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あぁ、阪神タイガース

野村克也 角川書店

北京オリンピックでは予想だにしなかった惨敗に終わった星野ジャパン。そんな星野監督とノムさんの「場外乱闘」が少し話題になっていましたが・・・・。
今回はそんな野球関係の書籍を紹介いたします。

今回紹介する一品は、私が先日大阪方面へ出かけた際、立ち寄った本屋で見かけたので思わず購入してしまったものです。あの「ノムさん」こと野村克也監督が、自ら阪神タイガースを率いた3年間を中心に、阪神タイガースというチームについて語った著作です。

この本、とにかく面白い。私自身が「虎キチ」故に面白く感じるのは勿論ですが、そういった点を割り引いても、阪神タイガースという組織の弱点について的確に指摘していると思います。「マスコミに甘やかされて増長した選手たち」「適切な補強をしないフロント」「人間教育の欠如」等、読んでいて「なるほど」と思わせる指摘に満ちています。
また組織論としてみてもこの本は興味深いです。
ダメな組織。そこには「すごく悪い人が1人」いて組織を弱体化させる、のではなく、様々な要因が重なり合ってダメな組織が出来上がる。私自身が実世界でそういった組織を見る機会が多いだけに、考えさせられる部分が多かったです。本書で語られる野村氏自身の様々な失敗談は、そのまま我々自身に応用できそうな話ばかりです。

無論、野村氏の指摘が全て正しい訳ではありません。意地悪な言い方をすれば「自分の失敗を全て組織の責任に転嫁している」という言い方もできます。例えば氏は自らの野球理論が浸透しなかった理由を「選手側の幼稚さ」に求めていますが、必ずしもそうは言えないでしょう。相手が幼稚であれば幼稚な相手に相応しい対応の仕方があったはず。相手がいつも自分のレベルに合わせてくれるとは限らないというのはよくある話です。相手の能力、背景、精神状態も配慮せず、一方的に「ボヤキ」を繰り返すようでは、如何にその野球理論が優れていても選手たちは離れていくでしょう。

野村氏の後を継いだのが星野仙一氏です。ご存知の通り星野氏は、就任後2年目でタイガースをリーグ優勝に導きました。本書ではその星野氏についても触れていますが、星野氏と野村氏の一番の違いは、野球理論の優劣ではなく、人間としての器の大きさではないかな、と本書を読んでいて少し感じました。

お奨め度★★★★