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湾岸戦争が終わって早くも20年近くが経過しようとしています。いやー、ホントに時の経つのは早いもの。あの時は「空爆がどーの」「スカッドミサイルがどーの」「地上戦がどーの」と話していたものですが、すっかり歴史の中に埋没してしまいました。

今回紹介する「Back To Iraq」は、湾岸戦争後に予想された米軍を中心とする多国籍軍とイラク軍の激突、いわゆる「第2次湾岸戦争」を描いたシミュレーションゲームです。実際の「第2次湾岸戦争」は、2003年に勃発したイラク戦争によって過去のモノと化してしまいましたが、本作が描く「第2次湾岸戦争」と実際の「イラク戦争」を比較してみるのもまた一興です。

ゲーム紹介

ゲームスケールは1ターン2日。1ヘクス17マイルで、1ユニットの規模は連隊、旅団、師団、軍団、軍ですが、基本的には師団規模です。ZOCについては基本的に「ZOCなし」なのですが、多国籍軍機動打撃部隊(米、英、仏、NATOの機械化部隊)については例外的にZOCを有しています。補給ルールあり。シークエンスはイラク軍が「戦闘フェイズ、移動フェイズ」、多国籍軍が「移動又は戦闘フェイズ、移動又は戦闘フェイズ」です。イラク軍はそのシークエンスから予想できる通り柔軟な対応が困難なのに対し、多国籍軍は柔軟な対応が可能です。しかし多国籍軍が「移動フェイズ、戦闘フェイズ」という組み合わせにした場合、多国籍軍の攻撃は「急襲」扱いとなり、不利な方で1コラムシフトを強要されます。

ゲーム開始時の状況

イメージ 2このゲームでは、ゲーム開始前にダイスを振り、季節と国際情勢を決定します。国際情勢のダイス如何ではトルコやサウジアラビアが多国籍軍側についたり、、中立化したりします。ちなみに史実のイラク戦争ではトルコはおろか、フランス、ドイツまでもが中立化してしまいましたが、本作ではそのような事態は起こりません(フランス軍は常に多国籍軍側で参戦します)。
左の絵はフランス第6混成師団です。本作に登場する唯一のフランス軍ですが、兵力不足の多国籍軍にあってその存在は貴重です。

ダイスの結果、天候は乾季、国際情勢はサウジアラビア参戦となりました。多国籍軍はクウェートの他、サウジアラビア領を自らの策源地として利用できることになりました。

イラク軍の戦略

「もー、どーして良いかわからない」

イメージ 3イラク軍のセットアップ時にまず途方に暮れてしまいます。
イラク軍のユニット数は計32個。これは多国籍軍の計13個を大きく凌駕しますが、その内訳はお寒い限り。全体の1/3を占める1-2-2(攻撃力-防御力-移動力、以下同じ)歩兵師団は鈍足・弱体なので足止め程度にしか使えない。2-1-7の戦車師団3個も足こそ速いものの防御力が弱すぎる。イラク軍最強の4-5-8「特別共和国警固隊」も、軍団規模なので他ユニットとスタックできない。結局使えそうなのは、4-3-8の共和国防衛隊、3-3-7のハンムラビ、アドナンの各機械化師団、3-2-7のメディナ、アルジュライミ機甲師団、2-3-7の3個自動車化師団、そしてスタック制限が適用されない旅団・連隊ユニット5個ぐらいです。

イラク軍の基本戦略は以下のように設定しました。
(1) クウェート国境付近の都市バスラ(3429)を可能な限り保持する。バスラに11戦力篭らせれば、BC(生物・化学)兵器の併用によって多国籍軍の攻撃を最大でも1-2のオッズにまで引き下げることができる。1-2のオッズは1/6の確率でAEがあるため、多国籍軍としては容易に手を出すことができなくなるはず。
(2) バスラ保持している間に可能な限りイランの参戦を促す。
(3) もしイラン参戦前にバスラが陥落したら、チクリス・ユーフラテス川沿いの湿地帯で可能な限り持久する。その間バクダットを決戦部隊で固め、最終決戦に備える。

多国籍軍

イメージ 4左の絵は多国籍軍に所属するNATO軍混成師団です。戦力6は多国籍軍機動打撃部隊の中では最弱なのですが、兵力不足の多国籍軍にあってその存在は貴重です。

イラク軍を圧倒する機動力と打撃力を有する多国籍軍ですが、やはり弱点はあります。それは「兵力不足」と「脆弱な補給線」です。
まず兵力については、多国籍軍の機動打撃兵力はわずか7個師団(米4個、英1個、仏1個、NATO混成1個)です。他にクウェート軍が1個師団ありますが、これはクウェート領内でしか使えない。クルド派とスンニ派の部隊が計5個ありますが、彼らは鈍足でZOCも持たないので兵力として多くは期待できません。
補給線については、イラク領内へ伸びる多国籍軍の補給線は、クウェートから北へ延びる道路と、サウジアラビアの砂漠を西へ走る一本の道路だけに依存しています。前者はバスラで北への道を閉ざされ、後者は脆弱な道路網がその横腹をイラク軍に晒しています。
ちなみに兵力不足と補給難は実際のイラク戦争でも米英連合軍を苦しめました。

今回多国籍軍は以下の方針で挑みました。
(1) 開戦後速やかにバスラ攻略を行う。
(2) バスラ陥落後はチグリス・ユーフラテス川沿いに進撃し、進撃路に立ち塞がるイラク軍を各個撃破する。
(3) 第10ターン頃よりバクダット攻略に着手する。

上記の戦略において(1)のバスラ攻略が若干の危険を孕んでいますが、バスラを落としさえすれば、あとは順調に進展するでしょう。

セットアップ

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上の写真はセットアップ時の状況です。イラク軍は4個所の都市に主戦力を集中。特にバスラには計11戦力をかき集め、多国籍軍の攻撃を跳ね返す欠く覚悟です。対する多国籍軍は機動打撃兵力7個をクウェートに集結、バスラを抜いて一気にバクダットを狙う構えをみせました。サウジ方面からの迂回は一切考慮せず。機動戦はバスラを抜いた後になりそうです。

という訳で今回は紹介と初期配置だけで紙面が尽きたようです。

次回、いよいよ第2次湾岸戦争の開始です。