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「ソロモン夜襲戦」は自作の水上戦ゲームです。
この度、VASSALを使ってシナリオ6のテストプレイを行うことになりました。
シナリオ6のテーマは第3次ソロモン海戦第1次夜戦。史実では戦艦「比叡」が凹られた代わりに米キャラハン艦隊をフルボッコにした戦いとして知られています。
下名は米艦隊を担当しました。

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1Turn

正面から接近してくる日本艦隊は4列縦陣。高速戦艦2隻を含む強力な部隊だ。砲力も雷撃力も遥かに勝る彼らに対し、正面から殴り合っても勝ち目はない。唯一の勝機は機動戦で翻弄するしかない。単縦陣の米艦隊は、敵前で右120度の大回頭を実施。日本艦隊に対してT字戦法の形を狙う。

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2Turn

こちらの右旋回に合わせる形で日本側も左60度回頭。距離6000mで並行砲戦に入る。主導権を握った米艦隊は2隻の重巡が先頭の敵戦艦「比叡」を、2隻の軽巡が敵軽巡「長良」を狙う。ここに第3次ソロモン海戦(米名=ガダルカナル海戦又は第3次サボ島沖海戦)の火ぶたが切って落とされた。
米艦隊の射撃は正確で、5発の8インチ砲弾が「比叡」に次々と命中する。だが旧式とはいえさすがに戦艦。これだけの命中弾を食らっても致命傷には程遠い状態である。一方の「長良」には、「ヘレナ」の放った6インチ砲弾2発、「ジュノー」の放った5インチ砲弾4発が命中し、計5ダメージ。「長良」は中破した。
幸先いいぞ米艦隊。

しかし次の瞬間、米艦隊は息を飲む。至近距離に迫った日本駆逐艦2隻が恐怖の酸素魚雷を放ったのだ。

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3Turn

米艦隊の最後尾を航行中の駆逐艦「モンセン」と「フレッチャー」に酸素魚雷が命中した。忽ち轟沈する2隻の駆逐艦。先の砲撃戦での戦果が霞んでしまう米艦隊であった。
日本艦隊は、先ほどの砲撃戦で痛手を受けた「長良」が右へ脱落していく。米艦隊は「長良」を無視し、「比叡」に砲撃を集中する。「サンフランシスコ」「ポートランド」「ヘレナ」「ジュノー」の主砲が「比叡」に降り注がれていく。特に「サンフランシスコ」「ポートランド」は先の射撃で夾叉弾を与えていたため、そのままの諸元で命中弾を与え続けていく。一方の軽巡群は、持前の発射速度を高さを利用し、連続して主砲弾を注ぎ込む。8インチ砲弾5発、6インチ砲弾5発、5インチ砲弾4発が「比叡」に命中する。さしもの戦艦も至近距離からこれだけの命中弾を受けたら無事では済まない。司令塔は被弾し司令部要員に死傷続出。射撃指揮装置にも被弾し射撃能力に支障をきたす。合計ダメージは11で、累積すると17ダメージになる。
「比叡」中破。
米艦隊は日本艦隊の立ち上がりを攻めて、大物1隻を半身不随にした。

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4Turn

ようやく立ち直りつつある日本艦隊に対し、勝ち逃げを狙う米艦隊は、砲撃によりさらなる打撃を与えるべく左に旋回し、日本艦隊の頭を押さえていく。2隻の重巡は「比叡」に止めを刺すべく、距離9000mで砲撃を行う。照明弾が「比叡」の頭上を明るく照らし、8インチ砲弾の水柱が「比叡」を包み込む。3発が命中したが、「比叡」を仕留めるには至らず。15ノットの速度で戦列を離れていく「比叡」。
米軽巡群は駆逐艦に狙いを変えて砲撃を行ったが、こちらは致命傷を得られず、駆逐艦「暁」が「ジュノー」の5インチ砲弾を食らって小破しただけであった。

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5Turn

日本艦隊がその砲撃力で反撃を仕掛けてきた。戦艦2隻のうちの無傷で残っていた「霧島」が主砲と副砲で米重巡群を狙い撃ちする。巨大な14インチ砲弾が「サンフランシスコ」に命中。また副砲から放たれた6インチ砲2弾がもう1隻の重巡「ポートランド」に命中した。幸い両艦とも戦闘継続には支障がなかった。日本艦隊にとっては、やや期待外れの結果に終わったようである。

一方の日本艦隊。よろよろと戦場を離れる「比叡」に止めを刺すべく、4隻の巡洋艦が砲火を集中する。8インチ砲弾2発、6インチ砲弾5発が「比叡」に命中。これまでの累積と合わせて「比叡」への命中弾は26発に達した。しかしそれでも「比叡」は大破するに至らず。そろそろやばいと感じる米艦隊なのであった。

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6Turn

米艦隊は一旦「霧島」から離隔すべく煙幕を展開しながら右へ旋回する。煙幕に隠れた米艦隊に対し、「霧島」はいったん砲撃を中止した。米艦隊は煙幕の後方から日本駆逐艦を狙って砲撃を行う。「ジュノー」の5インチ砲弾3発が日本側の大型防空駆逐艦「照月」に命中。弾薬庫に被弾した「照月」は中破し、火災が発生した。

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今回のシナリオで防空軽巡「ジュノー」の働きは目覚ましい。駆逐艦3隻に命中弾を与えた他、戦艦「比叡」撃破にも一役買っている。射程の短い5インチ砲を主兵装とする防空軽巡は、必ずしも水上戦闘向きの艦ではない。しかし目標を切り替えてもペナルティを被らないその速射性は、目まぐるしく変化する夜戦においては、時に有効性を見せたと言えよう。

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7Turn

日本駆逐艦2隻が放った魚雷16本が米艦隊の後方から迫ってくる。懸命に逃げる米巡洋艦であったが、遂に1本が大型軽巡「ヘレナ」に命中した。「ヘレナ」の船体損傷こそ大したことはなかったものの、艦首を切断されて速度が20ノットに低下してしまう。
それでも米艦隊は砲火力で日本艦隊を潰しにかかる。軽巡「長良」に8インチ砲弾3発が命中。「長良」は大破し沈没寸前。それでも「長良」は沈まない。軽巡「ヘレナ」は損傷にもめげず駆逐艦「雷」に2発の6インチ砲弾を命中させてこれを中破。軽巡「ジュノー」は駆逐艦「電」に1発を命中させて小破。軽巡「アトランタ」は傷ついた「照月」を仕留めんとして2発の5インチ砲弾を命中させたが、これを仕留めるには至らなかった。

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8Turn

先頭を走る米駆逐艦2隻「クッシング」と「ラッフェイ」が13本の魚雷を放った。その1本が日本駆逐艦「天津風」に命中した。忽ち轟沈する「天津風」。この海戦で初めての米魚雷命中だ。
日本戦艦「霧島」がその砲火を米軽巡「アトランタ」に向けてきた。艦首方向の14インチ砲4門が距離7500mで火を噴く。1発の14インチ砲弾が「アトランタ」に命中した。僅か1発では「アトランタ」の戦闘能力を奪うには至らないが、それでも「アトランタ」は無視できない損傷を被った。さすがに戦艦の主砲弾は凄まじい威力だ。
一方、米艦隊の砲撃。重巡「ポートランド」が手負いの駆逐艦「電」に8インチ砲弾2発を命中せしめ、これを撃沈した。

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9Turn

「霧島」がその全火力を「アトランタ」に向けてきた。主砲、副砲弾が「アトランタ」の周辺で水柱を上げる。14インチ砲弾2発、6インチ砲弾1発が「アトランタ」に命中した。「アトランタ」大破。

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10Turn

最終Turnである。このTurn、米艦隊の砲火が最後の戦果を挙げた。駆逐艦4隻が日本駆逐艦「雪風」を猛撃。数発の5インチ砲弾が「雪風」に命中し、「雪風」は大破した。また大損害を被ってヨロヨロと戦場を離れていく軽巡「長良」もついに年貢の納め時。視認距離限界に近い距離7500mから重巡「サンフランシスコ」の放った8インチ砲弾2発が「長良」に命中した。さしもの「長良」もその打撃に耐えきれずに沈没する。

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最終結果

日本艦隊の損害(中破以上のみ)

沈没:軽巡「長良」、駆逐艦「天津風」「雷」
大破:駆逐艦「雪風」「照月」「電」
中破:戦艦「比叡」

米艦隊の損害(中破以上のみ)

沈没:駆逐艦「フレッチャー」「モンセン」
大破:軽巡「アトランタ」、
中破:軽巡「ヘレナ」、駆逐艦「バートン」

勝利得点

日本艦隊:85点、米艦隊:193点、米艦隊の勝利


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感想

米艦隊の立場から言えば、序盤に「比叡」を中破させたのが大きかった。これはかなりギャンブルに近い選択で、出目が悪いと戦艦2隻の逆襲を受けて完敗しかねない危険なオプションだったと思っている。ご存じの通り戦艦の装甲は巡洋艦クラスの主砲では歯が立たないので、じわじわと耐久力を削っていくしかないが、どの程度削れるかは運任せ。戦艦の中では比較的装甲の弱い金剛クラス相手なので、近距離からなら8インチ砲がある程度効いたが、これが長門クラス、大和クラスなら自殺行為だったろう。もっとも、重巡で「長門」や「大和」に喧嘩を売るバカもいないとは思うが・・・・。(いや、サマール戦みたいな例もあるしなぁ・・・)

もう一点。これは多分日本軍プレイヤーも気づかれておられたと思うが、日本側に魚雷を撃たせないように機動していたのも勝因だと思う。具体的には常に敵の艦首方向に位置することで魚雷攻撃を未然防止する戦術機動である。詳しくはこちらの記事を参照して下さい。これは「ソロモン夜襲戦」で基本となる魚雷回避戦術なので、連合軍プレイヤーは是非マスターしておきたい所。原理的には簡単なのだが、複雑な実戦環境下でこの機動を使いこなすのはなかなか難しい。しかし、この機動を使いこなせないと連合軍艦隊で日本艦隊相手に勝利するのは難しいと思う。魚雷でボコボコにされるのがオチ。

何はともあれ、今回お相手頂いたTさん、どうもありがとうございました。

最後に皆様、「ソロモン夜襲戦」のテストプレイヤーを広く募集します。
VASSALを使えば簡単にテストプレイできるので、興味のおありの方は御一報下さい。

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