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GMT社の傑作ゲーム、Paths of Glory(以下、PoG)をVASSALを使ってメールプレイしました。PoGのテーマは第1次世界大戦の欧州戦線で、1Turnが実際の3ヶ月に相当し、全20Turnで欧州の覇権を争います。PoGの概要については、こちらの記事その他を参照して下さい。

今回、PoGをプレイするにあたり、下名が連合軍(英仏露側)を担当しました。ちなみに連合軍と相対するドイツ・オーストリア陣営については、中欧軍と呼称することにします。ルールは2004年に発表された第2版を使用しました。以下の選択ルールは全て採用しました。
 4.2.4:ロシア及びオーストリアに関する初期配置のオプション
 9.1.4:カードを7枚ではなく8枚引くオプション
 11.2.10:塹壕構築に失敗した際に、次ラウンド以降-1DRMを適用するオプション

前回までのあらすじ
1-8Turn
9-14Turn


15Turn(1917年秋)

イメージ 8中欧諸国とロシアの間でブレスト・リトブスク条約が締結され、ロシアが戦争から脱落した。史実より3ヵ月早いロシアの脱落である。東部戦線を安定化させたドイツ軍は、最小限の守備兵力をロシア国境警備のために残し、残りは全力で西部戦線に向かう。西部戦線に危機が迫る。

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16Turn(1918年冬)

イメージ 9イタリア戦線でドイツ軍の猛攻が始まった。アドリア海北岸地区から2個軍、アルプス方面から3個軍が投入されてイタリア戦線の連合軍部隊を攻めつける。イタリア戦線に配備されているのは、傷ついた英軍1個軍の他、イタリア軍が3個軍に過ぎない。オーストリア軍も含めると倍近い兵力を誇るドイツ軍の猛攻に対して、連合軍は成すすべもなかった。ヴェニス(Venice)を守るイタリア軍は鎧袖一触の元に撃破され、塹壕線でトレント(Trent)要塞を守っていた英伊連合軍も、第4アクションに実施された「ミヒャエル攻勢」により撃破されてしまい後退していく。前線に取り残されたイタリア第2軍(2-2-3)は、英国1個軍団(2-1-4)と共に包囲の輪の中に閉じ込められ、Turn終了時には補給切れで降服を余議なくされた。

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17Turn(1918年春)

イメージ 10イタリア戦線では中欧軍の猛攻が始まる。ドイツ軍3個軍、オーストリア軍3個軍。決して大軍ではない。しかし傷ついた英軍1個軍、イタリア軍3個軍の連合軍と比較すると、実質的な戦闘力は2倍以上だっただろう。西部戦線正面を重視し、イタリア戦線を軽視した連合軍の戦略ミスがここに来て最悪の状態で露呈してしまった。
「ブリュヒャー攻勢」によってボローニャ(Bologna)の塹壕線を難なく突破した中欧軍。イタリア半島をヨーロッパ本土から分断することに成功した。
そこから先は早かった。ドイツ軍3個軍はヨーロッパ大陸側を西に向かって進み、ジェノヴァ(Genoa)、ミラノ(milan)を占領。さらに西へ進んでトリノ(Turin)にまで達した。そこは既にフランスとの国境で、さらに西へ進めば、そこはグルノーブル(Grenoble)。アルプス山脈を越えた向こう側だ。
一方イタリア半島を南下するのはオーストリア軍3個軍。彼らは弱体化したイタリア軍を瞬く間に撃破し、フローレンス(Florence)からローマ(Roma)、さらにはナポリ(Naples)に達した。イタリアの運命は最早風前の灯である。

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イメージ 15ロシアを失い、また今イタリアも脱落しようとしている。連合軍は敗北の瀬戸際に立たされた。連合軍にとってやるべきことは何か?。ゆっくり戦っている暇はない。ドイツの心臓部に猛攻撃を加えてドイツ本土を占領するしかない。しかもドイツ軍の態勢が整う前に。速やかに、だ。
カッセル(Kassel)に対して実施されたフランス軍による第1次攻撃は、ドイツ軍の奮戦によって失敗に終わってしまう。しかし落胆している暇はない。勝算を度外視して突破を図らなければ勝利の目はないのだ。次の攻勢はブレーメン(Bremen)に向けられた。ドイツ北部の重要都市だ。ブレーメンに対する攻撃は見事に成功。さらにハンブルク(Hamburg)まで追撃したフランス軍は、ドイツ第10軍(5-3-3)をハンブルグ市街で撃滅した。

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18Turn(1918年夏)

イメージ 11イメージ 16米軍は戦車を大量投入した大規模攻勢を敢行した。「ヤンクス&タンクス」攻勢と呼ばれるこの攻勢は、カッセルに対して実施された。航空支援、さらにハリケーン砲撃と呼ばれる大規模砲撃の支援を受けて必勝を期したこの攻勢だったが、ドイツ軍の予想以上の奮戦(確率1/3で7Hitを出された)によって攻勢はいきなり頓挫。攻撃に参加した英BEF軍(5-3-3)は、軍を解散し軍団レベルに降格してしまう。
それでも諦めない連合軍は、ブレーメンに進出していた米第1軍(5-5-3)と仏軍2個軍によってハノーヴァー(Hannover)を守るドイツ第4軍(5-5-3)を攻撃した。3倍の兵力で攻める連合軍に対し、ドイツ軍は塹壕と持前の精強さで対抗しようとするが、連合軍の進撃を食い止めるのが精一杯。大損害を被って軍から軍団レベルに格下げになってしまう。

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イメージ 14さらに英軍(BEF軍団2-2-4)の一部は遂にベルリン(Berlin)まで到達。一時的にせよベルリンを占領した。彼らは駆け付けたドイツ軍部隊によってすぐに駆逐されてしまうが、ベルリンを占領したという事実には変わりがない。
ベルリンで英BEF軍団を撃破した独軍は西部戦線で「平和攻勢」を敢行した。失敗すればVP1点失うという危険な賭けだが、独軍の攻撃は見事に成功。フランクフルト(Frunkfurt)を奪回し、さらに西を伺う。脅威を感じた連合軍はフランス軍部隊をコブレンツ(Koblenz)に派遣し、防備を固める。

ここで中欧軍が「平和攻勢」を使ったことは、連合軍としては大きな安心材料となった。というのも当方のカウンティングによれば、この時点で中欧軍は塹壕無視カードを使い切ったはず(イタリア軍相手に使えるカードが1枚残っているが、現時点ではほぼ無意味だ)。ということは北海沿いの薄い補給線を依存する連合軍は、塹壕線を維持することで後方遮断の危険を考慮することなく前進を続けることが可能になる。攻め方次第ではベルリンを本当に落とすことも不可能ではない(非常に困難であるが)。ベルリンを落とせば大逆転の可能性もある。これまではやられっ放しであったが。これからはそうは行かないぞ。

イメージ 12この時点で中欧軍のVPは19点。あと1点中欧軍が獲ればサドンデス勝利となる。そしてドイツ軍はマンハイム(Mannheim)に3個軍を集結させて隣接するストラスブール(Strasburg)を伺う気配を見せている。ストラスブールには英軍2個軍+1個軍団が集結していたが、塹壕はなく、ドイツ軍の大攻勢を受けた場合撃破される危険性が高い。ストラスブールが落ちれば即サドンデス負けだ。
危険を感じた連合軍には、この時2つの選択肢があった。1つは手元にあった「14ヶ条」(米ウィルソン大統領の理想主義)カードを使って1VPを獲得すること。もう1つはストラスブールに塹壕を掘って独軍の攻勢を物理的に止めることだ。前者は失敗することはないが、仮に1点戻してもストラスブールが落ちれば元の黙阿弥だし、その後方のメッツ(Metz)が脅威にさらされる。メッツが落ちればやはりサドンデス負けだ。一方塹壕掘りは成功すれば独軍の攻勢をほぼ確実に止められるが(塹壕には後退無視効果があるため)、塹壕が完成する確率が1/2に過ぎない。
イメージ 13熟慮の末、連合軍が選んだ選択肢は「塹壕」だ。今この段階で確実性を取っても退勢を止めることはできない。それよりもハイリスク、ハイリターンで大きな成果を狙うべきだ。確率50%?。上等じゃねえか。今の俺達に50%なんて贅沢以外の何物でもない。
そう思ってVASSALのダイスを振った私。「えい」と心の中で叫んだら、出目はなんと「3」。ギリギリだがストラスブールの塹壕が完成。独軍の攻勢を迎え撃つ準備が間に合った。

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