい。それでもチットの引き如何では本艦の活躍が勝敗を分ける場合も出てくる(かもしれない)


第2駆逐隊

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3隻の白露型駆逐艦「夕立」「五月雨」「春雨」からなる駆逐隊である。船団の外周警戒を担当しているため、米艦隊とはやや離れた位置に登場することが多く、従って多くの場合米艦隊と交戦するのはゲーム終盤になる。それでも12.7cm砲計15門、61cm魚雷発射管計24門を持つこの駆逐隊は、本シナリオに登場する日本艦隊の中では最強の攻撃力を誇っており、米艦隊を追い詰める最後の切り札的存在といえる。

第9駆逐隊

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2隻の朝潮型駆逐艦「朝雲」「峯雲」からなる駆逐隊である。第9駆逐隊には他に「夏雲」「山雲」が所属しているが、「山雲」はバリクパパン攻略戦には不参加、「夏雲」は当日同海域にいなかった可能性が高い。船団の内周警戒を担当している第9駆逐隊は、シナリオの早期に登場した場合米艦隊と長時間交戦する可能性の高い部隊である。隻数こそ2隻と少ないが、新鋭艦ゆえの耐久力の高さと良好な凌波性(損害2以下なら速度6を発揮できる)、そして白露型を上回る砲力は、本駆逐隊をして本シナリオ最有力の部隊としている。ただ登場時期が遅くなった場合、米艦隊を追い切れずに遊兵化する可能性もある。

哨戒艇

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3隻の哨戒艇が登場する。旧式駆逐艦を改造した哨戒艇は、限定された砲戦能力を有している。しかし米駆逐艦と対等に交戦するのは性能的に無理である。このシナリオでは船団の近接護衛を担当しているために米艦隊と遭遇、交戦する可能性は極めて高い。哨戒艇の主な任務は、自らが犠牲になって他の戦闘部隊を呼び寄せることにある。

輸送船

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13隻の輸送船が登場する。移動禁止、戦闘能力皆無なので、本シナリオでは米軍の目標である以外に意味はない。

連合軍

第59駆逐隊

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4隻の駆逐艦「ジョン・D・フォード」「ポープ」「パロット」「ポール・ジョーンズ」が登場する。いずれも「平甲板」型の旧式駆逐艦である。砲力では日本駆逐艦に遠く及ばず、耐久力でも日本の新鋭駆逐艦には及ばない。魚雷搭載数こそ12本と日本駆逐艦を凌駕しているが、肝心の魚雷性能が悪く、実質的な優位性はない。いずれにしても日本駆逐艦とまともに戦って勝てるような艦でないことは確かなので、敵輸送船を撃破した後は日本駆逐艦との交戦は可能な限り回避し、速やかに戦場を離れるのが望ましい。

17.9 結末

米駆逐艦は通り魔のような早業で日本軍輸送船を襲撃した。魚雷が次々と日本軍輸送船に命中。敵水上艦による襲撃を予期しなかった日本軍護衛部隊は完全に裏をかかれた。米駆逐艦隊は日本軍輸送船に次々と魚雷を命中させたが、日本軍の対応は緩慢であり、米駆逐艦は混乱する日本軍を尻目に殆ど無傷で戦場を後にした。
朝になって泊地内の惨状が明らかになった時、日本軍はたった1晩で4隻もの輸送船を失い、1隻の哨戒艇と1隻の輸送船が大中破せしめられたことを知った。これは日米開戦以来日本軍が被った被害の中では最大級のものであった。連合軍はバリクパパン沖での勝利を「マカッサル海戦」と呼称して大いに宣伝した。しかしより広い視野から見た場合、この戦いによる戦局への影響は殆どなかった。確かに日本軍は大きな損害を被ったが、バリクパパン作戦は順調に推移し、上陸後2日足らずで市街地を制圧、4日後には早くも零戦隊が進出してきたのである。バリクパパン油田も間もなく操業を再開し、そこから精製されるオクタン価の高いガソリンは、その後の戦いで大いに役立つものであった。