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GDW社のThe Third World War(以下「T3WW」)は、1990年頃に発生すると予想されていた東西対決を描いたシミュレーションゲームです。かつて欧州戦線全域を扱った連結ゲームについて紹介したことがありました。その時は欧州戦線全域が対象ということもあり、北欧戦線はややお座なりな扱いであったように思います。
そこで今回、北欧戦線だけを扱ったArctic Front単品でソロプレイしてみました。なおプレイにはVASSALを使用。ハウスルールの類は一切なし。核戦争ルールも使わないことにしました。あとWP軍の戦略予備もなしとしました。

前回までのあらすじ-->こちら

5Turn(5週目)

イメージ 8NATOの制空権は続く。しかしこのTURN、最強のSu-27フランカーが稼働状態になった。そこでWP軍はSU-27とTU-22Mのコンビで航空撃滅戦を展開する。しかしTu-22MがNATOのSAMによって撃墜されてしまった。戦果はクレーター1個のみ。割の合わない戦果に終わった。

ノルウェーでは、モシェン奪回に成功したNATO軍が、その周辺に残留するWP軍の掃討戦を行う。ハリアーも投入して万全を期したが、そのハリアーが対空砲火によって撃退されたことにより計算が狂う。5-1の攻撃でEXを出してしまい、虎の子の米第6軽歩兵師団(3-4-7)が壊滅してしまう。その他の部隊も度重なる戦闘で疲労がたまっている。休養が必要か、NATO軍。

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6Turn(6週目)

ソ連軍は膠着しつつある状況を打破するためにスウェーデンに全面侵攻を仕掛けた。しかしその結果は単に空の戦いを一掃WP軍にとって苦しくしただけに終わった。スウェーデン空軍のAJ-37ヴィゲン攻撃機がNATO側の戦列に加わったのだ。
閑話休題。WP軍はスウェーデン領に侵攻。もとよりスウェーデン全土を支配下に置くような企図はなく、あくまでもノルウェー進攻のバイパスルート確保のためであった。北欧の過酷な地形は、バイパスルートとして相応しいものではなく、ノルウェーの防衛ラインに新たな脅威を与えるものではなかった。一方のNATO軍はボードー(G4022)、モシェン間の峠道の啓開に成功し、ここにナルビク盆地とノルウェー南部との連絡線が回復した。

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7Turn(7週目)

現在のVPを計算すると、18VPとなっていた。これはWP側限定勝利のラインである。現時点でWP側にこれ以上の進攻は期待できない。しかし敢えてこれ以上進攻しなくても、現状維持で一応「勝ち」を主張できる。一方NATO側は現時点で「勝ち」を主張できないので、ノルウェー領土の奪回を図る必要がある。
という訳でNATO側がノルウェー北部に向けて進撃を開始する。とはいえ、一連の南部ノルウェー攻防戦でNATO側にも大きな損害が発生していたので、その回復も容易ではない。結局このTURNは小規模な攻防戦に終始し、NATO側がWP側防衛ラインに襲いかかることはなかった。

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8Turn(8週目)

ノルウェー海域に大嵐が吹き荒れた。元より過酷な天候だが、ヘリ部隊が使えないことはNATOにとって利ありか。しかし航空兵力が使えないのはNATOにとってはきついかもしれない。
最終TURNにおけるNATOの反撃はコマンド部隊や特殊部隊が中心となった。ナルビクを守るソ連第37親衛機械化師団(9-9-6)が強力過ぎて、正面攻撃では突破の見込みが立たなかったからだ。まず英コマンド部隊(1-2-9)がアンドーヤ空軍基地から対岸のノルウェー本土に渡河。ナルビク背後を守るソ連軍分遣隊(2-2-5)を攻撃した。ノルウェー、スウェーデンの山岳旅団が支援して4-1の比率。リスクはあったが攻撃は成功しナルビク背後を遮断した。続いて同じ部隊がバルドゥフォス飛行場を守るソ連軍機械化歩兵連隊(2-2-5)を攻撃した。戦闘比は4-1。今度もリスクはあったものの攻撃には成功し、バルドフォス飛行場はNATO軍のものとなった。最後にNATO連合の山岳スキー旅団(1-2-8)がスウェーデン領を迂回してバナク飛行場を襲撃した。守るは練度の高いソ連空挺連隊(1-1-7)。戦闘比2-1で成功率50%のリスクはあったものの、攻撃は見事に成功した。バナク飛行場はNATO軍の支配する所となった。

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結果

第7Turn終了時は18VPでWP軍の勝利ラインだったが、第8TurnにおけるNATOの反撃でAtto-Banak(G4532)、Bardufoss(G4327)がNATOの手に落ちた。さらにNarvik(G4225)は孤立して勝利得点対象外となったと思われたが、実はこのTURN、WP軍がノルウェー海を支配していたので、NarvikのVPは失われずに済んだ。勝利得点は16VPになり、WP軍がギリギリで限定的勝利を得た。WPにとってはスウェーデン進攻が裏目に出た形となったが(NATOの進攻路を提供したという点で)、制海権という盲点があってNATOの勝利を阻むことができた。NATO軍にとっても最終TURNの反撃は薄氷を踏む思いであり、かなり幸運に助けられたと言って良かったが、最後の最後にどんでん返しに泣いた形となった。

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感想

戦線が狭く進撃路が限られているため展開が地味なのはやむを得ない。例によってWP側の方が難しいゲームである。WP側としては第1Turnでどこまで進めるかが勝負の分かれ目になる。できればNarvikまで行きたい所。Bodoのラインまで出られれば御の字だが、そこまではNATOが許してくれまい。Narvikの線までを安定化できれば、9-9-6の機械化歩兵師団をNarvikまで送り込んで忍の一字だ。今回は色気を出してスウェーデン進攻なんてやったのが不味かったが、そんなことをせず、兵力に物を言わせてNarvikとAtto-BanakあるいはToromso間の連絡線を死守するべし。
それからフィンランドは確実に降伏させること。第3Turnの増援を適切に使えば、確実に倒せる。そのためには第1Turnのフィンランド領通過も止めた方が良いかもしれない。フィンランド軍に警戒させてしまうと、その攻略が甚だ困難になるからだ。

WP軍に戦略予備が投入された場合はもっとややこしい。試した事がないのでわからないが、フィンランドは第1Turnに抹殺するのが常道となるだろう。スウェーデンも最初のうちに侵攻して拠点確保に徹するべきかも。あるいはスウェーデンを先に攻めてフィンランドを後回しにすべしか?。

プレイ時間は記録時間も含めて8時間ぐらいであった。対戦型ならもっと早く終わることが予想される。記録を取りながらでも4~5時間程度でプレイできるのではないだろうか。「昼休みにちょっと」というほど手軽ではないが、丸1日かけるほどのゲームでもないので、中途半端な時間にプレイするには手頃な作品といえる。

T3WWシリーズは主戦場であるBattle for Germanyが注目されているが、それ以外の戦線はあまりプレイされたという話は聞かない。特にArctic Frontは地味なせいか単品でプレイされたという話を殆ど聞かない。確かに地味だが、その分短時間で終わる事が出来る上、北欧諸国とWW3との関わりは興味深い軍事課題を提供してくれる。

貴方もこの機会に北極戦線で戦ってみては如何だろうか。

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