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先日、YSGAさんの例会に参加し、GMT社の新作海戦ゲーム「PQ-17」をプレイしました。
以下はそのレポートです。

シナリオ2「Tirpitz's Narrow Escape」

前回に引き続いて別シナリオをプレイすることしました。シナリオはNo.2「Tirpitz's Narrow Escape」。タイトル通りこのシナリオは戦艦「ティルピッツ」が危うく英軍の攻撃を回避して港に帰還したという歴史事実を再現するものです。今度は私がドイツ軍を担当しました。

1~6日目

最初は英軍の動きを見ながら対応を決めようと思う。敵船団、敵艦隊に対する偵察を繰り返し、作成開始後5日目に敵艦隊と敵船団を相次いで発見した。敵船団は輸送船18隻を含むPQ-12であり、敵艦隊は戦艦1、巡戦1、その他を含む水上艦隊らしい。空母の姿は見えない。敵艦隊を叩くか、あるいは船団を叩くか・・・。

熟考の末、私は決断を下した。まず敵艦隊を航空攻撃で叩く。特に防御力の比較的劣弱な巡戦「レナウン」を航空攻撃で叩く。続いてトロントヘイムに潜む戦艦「ティルピッツ」を出港させて北へ向ける。相手が戦艦1、巡戦1なら「ティルピッツ」はかなり不利な戦いを強いられるが、相手が戦艦1隻だけであれば、性能面に優る「ティルピッツ」が有利だ。

イメージ 3果たせるかな、北部ノルウェーに展開する我が双発爆撃隊は英艦隊を求めて飛び立った。低空から敵戦艦「デューク・オブ・ヨーク」を狙ったHe-115水上雷撃機が惜しいかな投弾前に敵対空砲火を浴びて撃墜されてしまったが、Ju-88爆撃機隊は巡戦「レナウン」の上空に首尾よく潜入し、急降下爆撃によって数発を「レナウン」に命中させた。「レナウン」中破。

7~10日目

イメージ 5続いて北極海を進むPQ-12に対し航空攻撃を開始した。しかし先ほどのシナリオとは些か状況が異なっていた。折角敵船団を発見して航空機を送り込んでも、肝心な時に敵船団発見に失敗する始末で、なかなか戦果を挙げることができない。
業を煮やしたドイツ海軍司令部は、戦艦「ティルピッツ」と駆逐艦5隻にPQ-12襲撃を命じた。ナルビク周辺に待機していた「ティルピッツ」以下の艦隊はPQ-12を追って東へ向かう。「ティルピッツ」以下はムルマンスク港の北北西約100海里にてPQ-12を捕捉した。ドイツ艦隊はPQ-12を護衛していたソ連駆逐艦2隻を瞬時に蹴散らすと、引き続いてPQ-12にその凶暴な刃を向けた。蜘蛛の子を散らすように逃げ回るPQ-12の各商船。ドイツ艦隊はそのうちの8隻を砲雷撃により海の藻屑とした。

イメージ 4大戦果に意気上がるドイツ艦隊。そのドイツ艦隊に対してムルマンスク周辺の基地を発進したソ連海軍航空隊約30機と援護戦闘機約20機が「ティルピッツ」に襲い掛かる。キルケネスから緊急発進したMe-109E/FとMe-110D/Gの編隊約20機がソ連機を迎え撃ったが、敵戦闘機に阻まれて雷爆撃機の突破を阻止することはできない。Il-4雷撃機の放つ魚雷1本とPe-2爆撃機の投下した数発の爆弾が「ティルピッツ」に命中。「ティルピッツ」小破。損害を蒙ったドイツ艦隊は、慌ててキルケネス港に逃げ込んだ。


結果

「ティルピッツ」を損傷せしめられたものの、PQ-12の輸送船多数を撃沈し、さらにバレンツ海奥地まで進出してきた英艦隊多数がガス欠を起こしたため、VPは-11となり、ドイツ側の勝利に終わった。「ティルピッツ」の船団攻撃が最後に決まったのは爽快であった。

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まとめ

ユニットが多いのでセットアップは思いの外時間がかかります。事前計画を含めると1時間ぐらいはかかるのではないでしょうか。その代わり一旦ゲームが始まると意外とサクサクゲームが進みます。シナリオの所要時間はセットアップを含めて4~7時間ぐらいではないでしょうか。

本作で感心した点は積み木とダミーを上手く組み合わせている点です。通常のダミーゲームのように「裏を見て確認」する必要がないので、これもプレイ時間の短縮に貢献しているようです。

苦言を書きます。
イメージ 6まず艦船ユニットの扱いについて。このゲームはステップロスや艦艇の損傷状態をユニットの向きによって現します。この方式だと片面だけで4ステップの状態を表現できるので方法論としては優れているのですが、実際にプレイしてみると面倒です。戦闘が行われる度に艦艇ユニットがForce DisplayとBattle Displayの間を行き来するので、その間に何らかの間違いが発生する可能性が高いです。特に英駆逐艦のように「数と種類が多い艦」では、戦闘、合流、分散等を繰り返す間に間違いが発生する危険が大です。何を隠そう私も、今回のプレイの最中に英駆逐艦の隻数がセットアップ時の隻数を超えてしまっているのに気がついて、アタフタしたものです。

個人的には英駆逐艦がA級だろうが、J級だろうか、O級だろうが、このスケールのゲームでは「どうでも良いこと」に思えるのですが、欧米人には気になるのでしょうか?。日本人が秋月型と夕雲型の違いについて気にするようなものかな?。

チャート類が多いのにもちょっと閉口しました。多いといっても"たったの"4枚なのですが、慣れない間はチャート類を引っ掻き回して目当ての表を探し出すのに一苦労でした。

それからこれも慣れの問題なのですが、結構細かいルールが多くて難儀しました。かつてこちらでも少し触れましたが、とにかく「覚えておかないといけないルール」が多い多い。"6.2.1 Search Result"は何度となく参照しましたし、"6.7 Combat and ID"もまたしかり。"5.1.8 Hitler's Restrictions"、"7.5.6 Hitler's Restrictions"(総統は制約が多いなあ・・・)も覚えておかないと思わぬ所で総統の怒りを買うことになってしまう。"7.1.1 Target Location"のルールは簡単なのですが、ロケーションチェックは忘れやすいルールなので要注意です。

ゲーム展開については、一本調子で東へ進むPQ船団に対し、ドイツ軍は空軍とUボート、そして水上艦隊の三位一体で船団攻撃を行うことになります。ドイツ側水上艦艇の使い方やそれに対する英艦隊の対応等で両者の駆け引きはありますが、基本的にはドイツ空軍とPQ船団の戦いになるので、ダイス勝負の感が強い点は否めません。もう少しルールを使いこなせるようになれば、また違った展開が見えてくるかもしれませんが・・・。

色々と苦言を呈しましたが、システム的には見るべき点があり、またテーマ的にも興味深いです。今後地中海や太平洋戦線も予定されているようなので、今後の発展に期待したい作品です。