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組込みソフトウェア向けプロジェクト計画立案トレーニングガイド

独立行政法人情報処理推進機構ソフトウェアエンジニアリングセンター

独立行政法人情報処理推進機構ソフトウェアエンジニアリングセンター。略してIPA/SEC。ITプロジェクトのプロセス改善を進める者であれば、必ず耳にしたことがある組織である。例の民主党政権下で悪名高き「事業仕分け」によってかつての勢いは失ったが、それ以前はソフトウェア・プロセス改善における実戦的なノウハウを安価に提供してくれていた組織であった。
IPA/SECは、ITプロジェクトのプロセス改善について様々な著作を発表しているが、今回紹介する「組込みソフトウェア向けプロジェクト計画立案トレーニングガイド」(略してESMG)は、読んで字の如く「組込みソフトウェア開発におけるプロジェクト計画立案」に関するノウハウをまとめた著作である。トレーニングガイドという書き方から「研修的な内容なのかな?」と誤解を与えるが、そういった内容ではない。どちらかといえば、実戦的なスタイルでのプロジェクト計画の進め方とドキュメント化についてのノウハウを記した著作といった方が良い。
本書で取り扱う領域は、プロジェクト計画の中でも、統合、コスト、スケジュール、品質、要員、コミュニケーション、リスクといった内容についてである。つまりPMBOKで言う所のプロジェクト計画とほぼ重複している。
本書の特徴は、内容が極めて実戦的であること。というのも、本書で紹介されているプロジェクト計画書は、内容的に充実しており、そのまま実務で使えるレベルまで具現化されている。とはいえ、現実のプロジェクト業務で本書のレベルまで「キッチリとした」プロジェクト計画を立案することはかなり困難であり、実際には本書の中からエッセンスを拾い上げ、それぞ実務に応用していくという使い方が実戦的ではないかと思われる。
本書は初版が2011年11月とまだ新しく、そういった意味で古臭さは感じない。現在ではIPA/SECのサイトでPDFファイルが無料公開されており、ITプロジェクトに関わる人であれば、一度は目を通していただきたい著作である。

お奨め度★★★★