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理科系の作文技術

木下是雄 中公新書

とある学会活動に参加した際、学会関係者の方から薦められて読んだ著作である。読むとまさに「目から鱗状態」。
曰く。曖昧な表現、例えば"~であろう"、"~と思われる"は避けよ。
曰く。言葉は慎重に選んで、必ず辞書を引いて調べよ。
曰く。受身形の言葉、例えば"~と考えられる"は避けて"~と考える"とせよ。
曰く。事実と意見は分けて記載せよ。
曰く。文章は短くするよう心掛けよ。
曰く。主語述語を明確にせよ。
等等、技術系に限らず、文書を書く際に注意すべき事柄が満載されている。
他にも講演会での話し方、英文スピーチの進め方、取扱説明書の書き方等、作文技術に限らず幅広い表現能力について示唆を与えてくれる著作である。
下名が最も興味を持ったのは「逆茂木型文章」という考え方である。これは日本語の文章にしばしば見られる現象で、「文章を全部読まないと意味が分からない文章」のことである。例えば左の文章は正に逆茂木型で、これを逆茂木型でない文章で書くと以下のようになる。
「これは「文章を全部読まないと意味が分からない文章」のこと。日本語の文章にしばしば見られる現象である。」
残念な事は、本書の初版が1981年と古いため、プレゼンの進め方等が現在のやり方とは乖離している箇所がある。これはもとより本書の罪ではない。

お奨め度★★★★★