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Leyte

History of United States Naval Operation in World War 2 Vol.12

Samuel Eliot Morison University of illinois Press

レイテ島進攻戦について米側の視点で描いた歴史書です。レイテ進攻計画の立案に始まり、台湾沖航空戦、レイテ沖海戦、そしてレイテ沖海戦後のレイテ周辺を巡る海空戦を描きます。
レイテ沖海戦はメジャーアイテムなので日本語で読める資料も多いです。それでも米側の視点で見るレイテ戦の描写は新鮮です。特に興味深いのはレイテ海戦終了後の米軍は思いの他苦労していること。特にレイテ湾上空を巡る制空戦闘ではタクロバン飛行場の整備不良が原因で米軍も相当苦労したようです。オルモック湾を目指す我が多号輸送作戦が初期に成功を収めたのも上記の事情があったためでしょう。
他にもペリリュー戦における米軍の苦戦(注1)、米サービススコードロン(補給支援部隊)の活躍と苦悩、日本軍航空部隊の驚くべき強化(注2)、「ブルズラン」についてのハルゼー自身による供述と米軍部内における「ブルズラン」に対する批判、日本艦隊の対空射撃に対する米側の評価、日本側砲雷撃戦技術に対する米側評価等、興味深い記述が続きます。
レイテ沖海戦について研究する際には、まず第一に検証すべき著作ではないかと思います。

(注1)「もしヒトラーがペリリュー並に堅固な陣地を大西洋の壁に築いていたらと思うとぞっとする」と書かれています。
(注2)日本陸軍がフィリピン一帯に送り込んだ航空機数は、1944/10~1945/01の4ヶ月間で2,300機にも達するそうです。

お奨め度★★★★