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FLAT TOPは米アヴァロンヒル社が1981年に発表した空母戦ゲームである。テーマはソロモン諸島周辺における空母戦であり、珊瑚海海戦、第2次ソロモン海戦、南太平洋海戦等のシナリオが含まれている。
今回、このFLAT TOPをプレイすることになった。シナリオは「珊瑚海海戦」。計109Turnという本作中最長のシナリオである。今回のプレイに参加したのは計5名。日本軍2名、連合軍3名である。私は米機動部隊の半分、空母「ヨークタウン」機動部隊を担当した。

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1942年5月6日

1300~1400

イメージ 11日本側の攻撃隊が「レキシントン」上空に達したのは1400であった。我々の予想よりも約1時間早かった。この1時間の読み違いが結果的には「レキシントン」の命運を決する形となった。
来襲した日本機は、零戦18機、九九艦爆51機、九七艦攻24機の計93機。日本空母のほぼ全攻撃力に等しい。護衛戦闘機が思いの外少なかったので、こちらに十分な援護機があれば少なくとも艦爆隊か艦攻隊のどちらかを阻止できた可能性は高かったのだが・・・。「レキシントン」上空にあった戦闘機は僅かに21機に過ぎなかった。護衛に当たる艦艇も「レキシントン」の他は駆逐艦が僅か6隻に過ぎない。巡洋艦はいずれも「ヨークタウン」と行動を共にしていたため、「レキシントン」隊の対空防御は極めて脆弱な状態であったのだ。
それでも戦闘機隊と艦隊の対空砲火は奮戦し、日本機計24機を叩き落とした。これはなんとかなるかも、と米軍の指揮官が希望を持ったのはホンの一瞬だった。
日本機の攻撃が米軍の淡い期待を打ち破るのに左程時間はかからなかった。命中した爆弾は2発(1Hit)、航空魚雷も2発(2Hit)に過ぎなかったが、「レキシントン」艦内には先ほどの攻撃から帰ってきた艦載機が所狭しと並んでいた。これが次々と誘爆したから堪らない。大爆発を起こした「レキシントン」は夕刻、ソロモン海にその姿を没した。

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1500

イメージ 8「レキシントン」の損失は痛かったが、それ以上に痛かったのはその搭載機が全て「レキシントン」と共に失われてしまったことだ。半数とは言わないが、せめて1/3でも「ヨークタウン」に戻って来れば、艦載機を消耗した日本機動部隊と互角に戦うことも必ずしも不可能ではない。しかし現有兵力では兵力的に優勢な日本機動部隊と戦うことは困難な状況になってきた。「ヨークタウン」の艦載機部隊も3日間に渡る攻防戦で少なからぬ消耗を被っていたのだ。さてさてどうしたものか・・・。
「レキシントン」沈没の悲報が「ヨークタウン」に届いた頃、「ヨークタウン」も別の脅威に晒されていた。ラバウルを発進した九六陸攻9機の編隊が魚雷を抱えて「ヨークタウン」上空に進入してきたのだ。「ヨークタウン」上空には21機のF4Fワイルドキャットが上空警戒に当たっていたが、彼らは高高度から進入する日本軍索敵機を警戒していたため、低空はまるでガラ空きであった。「ヨークタウン」隊には「ヨークタウン」の他、重巡7、軽巡1、駆逐艦6の計14隻が周囲を固めていた。そのため対空防御は「レキシントン」隊よりも強力だった。今はこの対空砲火が全ての頼りだった。しかし断雲を利用して接近する日本雷撃機に対し、対空砲火はなかなか正確な狙いが付けられない。
かなりヤバイ状態だったが、ここは護衛艦艇の対空砲火が奮戦。9機の雷撃機全てを叩き落とした。「ヨークタウン」に対する命中魚雷はなし。危機を脱した「ヨークタウン」は近くのスコール雲にその姿を晦ました。

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1600~2400

イメージ 9日本側索敵機を振り切った「ヨークタウン」隊はニュージョージア島とルッセル諸島の間を抜けて南下した。夜に入って「レキシントン」の護衛部隊と合流した「ヨークタウン」は艦隊を二分し、巡洋艦4、駆逐艦2からなる水上打撃部隊を編成した。ただし位置は分離させず「ヨークタウン」隊と共同合同を取らせることにする。

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1942年5月7日

0100~0500

イメージ 12空母戦力で2対1の劣勢にある現在、米機動部隊が優勢な日本機動部隊と戦って勝てる可能性は小さい。唯一のチャンスは奇襲だけだが、ソロモン諸島にいくつかの飛行艇基地を持ち、九七大艇等の脚の長い飛行艇を持つ日本軍に対し、ポートモレスピーだけが拠点である米軍の索敵力の不利は歴然としている。
ただし米軍にはもう一つ有利な点があった。日本軍輸送船団の存在である。輸送船計12隻からなる日本軍上陸船団がポートモレスピーに向けて航行中であることは判明していたからである。これに奇襲を加えて大損害を与えることができれば、劣勢を跳ね返すことも不可能ではない。しかもこの場合、戦場は珊瑚海の奥深くになる。ここなら我々は基地航空兵力を援護を受けられるのに対し、日本軍は偵察力以外で基地航空兵力の援護が期待できなくなる。だから珊瑚海深部に日本軍を引きずり込み、そこで空母と基地の共同攻撃で日本船団を攻撃できれば勝機を見出すことは不可能でない。かくして「ヨークタウン」はポートモレスピー南方海域を目指す事に決定した。

イメージ 10ところがポートモレスピーに向けて針路を向けた1時間後に日本側の無線を傍受した所、日本軍の大規模な索敵隊がニューギニア東方海域に向けて発進したという。このままの進路で行くと「ヨークタウン」隊は払暁ジョマード水道(Jomard Passage)東方150マイル付近の海上に到達することになる。この付近は昨日日本側索敵機が最も盛んに索敵行動を実施していた場所になる。しかも同方面の海上は晴れ渡っていて身を隠すような断雲もない。「ヨークタウン」隊が発見されるのも時間の問題だ。そして発見された後にやってくるのは、「破滅」の2文字しかない。

イメージ 14一方でガダルカナル南方海上に目を向けると、レンネル島(Rennel)付近にいくつかの断雲が発生している。まだスコールに発展する程の規模ではないが、いずれにしても艦隊が一時的に身を隠す場所としてはある程度の条件を備えている。しかも日本軍の索敵もニューギニア東方海域に比べるとレンネル島付近はやや手薄だ。発見されない可能性もあるし、万一発見されたとしても、東に向けて全力航行すれば空母機による空襲を回避できるチャンスは大きい。かくして「ヨークタウン」隊は再び進路を変更。東に向けうこととした。

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0600~1100

イメージ 13夜明けとともに両軍の活発な索敵合戦が始まった。ミルン湾(Milne Bay)東南東60マイルに日本軍船団を発見。しかしレンネル島付近まで来ていた「ヨークタウン」隊からの距離は680マイルもある。とても攻撃は不可能だ。その「ヨークタウン」隊付近にも日本の索敵用飛行艇がしばしば飛来してきた。幸い断雲が障害になって日本側に発見される所には至らなかったが、断雲の下に隠れているしかない。
ポートモレスピーに日本の重巡部隊が襲来し、激しい艦砲射撃を実施してきた。緊急発進したP-40戦闘機12機が急降下爆撃を実施したが、日本側の対空砲火によって全滅の憂き目を見る。日本側の艦砲射撃を予想していなかった米軍にとって衝撃は大きかったが、幸い物理的な被害は左程でもなかった。

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1200~1700

イメージ 15日本側の判断を混乱させるため「ヨークタウン」から6機のSBDドーントレスが発進した。機動部隊の西方300~400マイルの海域を探るためである。この部隊の任務は敵情偵察は無論であったが、それよりもあらぬ方向へ索敵を実施することにより日本側の判断を混乱させることも目的に含まれていた。戦後に知ったのだが、この時ドーントレスの1機が日本機動部隊の付近海域を通過していたのだが、無線機の故障によって敵発見を報じるには至らなかったそうな。もっとも、仮に敵空母を見つけていたとしても、距離や兵力を考慮すると攻撃を実施するのは不可能に近かったのだが・・・。

1800~2400

イメージ 9夕暮れが珊瑚海を赤く染めていた頃、「ヨークタウン」は西に向けて全力航行に入っていた。しかし現時点からいくら急いでもポートモレスピーから200マイル圏内に到達するのは明日の1100頃になる予定である。一方で日本軍のポートモレスピー攻略船団はニューギニア東端を回って西に進路を向けつつあり、払暁にはポートモレスピー沖合に錨を降ろす予定である。このままでは間に合わない。果たしてどうしたものか・・・。

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