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今さら解説は不要でしょうが、「トラ・トラ・トラ!」は20世紀フォックスが配給した戦争映画の大作です。近年は安価なDVDが容易に入手できるようになったので、私もDVDを入手して鑑賞してみました。

約2時間半の作品で、前半は真珠湾攻撃前の日米両陣営の動きを描き、後半は真珠湾攻撃そのものを描きます。

本作は日米合作ということで日本側の描写が詳しいです。
例えば・・・、

「雷撃機で真珠湾をやれんかな?」
「1年や1年半は存分に暴れまわってみせましょう。だが、その後は全くわかりません。」
「もし和平の道が開け、「直ちに帰れ」と言われて「帰れぬ」という指揮官は、即刻辞表を出せ。」

といった山本五十六の台詞は、ニヤリとさせられる場面です。
また「変人参謀」と呼ばれた黒島参謀の奇行や、「自ら囮になりましょう」といって作戦参加を申し出る山口第2航戦司令官、どこか頼りない南雲長官等、日本側の事情が詳しく描かれていて興味深いです。
勿論「海軍善玉説」や「南雲長官臆病説」等今ではやや色褪せてきた史観も伺えますが、それはそれで興味深いものがあります。

後半の戦闘シーンは本作の見せ場です。今から40年近く前に製作された作品にも関らず、戦闘シーンの精緻さは今見ても色褪せていません。他機種からの改造といわれている零式艦上戦闘機や九七式艦上攻撃機にしても、殆ど違和感がありません(まあ詳しく見たら「ちょっと変な形」と思える場面もありますが)。撃破される在泊艦船群、炎上する地上施設、迎撃する対空火器、被弾して撃墜される日本機等、「あの日」の真珠湾がリアルに再現されています。

古い作品なのですが、今でも入手は容易であり、鑑賞をお奨めしたい作品です。

お奨め度★★★★

余談1

ところで、真珠湾に向かう空母の格納庫にて艦形識別訓練を行う場面があるのですが、この時質問役の士官が最後に提示した艦形はどう見ても「赤城」には見えませんです。大型のアイランドに煙突があり、アイランド前後に1基づつの両用砲らしきものが見えているのですが、ひょっとしたらエセックスの改造型かな。
と思ったら、どうやら改造されたエセックス級空母らしいです。日本語版のWikipediaでは空母「レキシントン」だとしていますが、英語版WikipediaによればSCB-125B改造後の「ヨークタウン」(CVS-10)となっています。決め手はないのですが、どうやら後者が真相のように思えます。

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余談2

「エンタープライズ」艦載機の攻撃訓練の際、登場する米空母には飛行甲板に「14」と描かれています。ハルナンバー14といえば間違いなく「タイコンデロガ」(CVA-14)なのですが、この時期の「ティコ」はバリバリの現役空母です。それが映画出演等という「雑務」をこなしていたとは少し驚きです。

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余談3

真珠湾口で日本の特殊潜行艇の交戦した駆逐艦。劇中では駆逐艦「ウォード」として描かれ、律儀なことに艦首部に描かれているハルナンバーも「139」(実際の駆逐艦「ウォード」のハルナンバーはDD-139)となっていましたが、艦形は明らかに戦中又は戦後世代の艦です。艦首の5インチ砲、艦橋直前の対潜兵器(ヘッジホッグかな)、高いマスト、1本煙突等の特徴から、WW2時期に就役したDEクラスだと思ったのですが、正体は確認できませんでした。

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