ボロ作戦とは、ヴェトナム戦争初期、米空軍第8戦術戦闘飛行隊(8th TFW)、通称ウルフパックの伝説的リーダーであるロビン・オールズ大佐が考案、指揮したミグ戦闘機掃討作戦である。オールズ大佐は北ヴェトナム空軍のミグ戦闘機をおびき出すため巧妙な囮作戦を実行。餌に引き寄せられた魚の如く集まってきたMiG-21は合計約12機。対するF4Cも計12機。ここにミグとファントムの一大空中戦が北ヴェトナム上空で繰り広げられることになる・・・・。
という訳で(どういう訳だ?)始まったボロ作戦ゲーム。
今回はClash of Arms Games社の空戦ゲーム"The Speed of Heat"を使って上記ボロ作戦の一番最初の場面「オールズ編隊4機とMiG-21 4機の戦い」を再現します。今回の目玉はメールとVASSALを使った通信対戦。通常の対面ゲームとは一味違った対戦が楽しめそうです。参加者は計4名。米空軍と北ヴェトナム空軍各2名に分かれました。筆者は米空軍を担当。しかも一番優秀なオールズ大佐とその僚機を率いているので責任重大です。
今回はClash of Arms Games社の空戦ゲーム"The Speed of Heat"を使って上記ボロ作戦の一番最初の場面「オールズ編隊4機とMiG-21 4機の戦い」を再現します。今回の目玉はメールとVASSALを使った通信対戦。通常の対面ゲームとは一味違った対戦が楽しめそうです。参加者は計4名。米空軍と北ヴェトナム空軍各2名に分かれました。筆者は米空軍を担当。しかも一番優秀なオールズ大佐とその僚機を率いているので責任重大です。
セットアップ
セットアップ時から米空軍はかなり苦しい位置関係になっている。4機のMiG-21が米軍の編隊を取り囲むように位置し、その中の1機は今まさに米軍機をその射程距離内に捕捉しようとしていた。ミグはアトール空対空ミサイルと機関砲で武装しているので下手に動くとミサイルに追われるか、あるいは機関砲で穴だらけにされてしまう。
1Turn
後方からミグが迫る。オーバーシュートさせるべく左へ5G旋回。同時に燃料タンクを投棄。身軽な状態でミグに挑む。アフターバーナーはまだ使わない。残燃料がやばいこともあるが、それよりも派手にエンジン噴かしてアトール(赤外線追尾ミサイル)の的になるのを恐れたからだ。後方から迫るミグはピュア・パシュートの位置から迫ってくる。
2Turn
後方から接近するミグを振り切るため、さらに左旋回を続ける。しかしエネルギーロスを避けるために急旋回はしない。比較的緩やかな旋回を行ってミグに背後を取られないよう注意する。ミグの搭載するアトールミサイルは発射角制限が厳しいので、間違いない限り大丈夫だろう・・・。
3Turn
距離2マイル、交差角120度でオルズ2の正面を横切ったミグがどうしたことか右旋回でオズル2にケツを向けてきた。彼の前方に別のファントムが飛行していたので、それに対する攻撃のつもりか。その敢闘精神や良し。ただ些か無謀なのか・・・。距離約4km。アスペクト角ゼロ、交差角ゼロの絶好のポジションを占めたファントム「オルズ2」は、狙いすませて2発のAIM-7E「スパロー」を発射する。
「フォックワン、フォックワン、フォックワン」
1発は不良品だったが、もう1発は発射に成功。ミグに向けて突進する。
ドグファイト中に旧式スパローを撃つという如何にも「ベトナム空戦」らしい展開に嬉しくなる。
「フォックワン、フォックワン、フォックワン」
1発は不良品だったが、もう1発は発射に成功。ミグに向けて突進する。
ドグファイト中に旧式スパローを撃つという如何にも「ベトナム空戦」らしい展開に嬉しくなる。
本当は撃ちっ放し可能なフォックスツー(AIM-9B)を撃ちたかったのだけれど、旧式サイドワインダーの視野角は悲しいほど狭い。
「畜生、グッドトーンが得られない!!」

4Turn
ファントム「オズル2」の放ったスパローは、5G右急旋回で逃げるミグを追う。リード・パシュートでミグの内側に回り込んだスパローは、ミグの至近距離で近接信管を作動させた。威力30kgの弾頭が爆発。ミグは撃墜こそ免れたものの、大きく損傷した。
5Turn
「フォックスワン」「フォックスワン」先に被弾したミグをリード・パシュートで追うオルズ2は距離約2kmからさらに1発のスパローを放った。降下によって逃げるミグの背後に回り込んだスパローは、再び近接信管を作動させた。この一撃はミグの弱点である燃料系統を粉砕。炎に包まれたミグは雲海の中に落ちて行った。
「スプラッシュ・ワン」「やった、やりましたよ、隊長!!」
オルズ小隊は最初の獲物を手に入れた。

しかしすぐ後方から別のミグが迫ってきている。
「オルズ2、レフトターンだ」
オルズリーダーから警告が飛ぶ。
オルズ2はすぐさま左へ6Gの急旋回を行い、ミグに横腹を見せる形になった。ミグも急旋回でそれを追う。高G姿勢からミグがアトールを発射。しかしアトールは正常動作せずに落ちて行った。助かった・・・。
オルズ2はすぐさま左へ6Gの急旋回を行い、ミグに横腹を見せる形になった。ミグも急旋回でそれを追う。高G姿勢からミグがアトールを発射。しかしアトールは正常動作せずに落ちて行った。助かった・・・。
6Turn
ミグを撃墜したのも束の間、オルズ1、オルズ2の背後にミグが迫る。オルズ1は低速からバーティカルロールを実施してミグをかわす。オルズ2も320ノットの速度でミグ相手にシザーズ戦法で回避を図る。でもミグはしつこい。「駄目だ、喰いつかれた。」
オルズ2が悲鳴が上がった。しかしオルズ1にも別のミグと格闘戦中。援護にいけない。危うし。

7Turn
オルズ2はバレルロール機動でミグを振り切ろうとする。ミグも同じくバレルロールで追いかけてくるが、バレルロールを続ける限り、ミサイルもガンも撃てないはずだ。そのうちエネルギーの差が出てミグを振り切れるはず。オルズ1は格闘中のミグを一旦振り切った後、右へ6Gの急旋回を行い、ミグからみてアスペクト角45度の位置に占位した。

8Turn
オルズ1と格闘中のミグはなおも急旋回でオルズ1の後方を突こうとする。しかし降下速度が速過ぎて下方の雲海に突っ込んでしまった。雲の中に逃れたミグの運命は知れない。山にでもぶつかったのか、あるいは無事帰還できたのか・・・。オルズ2はなおも後方に喰いつくミグをかわそうとバレルロールを繰り返す。
オズル1が反転。オルズ2に喰いつくミグを捉えた。レーダーロックオン。
オズル1が反転。オルズ2に喰いつくミグを捉えた。レーダーロックオン。
9Turn
オルズ2に喰いついていたミグが左に旋回して退避し始めた。しめた。これでオルズ2が自由になる。一方、逃げるミグをレーダーで捉えていた。距離約5km。アスペクト角左60度、交差角60度。「フォックスワン」「フォックスワン」
オルズ1が2発のスパローを放った。

10Turn
上昇するミグを追って2発のミサイルが飛翔する。しかしミグも急上昇してミサイルから逃れようとする。上昇するミグにミサイルはなかなか追いつかない。その間、高Gターンでミサイル回避中のミグの背後、アスペクト角左60度の位置に回り込んだオルズ2はその排気熱を捉えた。「よし、グッドトーンだ」
ウェポンモードをSRM(短距離ミサイル)とし、トリガーを絞ってサイドワインダーを発射。ランチャーからミサイルが落下していく。が。ロケットモーターに点火しない。まるで戦車のようにミサイルが落下し続ける。不良品か、あるいは高G旋回の影響でミサイルの回路がおかしくなったか。
「畜生、もう1発だ」
さらにもう一度トリガーを絞る。発射。今度は上手く行った。1発のサイドワインダーが前方約2kmを飛行するミグに向けて飛行を開始した。
「フォックスツー、フォックスツー、フォックスツー」

11Turn
垂直上昇中のミグが突如翼を翻して急降下に移る。それを前後から2発のスパローとさらに後方から1発のサイドワインダーが追う。2発のスパローがミグに近付く。そして・・・。命中。また命中。
2発のスパローが立て続けにミグの胴体を直撃した。1発でも十分な破壊力のあるスパローミサイル。しかもMiG-21はそれまでのMiG-17やMiG-19に比べるとフレームが脆弱である(修正-2)。スパローの直撃に耐えられる筈もなかった。四散してバラバラになるMiG-21。パイロットの生死は不明である。
「スプラッシュ!!」
残りは1機。オルズ1は残り1機の後方を高速パス。リアタックのタイミングを図る。一方オルズ2は残った最後のミグをピアパーシュートで追い、ミグの左後方に回り込んだ。距離は1~2km。アスペクト角60度、交差角60度。いずれもサイドワインダーの発射にあまり適切な射撃位置ではなかったが、発射できない距離ではない。高性能機関砲があれば、今頃ミグをバラバラに粉砕できたのに・・・。
「フォックスツー、フォックスツー、フォックスツー」
オルズ2の翼下からサイドワインダーが発射された。

12Turn
サイドワインダーに追われたミグはエンジンをアイドリングに絞り、機体を急上昇しつつこちら側に急反転してきた。しかしミサイルが間一髪で目標を捉えた。直撃こそなかったが、AIM-9Bの10ポンドHE弾頭がミグの至近距離で炸裂した。致命傷を負ったミグはそのまま炎に包まれて落ちて行った。結果
4対0で米軍の勝利。個人スコアでは、2機撃墜のオルズ2ことラルフ・F・ヴェッターハーン大尉がトップで、1機撃墜のオルズ1ことロビン・オルズ大佐がそれに次ぐ。撃墜時の使用兵装はAIM-7によるものが2機、AIM-9によるものが1機。使用兵装はAIM-7が6発、AIM-9が3発。有効命中数は前者は4発、後者が1発なので、前者が2/3、後者は1/3になる。結構当たった、というかダイス目が良かったな、というのが正直な所。勝因としては、上述の通りミサイルの命中率が良かったことの他、搭乗員の技量が一般に高かったことと、兵装面での性能差であろう。
最後に、今回対戦頂いた皆様、どうもありがとうございました。