先日紹介しました「幕末維新始末紀」について、早速プレイしてみました。
以下はそのレポートです。ルールは2008年10月23日版を使用しました。

 「幕末維新始末紀」の紹介は --> こちら

セットアップ

セットアップはルールブックに記載されていて、特に選択の余地はない。徳川幕府軍(以下「東軍」)は京に兵員4と指揮官3、薩長連合軍(以下「西軍」)は京に西郷、大久保の2名、長州に木戸準一郎(孝允)と兵4である。他に両軍とも2名ずつの公家を京に配置。公家は戦争等の影響を直接受けない特殊な指揮官である。

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セットアップ時の状況。中央上の四角いエリアは京都である。

方針

最初に両軍がどう動くかで悩む。動く順番から言えば逆だがまず西軍。セットアップ時に京における軍事的なバランスが東軍側に傾いている。この状況下で取り得る選択肢は2つ。
(1) 長州に待機している兵4を速やかに上京させ、京における軍事バランスを回復する。
(2) 在京の大久保、西郷を下野させる。
最初は(1)が得策かと思ったが、今の所(2)の方が有利ではないかと思っている。というのも、セットアップ時に西軍が支配しているのは長州のみ。薩摩、土佐、肥前といった西軍の足腰になる地域は未だ中立状態である。速やかにこれらの地域での支配を固めて兵力と地盤を固めたい。そのためには一時的に京を放棄するのもやむを得ない。というのが今の所の結論である。勿論西軍にとって早期に京の支配を確保することは、計り知れない利益をもたらすことも確かだろう。しかしセットアップ時の状況では、仮に西軍側が有利なカードを保持していたとしても、東軍がベストを尽くした場合は京を確保できる確率は五分五分にしかならない。五分五分の確率が高いか低いかは難しい所だが、第1ターンで薩摩を支配できないかもしれない、というのは愉快なことではない。

一方の東軍。手順上は先に動かなければならない。東軍としては京を確保し続けるのが勝利への近道であるが、それに加えて地盤を固めて諸外国から日本唯一の政権であることを承認されなければならない。そのためには江戸、大坂の2拠点を確保し、随時占領地域を広げていくのが得策であると思う。まずは京の支配を確実にするため政治力2の徳川慶喜と兵4を京に残し、残った指揮官を会津、新潟方面に派遣して地歩を固めるのが良いかと思う。

第1ターン(慶応3年冬)

状況札フェイズに東軍は榎本釜次郎(1-1)を登用。戦闘、政治の両方に使える便利な指揮官である。江戸に配置する。西軍は「外国人殺傷事件」カードを引く。政権点が2から1に低下した。
移動フェイズ。東軍は能力0-2(軍事能力-政治能力、以下同じ)の徳川慶喜と兵4を京に残し、新潟に板倉勝静(0-1)、会津に松平容保(1-0)を派遣。さらに江戸では榎本釜次郎(1-1)が支配固めに動く。
西軍は在京の西郷吉之助(1-2)、大久保一蔵(0-2)を下野させ、それぞれ肥前、薩摩の支配固めに努める。
支持獲得フェイズに東軍は江戸、会津及び新潟、西軍は薩摩で支持を獲得としたが、肥前での支持獲得には失敗した。西郷は長州へ撤収。また小御所会議(京の支配権を決定する会議)では当然ながら兵力に優る東軍が京の支配権を握った。

ちなみにこのゲームに江戸、大坂、京というエリアはない。ゲーム上の表記に従えばそれぞれ総武、摂播、京師となる。他にも地名や人名について必ずしもゲーム上の表記と本記事の表記は一致していない。これは正確さよりもわかりやすさを優先した結果ということでご理解頂きたい。

今回西軍は第1ターンに大久保一蔵を薩摩に送り込んでそこを支配しようとしたが、これは約16%で失敗するある意味危険な賭けであった。もし失敗したら50%の確率で大久保一蔵が死ぬ。そう考えると必ずしも安全な策ではないのだが、薩摩の戦略的重要性を考えれば、上記程度のリスクは許容すべきなのかも知れない。

第2ターン(慶応3年春)

京の支配を固めた東軍は徳川慶喜を大坂に派遣し、同地を東軍の支配下とした。
西軍はカードで芸州を支配する一方、西郷吉之助と兵4が大坂に進出。同地を支配しようとした。しかし徳川慶喜の政治力を打ち崩すことができずに西軍は芸州に後退していった。

第3ターン(慶応3年春)

東軍は榎本釜次郎が2隻の軍艦を率いて函館に向かった。榎本らの活躍によって東軍は函館を支配することに成功した。同じ頃小笠原長行(1-0)は精鋭の幕府兵2を率いて大坂に入城した。
対する西軍は長州の木戸準一郎が兵1を率いて因州に到着。直ちに同地を支配下に置いた。

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第3ターン開始時の状況。大坂で待ち構える東軍(図中の赤丸)に対し、芸州に集結する西軍(図中の青丸)が機会を伺う。

第4ターン(慶応3年夏)

大坂で民衆が「ええじゃないか、ええじゃないか」と踊り狂ったという。西軍が裏で糸を引いている模様である。
東軍は函館に派遣していた榎本釜次郎率いる艦隊を江戸に帰還させる。
西軍は西郷吉之助が兵6を率いて大坂に進撃した。
支持獲得フェイズ。西軍は大坂での支持獲得に成功。徳川慶喜は京へ向けて撤退していった。


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