Night Fighterは2011年に米GMT社が発表した空中戦ゲームです。
タイトル通りWW2期における夜間空中戦を扱った作品で、日独米英の夜間戦闘機、夜間爆撃機が登場します。
空戦ゲームとしてはシステムは単純な部類に属し、高度の概念は簡略化され、旋回も1ヘクスにつき1回までと単純化されています。スケールも1ヘクス1マイルと大き目のため、複雑な電子戦関連のルールもシンプルにまとめられています。

今回で5回目となるNightFighterのシナリオプレイ。今回は、本ゲームでルール的には一番難易度の高いシナリオに挑戦してみました。タイトルは「モスキート」。今までは逃げる一方だった英爆撃機だけではなく、初めて独夜戦を積極的に狩ろうとするモスキート夜戦が登場してきます。

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夜戦型モスキート

シナリオ10 モスキート

イメージ 3このシナリオは、進入者たる英軍側に34機の爆撃機と2機の護衛戦闘機が登場する。爆撃機はお馴染みのHalifax Mk.3。注目の護衛戦闘機はMosquito NF.19である。Mosquito NF.19は有効範囲8マイルという強力なMk.10機上レーダーを装備し、さらに独夜戦のリヒテンシュタイン/SN-2機上レーダーの電波を逆探知するSerrate装置まで搭載するという、いわば独夜戦の天敵と言って良い存在である。
迎撃側はJu88G-6が2機登場。初期型に比べると速度性能や火力性能、電探装備で格段の進歩を遂げてる。ただ、それでも夜戦としてはMosquitoの敵ではない。Mosquitoの目をかい潜りつつ、如何にして素早く重爆を葬るのかが焦点となろう。

なお、このシナリオには早期警戒レーダー、サーチライト、高射砲といったルールは使用しない。迎撃側にとっては支援設備のない分より苦しいとも言えるが、ルール的な難易度は実はそれほど高くないので、初心者でも十分に挑戦可能である。

ゲーム開始。

ラジオ・ビーコンボックスを飛び出したJu88G-6が第2Turnに前方1マイルの地点で斜めに横切る英重爆撃機をレーダー探知した。晴天下の空の下、独夜戦パイロットの鋭い目は、1マイル前方を飛行するHalifaxの姿をとらえていた。直ちに左旋回で目標を追う。
「警戒!、後方に反応」
Ju88G-6の後方警戒レーダーが怪しい反応を捉えた。モスキートか?。
リスクは承知しているが、攻撃を止めることもない。後方警戒レーダーの警報を無視して英重爆の後下方に潜りこんだJu88。シュレーゲ・ムジークか唸りを上げて英重爆に吸い込まれていく。

命中。

しかし致命傷ではない。もう一撃を加えるべきか・・・。
その時、別のJu88がレーダーで敵爆撃機らしい影を捉えていた。しかしどうもおかしい。この敵機、爆撃機にしては速すぎる。通常の3倍のスピード・・・、というのは大げさだが、2倍近くは出ている。ひょっとしてこいつは・・・。
「1番機、気をつけろ、貴様の後方8マイルに敵夜戦がいるぞ」
敵はあのモスキート。速度性能は折り紙つきだ。Ju88 2番機のレーダー覆域から脱すると、一気に1番機に迫って来た。その時Ju88 1番機は2番目の目標(英重爆)を捕捉し、シュレーゲ・ムジークによる一撃で葬り去った直後のことであった。
「後方に反応。近い」
後方警戒レーダーの反応に気がついた時には既に手遅れだった。モスキートの機首に装備されているイスパノ20mm機関砲がJu88G-6を切り裂いた。撃墜。1機のドイツの双発夜戦がモスキートの射弾に倒されていった。

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イメージ 5僚機を失ったJu88 2番機であったが、僚機の仇を取るべく夜空に敵を探す。
いた。
前方1マイルの英重爆撃機をレーダーが捉えた。左旋回で目標の背後に着く。英爆撃機の搭載する「ブーザー」レーダー警報装置は、独夜戦の搭載するリヒテンシュタイン機上レーダーの電波を捉えて警報を出し続けていたが、英爆撃機が危険を感じて回避した時には手遅れだった。
シュレーゲ・ムジークが夜空を切り裂く。
エンジンに命中弾を受けた英4発重爆は、炎に包まれて落ちていった。

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イメージ 3さらにJu88は別の英重爆1機をレーダーで捉えた。右旋回で目標を追う。後方から接近してシュレーゲ・ムジークを放つ。効果なし。さらに一撃。命中。しかし英重爆はなおも飛び続ける。その時、
「後方に反応」
後方警戒レーダーがあやしい反応を捉えた。Ju88をレーダーで捕捉していたモスキート夜戦が、いつの間にか後方に忍び寄ってきたのだ。緊急回避を行うか、あるいはあくまでも英重爆を追い続けるか?。勇敢なJu88は後者を選んだ。そしてそれが命取りになった。モスキートの機首で20mm機関砲が唸る。命中。あっけなくJu88は爆発、四散していった。

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英重爆を追う独夜戦と、それを追う英モスキート夜戦

結果:英重爆2機撃墜、2機損傷。独夜戦2機損失。
勝利条件は英重爆3機以上の撃墜なので、独軍の敗北。

感想1

モスキートは流石に強い。速度と火力の両面で独夜戦を凌駕している。モスキートになんとか対抗できるドイツ夜戦は、ジェット夜戦であるMe262B-1aとフォッケウルフのTa154A-4 "Moskito"、あるいは1944年8月から登場してきたHe219A-6 "Uhu"ぐらいだろう。それ以外の機体、例えばJu88、Me110シリーズ、He219の初期型等はモスキートに対抗できないだろう。
本シナリオは爆撃機側にも戦闘機が登場してくるので、かなりゲーム性が強い。遊べるシナリオだと思われる。プレイ時間は慣れれば1時間強で終わると思われる。ソロプレイでは夜戦に追われているドキドキ感は再現できなかったが、これは対人戦で経験してみたい。

感想2

これまで5回に渡ってNightFighterのシナリオを紹介してきましたが、NightFighterには他にも沢山の魅力的なシナリオが含まれています。機会があれば紹介させて下さい。
また日独米英の夜戦や夜間爆撃機はほぼ全てデータ化されているため、自作シナリオを作ることも容易です。細かいディティールを再現する作品ではないので、細部で気に食わない点は出てくるかもしれませんが、目くじら立てるほどではありません。
いずれにしてもNightFighterは見た目の複雑さにも関わらず驚くほどプレイアブルで、審判がルールに習熟していれば、初心者であってもその場のインストだけでプレイできるぐらいです。今のところ余りプレイされたという話は聞きませんが、機会があれば是非プレイして頂きたい作品の1つです。