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謙信上洛は、1990年にツクダホビーから発表されたシミュレーションゲームである。テーマは上杉謙信による上洛戦で、「天正6年(1978年)に急死した上杉謙信が、もし死なずに上洛戦を敢行したら」という仮想戦である。プレイヤーは織田方と反織田方に別れ、畿内一帯の支配を目指して戦う。

今回はオプションなしでプレイしてみることにした。下名が上杉方を担当する。

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6Turn(7月下旬)

イメージ 11北陸戦線では上杉勢の猛攻によって遂に北ノ庄城が陥落した。織田家の次男、織田信雄(2-2)は北ノ庄で討死する。越前各地の織田方の諸城も次々と陥落していった。越前平定を終えつつある上杉勢は、いよいよ畿内に向けての南下準備に入る。

イメージ 10イメージ 13畿内では有岡城を囲む羽柴秀吉(3-5)麾下の軍勢に対し、石山城を出撃した雑賀衆(6-2)、本願寺勢等計12,000名が強襲を仕掛けた。兵数では劣る雑賀らだが、戦術能力で織田方を圧倒した。羽柴勢は散々に叩かれて敗走。その際に織田方の名立たる武将2名が討ち取られ、有岡の包囲は解かれた。

イメージ 14遠江では、浜松奪回を目指す滝川一益(4-3)、丹羽長秀(2-4)ら2万以上の軍勢が浜松に近づく。さらにその後方から柴田勝家(4-4)麾下の1万強の戦力も浜松に近づいてきた。織田方の戦力は3万を超えている。それに対して兵数に劣る武田勝頼は、武田信豊(2-2)に約2000の兵を預けて浜松に篭らせ、自らは残りの手勢を率いて二俣城付近まで後退。織田方の動きを見る。
しかし勝頼の弱気な布陣が裏目に出た。せめて1月程度は持ってくれると期待した浜松の武田信豊が、織田方の包囲攻撃を受けて僅か3日で開城してしまった。全くなんたる腰抜け。

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7Turn(8月上旬)

越前の平定を終えた上杉軍勢は一向宗徒を含めた約5万の大軍で栃ノ木峠を目指す。栃ノ木峠では、織田、徳川連合軍4万余が柵を築いて待ち構える。決戦の時が迫ってきた。

8Turn(8月中旬)

イメージ 12[信長3-5]上杉謙信(6-5)麾下の主力部隊が栃ノ木峠を守る織田・徳川連合軍を強襲する。
栃ノ木峠の戦い。

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戦術能力に優れた上杉方であったが、織田・徳川連合も徳川家康(5-5)の優れた指揮能力と策による防護効果によって互角の戦いを繰り広げる。結果的には兵力に勝る上杉方が押し切る形となったが、上杉方も大きな損害を被り、その回復に時間を要することになってしまう。

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9Turn(8月下旬)

イメージ 15栃ノ木峠の戦いに敗れた織田・徳川連合軍であったが、すぐその背後の賤ヶ岳に陣地を敷いてなおも死守の構えを見せる。また賤ヶ岳方面への増援部隊とすべく、浜松に布陣している織田軍勢の中から、丹羽長秀率いる1万余を賤ヶ岳に向けて急進せしめた。丹波長秀の軍勢がいなくなったことで兵力的に手薄になった織田方に対し、武田勝頼が攻勢に転じた。柴田勝家、滝川一益の率いる計2万余に対し、武田勝頼は各個撃破を試みた。まず柴田勢1万を叩いて柴田勢は浜松城内まで後退。籠城の構えに入る。また滝川一益隊も勝頼隊の攻撃で損害を被り浜名湖の西側まで追いやられてしまう。

イメージ 16一方の賤ヶ岳。上杉方が再び攻勢を仕掛けて織田・徳川連合が守る賤ヶ岳を攻める。兵力に勝る上杉勢であったが、今回はダイス目が振るわずギリギリの所で敗退を余技なくされてしまう。先のTurn、連続攻勢を続けていれば、賤ヶ岳の線を突破し、琵琶湖を望む所まで進出できたものを・・・。細かい所だが、小さな戦術的ミスが大きな戦略的失敗を引き起こしたと思わずにはいられない。

イメージ 17再び浜松を囲んだ武田勝頼(5-4)麾下の軍勢に対し、城内から柴田勝家、城外からは滝川一益が攻勢を仕掛けてきた。柵を構えて迎え撃つ武田隊。兵力では織田方が僅かに優ったが、指揮能力と地の利を得た武田方が強かった。織田方による反撃は失敗に終わり、浜松の攻囲は継続されることとなる。

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10Turn(9月上旬)

イメージ 18VPが+6点となった。上杉方に有利な状況である。イベントチェックで「義昭出陣」が発生する可能性があるVPレベルだ。確率的には低いが、出目が良ければ1発逆転の可能性が出てきた。

賤ヶ岳方面では、上杉方が消耗したため攻勢を行うことが困難な状況になってきた。上杉方は兵力の補充を努める一方、栃ノ木峠に陣をしき、織田方の北上に備える。
一方の織田方は丹羽長秀麾下の兵力が賤ヶ岳に到着した。合計6万の兵を数えるに至った。

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11Turn(9月中旬)

イメージ 19浜松を囲む武田勝頼の軍勢に対し、滝川一益率いる約8000の兵が側面から武田方の二俣城を囲む。それを見た武田勝頼は、高坂昌信(4-4)率いる兵8000を包囲網から割いて滝川勢攻撃に向かわせる。二俣城付近で滝川勢を捕捉した高坂昌信がこれを撃破した。

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12Turn(9月下旬)

イメージ 20浜松の包囲レベルが3になった。次Turnでは60%以上の確率で浜松城が陥落することになる。それを見た武田勝頼は浜松城に麾下の兵力を集結させて万全の配備とする。一方の織田方は明智光秀麾下の約1万を後詰として浜松方面に派遣した。明智光秀の到着が早いか、あるいは浜松の落城が早いか・・・。


13Turn(10月上旬)

イメージ 21浜松が落城した。柴田勝家は「瓶割り柴田」異名通りに水瓶を割って最後は全滅したという。浜松の落城によって兵力に余裕が出た武田勝頼麾下2万の兵は、遠江を目指していた明智光秀隊と同じく退却中の滝川一益隊を猛追する。吉田城(4-2)付近でこれを捕捉した勝頼隊はこれを散々に叩いた。

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14~15Turn(10月中旬~下旬)

イメージ 17その後の展開は簡単に触れておこう。
勢いに乗る勝頼隊は三河から尾張にまで進出し、明智、滝川らの軍勢を散々に叩いた。織田方は多くの兵を失い、織田の本城たる清須にまで迫っていた。織田方も兵力的に余裕がある訳でもないため、武田の跳梁に対して成す術もない。
結局ゲーム終了時点で反織田方のVPは23点に達した。勝利に必要なVPが30点なのであと7点及ばなかったが、惜しい所であった。反織田方に有利なイベントが出ていれば勝利も不可能ではなかっただけに惜しまれる。

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感想

イメージ 24プレイ時間は6時間弱であった。1Turnに最大3度の移動機会があるが、1度に動かせるスタック数が少なく、せいぜい10個以下なのでプレイ自体はサクサク進む。ルールの簡単なのでプレイは容易だ。ただ戦闘解決等でやや曖昧な点がある。GameJornalのリプレイ記事を一読しておくことをお奨めしたい。

イメージ 22オプションユニットを入れない場合は上杉方が不利、というのが専らの定説だが、その通りだと感じた。武田勝頼の軍勢は兵力的には織田方方面軍2個程度に相当し、戦術能力の優位を活かせば野戦でこれを撃破することも可能。しかし3個方面軍以上が相手なら分が悪い。
上杉本隊は戦術能力で優位に立つので同数の敵が相手なら勝機は動かない。しかし織田・徳川連合軍相手だとそうはいかない。徳川家康の戦術能力は上杉謙信に迫り、柵を使えば互角に戦える。しかも兵力では織田方が優位に立つことも可能。よって今回のプレイでもそうであったように、栃ノ木、賎ヶ岳のラインで陣地を構えられれば、突破するのはなかなか困難となる。

イメージ 23そこでオプションユニットだ。オプションユニットを追加することで武田方の攻勢能力に広がりが出てくるので、織田方もウカウカできなくなる。また上杉方にオプションユニットを追加することで賎ヶ岳での戦いで上杉方が力押しできる可能性も出てきた。そういった意味では確かにオプションユニットを追加することでゲームバランス的には上杉方に傾くことは間違いないだろう。

イメージ 25しかし個人的には敢えてオプションユニットを加えずにプレイすることをお奨めしたい。確かに上杉方に勝機は薄いが、それでも歴史逆転に挑んでこそ真にやりがいがある。上杉方の勝機は運に依存する所が大きく、特に序盤で「宇喜多離反」や「雑賀中立」といった影響度の極めて大きいイベントが出ると、かなり上杉方は苦しくなる。その場合でも後半まで粘って「義昭出陣」が出れば逆転の可能性はある。

イメージ 12「謙信上洛」は運の介在する要素が大きく、それがゲームバランスを大きく左右する点が難点といえば難点である。しかしテーマ的には面白く、またプレイアビリティにも優れた好ゲームである。機会があれば、プレイしてみて損のない作品だと思う。