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海軍参謀

吉田俊雄 文春文庫

旧帝国海軍参謀とはどのような存在だったのか。自身が旧海軍の参謀であった吉田氏が、自らの体験と文献情報に基づいてその功罪について記した著作です。
この本、まず読んでいて「面白い」。この種の戦争ものにありがちな「堅苦しい文体」があまり見られず、文章が軽妙で読みやすく、しかも飽きさせません。後半に入るとエピソードの使いまわし(「この話さっきも聞いたよ」的な)がいくつか見受けられますが、目くじら立てる程でもありません。
本書は旧海軍の参謀像に焦点を当てていますが、著者は旧海軍の参謀像についてかなり辛口の評価をしています。
 「自己中心的で客観性がない」
 「自信過剰で自己革新能力がない」
 「リスク・マネジメントゼロ」
等、とまあ散々です。そして本書を読み進めていくと「なるほど」と頷けます。
例えば本書に紹介されている参謀たちが書いた文書類を読むと「これでプロの仕事とかねえ???」と首をかしげることばかり。具体性がなく抽象論ばかり。仮に民間企業でこんな文書を書けば「内容がないねえ、書き直し」と上司に突き返されること必定です。これが「知的」で「聡明」と言われている旧帝国海軍の、しかも最高の頭脳が書いた「作文」の実態なのですから恐れ入ります。
旧海軍の参謀像について考察をする上で有益な著作だと思います。

お勧め度★★★★

P.S. 米海軍のブローニング大佐はミッドウェー海戦勝利の立役者ですが、一方で偏屈で自己中心的な所があり、空母「ホーネット2」艦長時代は部下から嫌われていたそうです。米海軍にも色々あるみたいですね。