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彗星夜襲隊-特攻拒否の異色集団

渡辺洋二 光人社

本書の主役、芙蓉部隊とは、美濃部正少佐率いる3個飛行隊の通称です。主な装備機は水冷型彗星と零戦。戦法は夜襲であり、敵空母や航空基地に夜襲を加えてこれを撃破しよう、という着想に基づいています。
芙蓉部隊で有名なことは、沖縄戦の渦中にあって特攻拒否を貫き、通常戦法で戦い続けたことでしょう。本書はその芙蓉部隊の誕生と活躍、そしてその終焉を描いています。
芙蓉部隊の戦記といっても、内容的には「血湧き肉踊る」ようなものではありません。来る日も来る日も夜襲。飛行場に爆弾を落として「火災を認めた」が戦果報告。空母撃破等といった華々しい戦果もなし。全般に地味です。そういった意味では所謂「面白い」戦記ではありませんが、あの時代に特攻拒否を貫いた美濃部少佐の思想や戦いぶりは興味深いものがあります。

お奨め度★★★